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人攫い…………その人は…………

 一瞬の内に中庭に移動していた。本当に人攫いと言ってもいい、知らない人に連れ去られて内心パニックに陥っていると、、


「アデレイド嬢、一回落ち着いて、何か気づかない?一応ピンチを救った恩人じゃない?僕は」


 確かに私があの時王子に何か言っていたら不敬罪とかになっていたかもしれない、それを穏便?に収めてくれた、助けてくれたのはいいけど、この人…………誰?


「ありがとうございます。ただ……あなたは……」


 そう言うと、綺麗な顔をいたずらっ子の様にニヤリとさせて


「よく僕の顔を見て?気づかない?」


 そう言われて顔をじっと見つめる。綺麗で美人なのはめちゃくちゃわかる。この美しさ神すぎる、が、いやいや、待てよ……もしかして、この、鼻と口見た事ある気がする、もしかして、もしかしなくても…………


「まさか………………先生???」


「せいか〜〜い、よくわかったねぇ」


 いつもの様にケタケタ楽しそうに笑う。ただ、いつもと違うのは先生の瞳が見えている事と、髪の色。


 こんなにも破壊力抜群の顔だったとは知らなかった。美人が笑った顔って死ぬほど綺麗なんだと実感した。


 と言うか、金髪に青い瞳は王族にしか現れない色だ……と言うことは先生も王族??アレクシス王子が第一王子のはずだが……頭にハテナを抱えたまま先生を見ていると、


「僕が王族かどうか気になってる?僕は現国王の弟の子供だよ、だからアレクとは従兄弟同士だね、ちなみにいつものピンク頭の方は大魔法使いとしての活動で変装してるんだよねぇ、びっくりした?」


 どう反応するかこちらを見てくる目がキラキラしすぎて、眩し過ぎる。

 良い顔すぎて罪深い……ドキドキしてしまう………悔しい。


「さてと、君はアレクとの踊りを避けれなかったでしょ?そこで、僕が助けてあげようと思ったんだ。僕くらいしかこのピンチを助けてあげられないと思ってさぁ……アレク妄想激しくて君に固執してるから心配だったんだよねぇ」


 やはり、王子は私に固執しているらしい。なんとなく気付いてはいたが、他から聞くとより実感が湧いてくる……とても嫌だ…………


 重いため息を吐き、俯いていると、暖かいブランケットを肩から掛けてくれる。


「まぁ、こういう分かりやすい行事とかなら守ってあげられるから気軽に助けを呼んでいいよ、僕に敵う奴なんて居ないからね」


 不敵な笑みでこちらを見る。こんな風にカッコいい事言われたら惚れちゃいそうだ……一人ドキドキしていると、先生が手を差し出して来た。


「踊りたりないでしょ?僕と踊ろう?」


 そう言うと、先生が手を取り私を片腕に抱っこする様に抱える。遠くから聞こえてくるリズムに乗ってそのまま踊り出す。身長差があるから踊れないと思っていたが、こんな風に踊るとは……いつもより顔が近い、その美しすぎる顔が眩しすぎて恥ずかしいので、チラチラ盗み見る事しかできない。


 何曲か踊った後、先生が私をベンチに降ろしてくれた。隣に先生も腰を下ろす。先生の美しい横顔を盗み見ていると、


「僕の顔気に入った?」


 なんでもお見通しのような顔で聞いてくる。澄んだ瞳がまっすぐ私を見つめてくる。お兄様も綺麗だが、先生はまた別の美しさだった。


「先生のご尊顔は嫌いな人はいないと思います!!からかわないでください!!それより、今日はありがとうございました。おかげで、不敬罪にもならなかったし、王子とも踊らなくてすみました」


 すると、いつもの様にほっぺをツンツンして、どういたしましてと嬉しそうに言ったのだった。


 そろそろパーティーがお開きになる頃、先生がディランの元へと送り届けてくれた。周囲はざわついたが、後は帰るだけなのでディランと一緒に馬車へと乗り込む。


 ディランは気になってはいただろうが、王族絡みだろうと踏んで聞かないでくれている。いつも通り気遣いのできる男なのであった。


 たわいのない話をして、アデレイドの家までつくとおやすみとディランが手の甲にキスをしてくれた。なんだか照れ臭かったが、エスコートとはそういうものかな?と思いお互い顔が真っ赤になりながら別れた。


(本当に王子と踊らずにすんで良かった……明日王子に会ったら何か言われないよね?)


 僅かな懸念があるが、その日の夜は眠りについた。

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