小練博和
ここは大馬の国に属する小練藩。
現在の藩主は小練博和である。しかしこの藩主がどうしようもなかった。
なにせ、政は興味なし。興味があるのは碁と将棋と睡眠と読書。毎日ある政務報告会は苦痛で仕方なかった。
その理由は毎日のように嫁はどうなっているといわれるからである。
このままは世継ぎがいないため藩が他の藩と一緒になってしまうと家臣たちは危惧していた。
博和は一度も嫁を娶ったことがないわけでもない。
元服を終えた翌年十六歳の時に別の藩の藩主の娘を娶ったが、まったくその娘に興味がなく夜伽すらしなかった。見かねた母とよと伯父の光信は側室を三名迎えたが、三名にも見向きもしなかった。もちろん夜伽すらしていない。
博和は元服をした十五歳の時に父より家督を半分受け継いでおり、父と一緒に藩主をしていた。
その翌年、博和が十七歳の時、藩主の権限を使い迎えた正室と三名の側室を実家に戻したのである。
そのため、男色ではないかと噂されている。
小練博和は父博則の三男である。
母は小練とよ。側室であるがとよは農民の出のため、側室の中でも位は最下位であった。
ここで大馬の国の側室の位を紹介する。
正室・側室には位よって花の紋が与えられる。
なお、各藩には花の紋がある。
小練藩は桔梗が花紋。
正室は芍薬 着物や簪・帯や帯締めなどに桔梗と芍薬の花をかたどった飾りをつける。
側室は蘭→桜→椿→牡丹→梅→竹の順番である。蘭の紋を与えれある実家は別の藩の藩主の娘に贈られる。
子供は母親と同じ紋を与えられる。男児で母が正室の場合、桔梗と芍薬の紋が入っている守り刀が贈られる。
女児であれば、桔梗と芍薬がかたどられた簪などが贈られる。
側室の子供も同様である。
桜は実家が軍部の長官や隊長の娘など、藩の役人のでも高位の娘に贈られる。
椿・牡丹・梅は豪商の娘など、商人の娘で実家がどれくらい大きい商家によって変わってくる。
竹は農家や畜産業をしている実家の娘に贈られる。
とよの実家は代々農家だったため、竹の位の側室であった。側室も位によって部屋の場所・広さが変わってくる。
なお男児を生んだとしても位は上がらない。博和は桔梗と竹の紋が入った守り刀を持っている
博和は兄が二名いた。長男の母は正室の子だったため、家督を継ぎ次期藩主になる予定予定だったが、
元服前に謎の死をつげている。二男の母は側室であったが桜の位だった。長男が亡くなり次男が継ぐ予定だったが、こちらも謎の死をつげている。
博和は三男で母の位が低かったため、世継ぎとしは認められてはおらず、世継ぎ教育もされていないかった。兄たちが世継ぎ教育されている際、博和は碁と将棋をしていた。
兄たちを相次ぎ亡くし、残った男児は博和のみであった。父は側室を十人かかえていたが、女児が二名(早逝)・男児が三名(兄二名死亡)の五名子供がいた。五名いた子供で博和のみが生き残った。
そのため必然的に博和が藩主になることになった。
博和は父に藩主になりたくないと元服の時に駄々をこねたが、結局父から半分家督をもらうことになった。
現在も父と一緒に藩主をしているが、父は表にでることはない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在 政務報告会の真っ最中である。
博和は各役所からの報告を聞いているが、まったくつまらない。そして興味全くない。
考えていることは、部屋に戻ったら書を読み将棋をやろうと考えていた。
あとおやつを何食べようかと
そんな中すべての役人の報告が終わった。
博和は欠伸をしていた。
相変わらず筆頭家老で伯父の光信は嫁をどうするのだと、長々と話してくる。
あまりにも毎日言われ、周りの役人もまたかという顔をしている。
そんな様子をみた相談役の亜見が口を開いた。
亜見「光信殿。今日はこの後市中の視察の予定があり、準備をして出立したいのだが話は終わりましたでしょうか?」と筆頭家老にとても失礼な言い方をした。しかし亜見なので許される。
光信はむっとした顔をしたが、話は終わったといい、部屋を出て行った。
しかし、この後市中の視察なんで博和は聞いていおらず、欠伸が途中で止まってしまった。
博和は亜見が気を利かせてくれたのかと思ったが違った。
視察の準備をしますので部屋に連れて行かれたのである。
この視察で博和の運命が変わることは、まだ知らない。