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099・古島のプライドが許さない


「ハァ、こいつがお前達を?う、嘘つけや!こ、こんな陰キャラ野郎があいつらに勝てる訳がねぇじゃんかよっ!」


「いや、事実だし!」


「あんたも知ってんじゃん。朔夜が恵美の事をいつもチャラナンパ野郎や立ちの悪いナンパ野郎どもを撃退して助けていたのをさぁ?」


「お、俺は知らねぇ!こいつにそんな度胸がある訳が......ない....ん..だ!」


そう言い掛けた時、古島はハッと思い出す。


恵美は朔夜がピンチからいつも助けてくれるんだと、恍惚な表情で自慢していた事を。


だがしかし、古島は恵美の事が大好きだったので、そんなノロケ話なんて聞きたくもなかったし、認めたくもなかった。なので頭の中からその情報を消し去る様に排除していた。



「フムフム、なるほどねぇ~。だから西城さんと風見さん、あんなデレデレ

した顔で光野くんの事を見ていたんだ!」


「あの二人、完全に光野君に惚れているよね?」


「そりゃそんな状況の最中、颯爽と助けてくれたら好意くらいは沸くよ!」


「うんうん。私なら断然沸くね!光野君、意外に顔は悪くない方だし♪」


「それにあの海川さんが惚れるくらいだもん、性格もいいんだろうね!」


「な、ならさ、光野くんって有料物件って事かい?」


「海川さんがいない今、言い寄るチャンスかも!?」



「「「「............ごく!!!」」」」



心愛達の会話に聞き耳を立てていた女子生徒の目付きが、鋭いハンターの目付きへと変わっていく。



「―――はう!?」


な、何だ!?


ク、クラスの女子達から、何か怖いくらいの鋭き視線が次々に突き刺さってくるんですけど!?


ん?


こ、この視線、鋭いけど殺気がない?


それに翌々見てみると......これって恍惚なる視線じゃん!?


俺はこの視線が、あっちの世界の住民が俺以外の勇者仲間にいつも向けられていた視線と類似していると気付く。


おお...おおおおっ!


や、やっぱり俺ってば、


今絶賛モテ期が到来しているのかぁぁあっ!?


女子達から飛んで来る視線が色めいた熱あるものだと気付いた俺は、頬を赤く染めてデレデレとしてしまう。



「お、おい見ろよ!?女子の連中が光野の奴をほの字の表情で見ていやがるぞ!」


「ほの字って、言い方が古いな!」


「でもま、しょうがなくね?光野の功績を垣間見れば惚れちゃうのは分かるしな!」


「まぁ分かりはするよ。分かりはするけど心は納得しないぜっ!」


「俺も同意だぜ!ただでさえ、海川さんからデレデレされていた事で嫉妬と怒りで気絶しそうだったっていうのに!海川さん無き今、クラスでナンバーワンとナンバーツーの美女、西城さんと風見さんから惚れられているんだからよ!」


「それに加え、女子達からもあんな恍惚な視線を受けるだなんて、ぐぬぬぅう羨ましいぃい!」


「っていうかあいつ、最早陰キャラじゃねぇよな......」


「ああ。元ナンバーワンの海川さんとも付き合っていた訳だし。光野の野郎、最早陰キャラの皮を被った超リア充じゃんっ!」



「「「......チッ!誰ぞの怨みを買って死ねばいいのにっ!!!」」」



男子達全員の怨恨の念が込もった視線が、俺に次々と突き刺さってくる。



「―――うひぃや!?」


こ、この男子達から受けるあの視線の威圧感!?


あ、あれは俺がいつも楊キャラに向けていた視線だっ!?


「......はは。ま、まさか俺があの視線を食らう側になるなんてな......」


女子達から向けられる恍惚な視線にデレデレしている俺に向かって、クラスメイトの男子達から嫉妬と怨恨の乗った黒い視線を受けている事に気付いた俺は、思わず苦笑いが口からこぼれてしまう。


そんな中、


「......ふざける..な、ふざけんじゃねぇ...陰キャラ風情が...信じら...れるか!認めて...たまるかぁぁっ!」


古島がぶつぶつと何かを呟いて拳を震わせていた。


そして怒りの限界がきた古島は、


「クソ陰キャラの光野如きがぁぁあっ!カースト上位に君臨するこの俺でも逃げ出したあいつらを撃退しただなんて、そんなもん嘘に決まってるだろうがぁぁあっ!!」


今にも血管の切れそうな表情で俺の前に立ち、人差し指をビシッと突き出して叫び散らす。


「う、嘘と言われてもな...ほれ、証拠!」


俺はグルグル巻きにしたあの不良どもの画像を古島に見せる。


「く!そ、そんな画像、加工したフェイクに決まっている!」


「じゃあ、あーしら達の証言はどう説明するし?」


「そ、それは...そう!こいつが魔道具か何かでお前達を洗脳したんだよ!」


「はぁ!?」


「そ、そうさ!だから海川も、光野なんて陰キャラに惚れていやがったんだっ!じゃなきゃ、こいつみたいな陰キャラクソ野郎になんて惚れる要因がある訳ねぇじゃんかよっ!何て卑劣な野郎なんだ、てめえはっ!」


古島が拳をブルブルと震わせ、先程よりも更に怒りを露にした顔で俺の事をギロリと睨んでくる。


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