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096・亜依子が右腕にあーしが左腕に


「えっと、実は......」


朔夜くんが苦笑顔で迷子になっていた理由を話してくれた。


「ほうほう。マドサイに......かぁ。なら、丁度良かったよ♪」


亜依子が朔夜の迷子の理由を聞き終わった後、それならばと胸ポケットから数枚のチケットらしきものをスッと取り出す。


「ん?それは?」


「これはね、マドサイの無料チケット。で、この無料チケットを使うべく心愛と古島でマドサイにレッツラゴーしていた途中、こいつらから強姦紛いの強引なナンパを食らっちゃったってわけよぉ!」


亜依子がそう言うと、ロープでグルグル巻きにされている三人の不良を心から蔑んだ目で見る。


「わたし達をこいつらから助けてくれたお礼に、この無料チケットを朔夜にあげるね、ほいどうぞぉ♪」


亜依子はウインクをパチンとすると、三枚あるチケットから一枚抜き取り、それを朔夜くんに手渡す。


「む、無料チケット......無料って事はさ。いくら食べても無料...って事か?」


うふふ。朔夜くん、可愛~い質問するなぁ♪


無料なんだから、そりゃただっしょ♪


「ふふ。そりゃ~無料チケットだからねぇ!」


あーしが朔夜くんに微笑ましい表情を浮かべてクスッと笑うと、亜依子もまた同様にクスッと笑う。


そんなあーしらの言葉を聞いた朔夜くんは、


「マ、マジでか!こんな良い物、ほ、本当に貰ちゃってもいいのっ!?」


ドキドキと喜色満面の表情で亜依子にそう問うてくるので、


あーしは亜依子を遮る様にグイッと前に出る。


そして、


「どうぞどうぞ、遠慮なく貰えし♪」


朔夜くんにとそう言った後、ニシシと笑顔でサムズアップする。


「――って、お前が言うなっ!」


自分の手柄にしようとするあーしに、亜依子の素早いツッコミが返ってくる。


「...コホン!勿論キミへのお礼なんだから、遠慮なく貰ってくれっ!助けてくれたお礼としては少ないと思うけどさぁ!」


あーしの行動に呆れつつ、亜依子が改めてチケットを朔夜くんに手渡す。


「いやいや!そんな事ないよ。とっても嬉しいよ!サンキュな、亜依子♪」


朔夜くんは無料チケットを貰えてよほど嬉しかったのか、無料チケットを天に掲げてその場をクルクルと回り出す。


わきゃ!


な、何朔夜くんのあの屈託のない笑顔!?


マジ可愛よす♪


「はは、喜んでくれてなによりだ♪それじゃ朔夜、改めてマドサイにレッツラゴーと行こうかぁ~♪」


あーしが朔夜の喜びさまに頬を緩ませていたその時、亜依子が朔夜くんにゆっくりと近づき、そして朔夜くんの右腕に力強くギュッと抱き付いた。



―――なにぃぃいぃぃいっ!?



あ、あ、あのアマァァアアァァアッ!


や、やや、やりやがったぁぁぁあっ!?


亜依子のいきなり見せる大胆な行動に、あーしは驚きと仰天で目を丸くして思考が止まってしまう。


ぐぬぬぅうぅっ!


あ、あんただけにやらせるかしぃぃぃいいっ!!!


「ああ!ズッコイぞ、亜依子~!あーしはこっちの腕っと♪」


ハッと我に返ったあーしは、パニクった気持ちをグッと抑え込むと、冷静な振る舞いにて亜依子に負けるかとばかりに、朔夜くんの左腕に勢い良くギュッと抱き付いた。


「――ち、ちょっと!?あ、亜依子さん!こ、心愛さん!?」


そんなあーしらの積極的な行動に対し、朔夜くんが動揺で狼狽えてしまう。


「こら!さん付けはなしって言ったよねぇ?」


「言ったし!」


亜依子とあーしは緊張とドキドキがバレないよう、駄目でしょうという膨れっ面とジト目で朔夜くんのさん付けを注意する。


がその直後、


朔夜くんの表情が、突然驚愕とも訝しむとも言えぬ表情に変わっていき、その身体をブルブルと震わせていく。


「え!?ど、ど、どうしたの、朔夜?そんな訝しむ顔をしちゃって!?」


「も、もしかして朔夜くん。こうされるのが嫌だった...し?」


そんな朔夜くんの表情を見て、あーしと亜依子は自分達の態度や行動のせいなのではと、戸惑いと不安でオロオロとしてしまう。


「...おっと。何か勘違いさせちゃったみたいで、ホントゴメンッ!別に二人に抱き付かれて嫌だなんて気持ちはちっともないから。ただ突然二人から抱き付かれたビックリと緊張の表情が訝しんでいる顔に見えちゃっただけだから!」


あーしと亜依子の戸惑いと不安になっている表情を見て、朔夜くんが慌てて誤解だと謝ってきた。


「そ、そっか。それならよかったよ!」


「うん。あーしも安心したしぃ~♪」


誤解の解けた亜依子とあーしは、心の底から安堵でホッとする。


「では安心した所で、そろそろマドサイに行こうか?こいつらのせいで精神が疲れたのか、何かお腹が空いてきちゃったよ!」


「賛成!あーしのお腹ちゃんも、早くストレス解消に甘味さんを食べさせろやって、さっきから煩いしぃ~!」


亜依子の呼び掛けにあーしは軽く頷くと、朔夜くんの腕にぎゅうっと抱き付いたまま、マドサイのある場所へと歩いて行く。


くくく。見てるがいいし、亜依子。


そんなデレデレ顔、していられるのも今の内だけだぞし!


何故なら、


「この勝負、絶っ対にあーしが勝つからだしぃっ!!」


「ん?勝負?勝つ?」


「はう!?な、何でもないし!さ、さぁ朔夜くん。ちゃっちゃとマドサイに行くぞしっ!」


朔夜くんに頬を赤く染めたデレデレ顔を見せている亜依子に向かって誓った宣言がついうっかり口から洩れてしまったあーしはそれを慌てて強引に誤魔化すと、抱き付いている腕をグイグイ引っ張り、朔夜くんと...ついでに亜依子と共にマドサイに向かうのだった。


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― 新着の感想 ―
妹のときも思ったが、回想が長すぎる。文字稼ぎ。
[一言] 吠え魔ーはこれだから!(•▽•;)(終わらせる気のないエタリスト友いう。)
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