087・陽キャラの専売特許、意味不明の逆ギレ
「ふう...やれやれ。相変わらず、陽キャラ連中どもは口だけは一丁前で達者だな。で、もう言いたい事はもう全部言い終わったのか?だったら俺達このゲームをやりたいんで、部外者はさっさとここから消えてくんないかな?」
しかし俺は相手の持論なんぞに全く聞く耳持たないという顔をしながら、レースゲームの機体をパンパンと叩き、もう片方の手でナンパ野郎達にあっち行けと上下にふりふり振る。
「こ、こいつ!言わせておけば、陰キャラの癖にぃぃぃいっ!どうやらこいつには言葉よりもこっちで語った方がいいみたいだなぁぁあっ!!」
眉をヒクヒクさせたチャラナンパ三人組のひとりが俺を殴るべく、両拳をパキパキ鳴らして近寄ってくる。
「陰キャラのてめえに人並みの礼儀を教えてやるよ!くたばれやぁぁあ!陰キャ―――――グギャ!!?」
俺はそんなチャラナンパ野郎の土手っ腹に、スキル『無気弾』を無言で叩き込んだ。
「アギャ!ウギャ!ノギャ!!」
するとチャラナンパ男は俺の無気弾の衝撃で、地面を情けなく何度もゴロゴロと転がっていく。
「な!?く、草生っ!?」
「ど、どうしたんだよ、草生!?そんな派手に転んで!?」
突如奇っ怪な動きで転がって行く仲間に、ナンパチャラ三人組の一人が大慌てして駆け寄って行く。
「だ、大丈夫か、草生.....ゲ、ゲェエエッ!?こ、こ、こいつ...き、気絶していやがる!?」
転がった先で倒れ込んだ仲間...草生をチャラナンパ男が抱き上げると、口から泡を吹いて白目を剥いている草生の姿を見て唖然とする。
「うぷっ!無様に転んだうえ気絶って、超ダサいんですけど~!うぷぷぷ♪」
みっともなく気絶しているチャラナンパ三人組のひとり...草生を見て、心愛が腹を抱えてクスクスと笑う。
「......ねぇ、朔夜。あいつのあの惨状、もしかしてあんたがやったの?」
「まぁね♪」
亜依子の問いに、俺はニカッと笑顔をこぼす。
「ク、クソガキが!てめえ、よくもやりやがったなぁぁぁあっ!!」
怒りを露にしたもう片方のナンパチャラ男が、俺を思いっきり睨む。
「うわ出たよ、出た出た!陽キャラさんの専売特許、意味不明の逆切れが!見ていなかったのか?俺何もやってないじゃん?そいつが勝手に転んで気絶しただけじゃん!」
な~んてね♪
「っていうか。仮に俺がやったとしてもこいつが先に攻撃してきたんだ。それに反撃をしたからといってお前に文句を言われる筋合いは全くないと思うんですけど?」
だというのにあんなにキレるだなんて、ホント子供かよ。
「う、うるせぇぇえ!陰キャラ風情がぁぁあっ!てめえみたいな陰キャラが俺を馬鹿にするんじゃね――――――は、はは、はひぃぃぃいいいっ!!??」
謎の怒りを俺に向けてくるチャラナンパ男が、その怒りに任せてこっちに突進してくる。
そんなチャラナンパ男に対し、俺は軽く威圧スキル『無者の威圧』を放つと、その瞬間チャラナンパ男が絶叫の声を荒らげ、それと共に股間を黄色の染みで湿らせていく。
「うげげ!?あ、あのナンパ男、小便漏らしてじゃんか!?き、汚いなぁぁあっ!エンガチョ!バァァリアーーッ!!」
盛大にお漏らしをしたナンパチャラ男を見て心愛がドン引きした顔で両方の人差し指で重ねてクロスを作り、そして謎の言葉を何度も口にする。
「あ、あれも朔夜がやったの?」
「そだよ♪習得したスキルに威圧系があるんだ、俺!」
「へぇ~威圧系のスキルを覚えているんだ、朔夜って?でも威圧系ってレベルの差がないと全く効かないって聞いたんだけど、めっちゃあいつに効いてるねぇ?」
「まぁこう見えても自分鍛えていますし♪」
俺は亜依子にしたり顔でそう言った後、最後に残ったチャラナンパ男に目線を向ける。
「で...最後のあんた、どったのよ?そんなボケッと突っ立ってさ?その二人みたく俺に掛かって来ないのかな?あれだけ蔑んでいた癖に、もしかして陰キャラの俺が怖いのかなぁ~?」
そして俺はその最後に残ったチャラナンパ男を煽る様にニヤニヤした表情で挑発する。