079・ノーコメント
「な、なるほど。そんな経路があって今の現状か。まるでアニメやマンガの世界みたいな展開じゃん......モグモグ」
「いや~ホンマジ助かったよ~朔夜くん!あーし、完全にもう終わったぜって思っちゃったもん......パクパク」
「あの古島のクソ野郎の行動もあって、絶望が加速してたから特にねぇ!本当にサンキューだよ、朔夜!......ハグ、ゴクゴク」
「はは。どう致しまして亜依子、心愛。ああ~にしても久しぶりの味だ!モグモグ、パクパク。はああ、ポテトが旨い!カリカうめぇぇえっ!」
「ちょ、ちょい待ってお前達。い、今サラッと名前呼びで呼び合っていませんでした?」
俺達は何で亜依子と心愛が一緒にいるのか、注文した品を食べつつ説明していくと、隅田が目を大きく見開き、俺達の名前呼びを驚いている。
「モグモグ...それはあいつら、亜依子や心愛からお互いに名前で呼ぼうって言われたからな......ゴクゴク、ぷはぁっ!」
「まあ、翌々考えたらそりやそうか。そんな窮地を華麗に助けられれば、そんな感じにもなるか。俺が女だったとしても、同じくキュンってしてしまう展開だしな......」
隅田は自分を女に置き換えてみて、自分もそんな助けられ方をすれば、亜依子達みたいになるかと、朔夜達の名前呼びに納得する。
「話は戻るが、ヒドイ奴だな古島の野郎。あんだけクラスの中で威張っていた癖によ......」
「あいつ、あーしらを守るどころか、一番先に逃げ出すんだよ~!本当かよってビックリしちゃうよねぇ~!」
「わたしビックリし過ぎちゃって、唖然としちゃったよ!」
心愛と亜依子が苛立つ表情で当時の状況を思い出す。
「あのイキリ野郎、明日学校来れないんじゃ?ああ、このスパイスいけるな!」
「いや、あいつは来ると思うぞ。あの野郎、面の皮が厚いからなぁ。おお、本当に美味しいじゃん、このスパイス♪」
「どの面下げて学校に来るつもりなんだろうな、あいつ?ハァ~ハンバーガーウメェ~モグモグ♪」
「あ、そうだ!それよりも光野。華宮さんの話だ!華宮さんとはどうやって知り合いになったんだ?さぁさぁ、詳しくカモ~~ンッ!!」
隅田が手にしていたハンバーガーをモシャモシャと一気に食い終わると、テーブルから身を乗り出して理緒さんとの関係を聞いてくる。
「ああ、それを聞きたいってここに来たんだったな。う~~んそうだな。理緒さんと出会った切っ掛けは、亜依子達と少し状況は違うかもだけど、概ね結果は一緒な感じかな?」
「え?朔夜くん、あの真面目委員長と知り合いなの?」
「そういえば今日の朝、朔夜を思いっきり庇っていたよねぇ?それに昼休み、二人で一緒にどっか行っていたし?」
「概ね西城さん達と一緒っていうと、もしかして理緒さんも西城さん達と同じで誰からかナンパされていたのか?華宮さんがナンパされている現場をよく見かけるしさ?」
隅田が手のひらを拳でポンと叩くと、華宮さんがよくナンパされていた事を思い出す。
「お!鋭いじゃん、隅田。確かに理緒さんの状況も亜依子達と似たような状況だったよ。で、昼間休みにそのお礼を言われたって感じかな?」
他にも連絡先とか名前呼びとか色々あったけれども、だがその事を隅田や亜依子達に言うと面倒そうなので、それは割愛する事にした。
しかし、
「......本当にお礼だけか?」
「お礼だけじゃないよねぇ?だって真面目委員長の事を名前呼びしてるし?」
「うんうん。それに真面目委員長、学校から帰るまで終始ご機嫌だったし~?」
隅田や亜依子達が、怪しいという疑いのジト目でこっちをジィィーと見てくる。
「プ、プライベートの話なんでノーコメントで。どうしても詳しく聞きたければ理緒さんに直接聞いてくれ!」
俺は目の前に両手をクロスしてバッテンを作る。