078・どういう事だよ!?
「「「いらっしゃいませ~!」」」
俺達がマクサイの中に入ると、店で働いていた店員達がこちらを向き、そして元気良い挨拶をしてくる。
「んじゃ、注文はわたしがしてくるよ。心愛と朔夜は何を注文する?」
「あーしは卵入りハンバーガーとサラダポテトの小、そして塩唐揚げでよろよろ♪あ、デザートはそれらを食べた後に改めて頼むから今はまだ頼まなくていいよ♪」
「俺はチーズハンバーガーを6個、フライドポテトの大をふたつ、そしてホットチキンをふた、いいや3個で!」
「え?さ、朔夜、そんなに食べるの?も、もしかして数個は持ち帰り用かな?あいにく、その無料チケットは持ち帰りは対象外だよ?」
「いいや、ここで全部食べていくよ。あ、それに俺も心愛と一緒でデザートを後で食べる予定だから、デザートはまだ注文はしなくていいよ!」
「そんだけ食べてデザートは別腹って...い、意外に大食間なんだな、朔夜って?」
「はは。これでも抑えている方なんだけどね......」
「マジで!?」
何せあっちの世界じゃこれくらいの量を食わないと、直ぐに体力が尽きてバテててしまっていたからな。
「そ、それじゃ。わたしが注文している間、心愛達は座る席を確保しててねぇ~!」
「了解!任せろし、駄弁るのに良い席を取って待っているし♪」
心愛は亜依子にそう返事を返すと、早速とばかりに丁度良さそうな席を探すべく店の中をくまなく見渡す。
「どれっどれ~良い席は空いているか......ん?あの男子生徒...どこかで見た事があるんですけど?誰だっけ?」
目線の少し先に、見覚えのある男子生徒を見つけた。
「ねぇ、朔夜くん。あいつどこかで見た事ないかい?」
「いや、陰キャラの俺に聞かれても......あっ!」
「ああ~光野!今頃来やがったっ!ったく、いつまで待たる気だよっ!教室を出たのは...お前が先...だった......癖に......って、ええええっ!?なな、な、なんで風見さんがお前と一緒に!?っていうか、なな、何でそんな恋人のような腕組みをぉぉぉおっ!?!?」
「ねぇ聞いた聞いた、朔夜くん!あーし達恋人のようだって!キャ~♪テレるしぃ~~♪」
隅田の言葉を聞き、心愛が顔を真っ赤にしてキャーキャーとテレまくる。
「いやいやいや!?何がどうなってそうなっちまったんだよっ!?だ、だってお前!朝はその風見さんからあんなにも揶揄われていたじゃんかよっ!?」
隅田が目の前で起こっている状況を理解出来ずにいると、
「アホじゃん、隅田。そんな過去話なんてとっくに忘れたし!あーしらは未来に生きてんの、隅田も過去なんか見ずに未来を見据えろだし~。あ~でも、あんたその顔と一緒で性格ねちっこそうだから無理難題か~♪う~け~る~~♪」
心愛がキャハハと笑いながら、隅田の頭をリズム良くポムポムと叩く。
「ぐぬぬ...な、何か物凄く苛立つぅぅう。お、お前よくこいつらの揶揄いに今までキレなかったな......」
隅田が眉をヒクヒクさせながら、心愛の陽キャラ特有の態度に思いっきりイライラ口調で愚痴をこぼす。
「よく今までキレなかった...か」
その理由は簡単、
恵美と付き合っている間はラブラブモードでそんな揶揄いなんぞ、全く気にならず。
恵美と別れた後はネガティブモードだったんで気にならず。
そして今日の揶揄いは、久しぶりの学校へ登校なのと、あんな程度の揶揄いや蔑み妬みなんかよりも、あっちの世界の貴族や王族連中の方が格段に凄かった事もあって特に気にはならなかった。
「......ホントあっちの世界の貴族や王族は、マジレベルの殺意が沸くからな。それに比べたらこいつらの揶揄いなんて可愛いもんだよ......」
俺はか細い声で心愛達に聞こえない様にそう呟く。
「おまったせ~っ♪っていうか、二人でなにをそんな大声で馬鹿話をしてんのぉ~?」
そんな中、注文を終えた亜依子が帰ってきた。
「な!?さ、西城さんもいんの!?」
「ん?誰、このモブ?何でわたしの名前を知ってんのさ?」
「ええ!キミもかよ!俺、キミと同じクラスなんだけど~っ!?」
隅田の無情なる叫びが、マドサイの店中に響き渡る。