表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/141

007・イケメンとモブ


「彼女......か。そういえば、あいつもイケメンに目が眩んだひとりだったな」


俺はかつて仲睦まじく毎日をイチャイチャな関係だった元彼女...恵美の顔を脳裏の中に思い浮かべる。


「でも面白いよな。あれほどに恵美の裏切りに苛ついていたっていうのに、今はもうそんな感情が一切沸いてこないなんて......」


召喚された当初、俺は浮気しやがったあいつへの怒りだけを糧として、異世界で強くなっていった。


そんな俺だったっていうのに、


今では「そんな奴もいったっけ?」ってな感じで懐かしむ様になっているんだもんな。


「はは...ホント、感慨深いよな......」


でもさ、異世界での生活の中、イケメンと言われる連中と関わって俺はつくづく思ったよ。


俺らみたいな普通人...陰キャラは、イケメン陽キャラどもには戦わずして敗北してしまう運命(さだめ)にあるんだという事に。


母さんから聞いた話じゃ、恵美の浮気相手であるイケメン野郎も学校一の文武両道で、勉強もスポーツもトップクラス。


二年生の時には生徒会長にも選ばれたらしくて、そんなんだから当然、女子生徒にもモテモテな存在らしい。


「こんな奴が相手だったんだ。当時の俺が有無も言わせずに恵美を取られてもしょうがないか.....」


だってあの当時の俺って、ホント何の取り柄もない陰キャラだったからな。


「......そんな奴の努力や頑張りなんか、完璧イケメンの前じゃ、霞んで消えて当たり前か......」


恵美の浮気相手とその当時の俺とでは、あまりにもレベルや住む世界が違った事に「......あはは」と、思わず苦笑いが口からこぼれ落ちてしまう。


「ふん......まぁいいさ。所詮、今更のお話しだからな.......」


そんな事よりも......まずはこっちだ。


「おお、スゲェッ!めっちゃ若いじゃん、俺の顔っ!メリアーナの言った通り、

俺ってば、本当にあの時の年齢に戻ってんだなっ!」


俺は取り敢えず、イケメン共の事をポイと横に放り捨てると、近くにあった鏡に映っている自分の顔をペタペタと両手で触り、若返っている自分の姿に驚きを露にする。


「それに時間の方も、あの時に戻っているな......」


ポケットに入れていたスマホをスッと取り出して電源をオンにすると、俺がトラックに引かれる前、家を出る時に見た時計の時間...それに近い時間が携帯電話に表示されていた。


「......それに」


目の前にある壁に貼ってあるポスターへ、俺は目を移す。


「これもメリアーナの言う通りか......」


メリアーナがいうには、こちらの世界でも俺達勇者の力の影響にてバランスが狂ってしまうだろうと告げられていた。


しかしそのバランスの狂いは、致命的な崩れではないそうなので、神々の協議の結果、それを放置する事となったらしい。


そしてそのバランスの狂いがどんなものかと、俺がメリアーナに問うと、


それはあちらの世界にあった魔物の巣窟『ダンジョン』。


各階層が草原だったり、山だったり、海だったりと異なる場所が

待ち受けている『地下迷宮』。


下層へ下層へと降って行き、最下層を目指すダンジョンや地下迷宮とは

違い、上へ上と昇って行き、頂上を目指す事が目的の『塔』。


これらがこちらの世界にも出現するだろうと。


そしてその変化に伴い、こちらの世界の種族にも、あちらの住人同様にスキルや魔法、レベルやステータスがこちらの世界の住人にも備わるだろうとの事だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
元々死んだ魂なんだからそのまま成仏させれば何も心配することなくなるのにね
[気になる点] 魔王が勇者に置き換わって現状維持に留まるのが重大なバランス崩壊で、世界自体が変化するのが許容範囲のチョイ変化??? もうちょっと違う理由にはならないのかな? 矛盾してるというか、無理…
[気になる点] >致命的な崩れ ダンジョンができるのは致命的やろ。 価値観が大転換されるわけで・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ