063・ウザ絡みイケメン野郎をボコりたい
「うぐぅ!ク、クラスメイトの視線が.........痛いっ!?」
陽キャラ三人に絡まれている俺の姿を見て、クラスメイトの連中がまた始まったぞという視線をこっちに向けてくる。
くそっ!
それもこれも全部こいつのせいだっ!
挙げ句、恵美の友達にも見つかっちまうしさ。
俺は苛つく表情で、ウザ絡みイケメン野郎を静かに睨む。
「......っていうか、こいつ一体誰なんだよ?」
クラスでこんなに鬱陶しい友達なんていなかったと思うが?
だって俺、陰キャラだから友達と呼べる者が皆無だった筈だもん。
あ、でもこの感じ...
何とな~くだけど、記憶にあるぞ?
えっと、確か...............ああっ!
ハイハイ、思い出したっ!!
俺の記憶が正しければ、こいつはクラスのカーストトップのひとりで、恵美と付き合い始めてから今まで初中俺にウザ絡みをしてきた奴だ。
俺の肩に腕を回し、ニヤニヤ顔でウザ絡みしてくるイケメン野郎の事を朧気ながらも何とか思い出す。
「古島の奴、本当にイラッとくるニヤニヤ顔をするよなぁ~!」
「でもあいつ、執拗に光野に絡むよねぇ?」
「あいつあんなクソみたいな性格だけど、一応カーストトップでイケメンだからなぁ。なのに自分を差し置いてモブ顔の陰キャラである光野がこのクラスどころか、他を含めた三年全てのクラスで可愛がった海川と付き合っていた事が古島の奴にはどうにも許せなかったんだろうな!」
「そりゃ許せないだろうさ。だって古島の奴、海川の事をめっちゃ大好きだったもん♪」
「古島の奴はバレていないつもりだったみたいだけどな♪」
「あんな露骨な態度をとっていれば、バレバレだっつ~の♪」
このウザ絡みイケメン野郎が何故ここまで絡んでくるのか、その情報が俺の耳に入ってくる。
「ふ~ん、なるほど......ねぇ」
そういった経路のウザ絡みなんだ、これ。
......ちぃいっ!あの浮気クソ女めぇぇええっ!
こんないらん置き土産を置いていきやがってぇぇええっ!!
しっかしこいつのニヤニヤ顔、マジで苛立ってくるなぁ。
「てめえのそのイケメンフェイス、不細工に変わるまでボコボコにしてやろかぁぁあ―――っ!ああぁぁぁぁああ――――んっ!!!」
俺は心の中でそう叫声すると、思わずこのウザ絡みイケメン野郎の顔面を何倍にも腫れ上がるまで殴ってしまいそうな衝突にかられる。
―――ハッ!?
おっと、いかんいかん。
そんな事をやってしまったら、確実にクラスメイト達からドン引きされちまう。
じ、じゃあ、デコピンで軽くなら?
......いや、それも駄目だな。
デコピンした瞬間、ウザ絡みイケメン野郎が壁に吹っ飛んで行き、クラスメイトの様々な視線を食らうのが目に見えてくる。
し、しかしなぁ、そろそろ俺の寛大な堪忍袋も限界に達そうだし。
もしそうなってしまった場合、ドン引くどころの話で済まなくなってしまう可能性が高い。
......くっ!
何か...何かないか、
目立つ事なく、こいつをボコッてスカッとする良い方法がっ!!
う~~~~~~~んっ!!!
―――ハッ!?
こ、これならどうだろうか?
死なないLVの力でこいつの頭を軽く小突き、
そしてその後、ささっと素早く上級ポーションを数本使用して死に掛けているこいつを回復させるってのは!?
今の俺のスピードなら、その動作を一秒以内にやれる筈だっ!
......よしっ!
この方法ならギリギリだけど......イケるっ!!
未だにウザ絡みしてくるイケメン野郎をどうやって撃退しようか、その方法をあれこれ模索した結果、及第点だが何とかその撃退方法を見つけ出した俺は「やってやるぜっ!」と小さき声で意気込んだ後、拳を静かに振り上げる。