059・ふににぃ~まぁねぇ~~♪
「安心しなさい、理緒。さっきも言ったけれども理緒の恩人をどうこうしようとかは全くないからさ!」
桜はニコッとした笑顔で、理緒の不安を解消させる。
「......さて。理緒の疑いを晴らした所で、今日学校はどうすんの理緒?こんな目に合った事だし、今日は学校は休んだ方がいいんじゃ―――」
「――ううん。学校にはちゃんと行くよ。だってせっかく後もうちょっとで皆勤賞だっていうのに、それをあの人達のせいで逃すのは何か釈だからさ!」
それに学校に行かないと光野君に会えないし、お礼も言えないしねぇ。
「か、皆勤賞!?くく、うふふ...そっか、そっか~っ!あのお馬鹿連中に受けた精神的苦痛のアフターケアよりも皆勤賞が大事かぁ~♪くくく!いやはや、流石はアタシの妹だっ!度量が違うねぇ~あはははっ♪」
理緒の言い様に桜は唖然とした後、腹を抱える様に笑い出し、そして理緒の肩を豪快にパンパンと叩いてくる。
「ちょっ!い、痛い!痛いってば、お姉ちゃんっ!?何が嬉しいのか分かんないけど、もうちょい手加減して叩いて!お姉ちゃんの戯れはケガとかでは済まないレベルなんだから~~っ!」
桜のよって叩かれたヒリヒリする肩を手で擦りながら、理緒がプンプンとした表情で怒る。
「おっと!メンゴ、メンゴ!気を付けなきゃっていう心掛けは一応しているつもりではいるんだけど、でもついついうっかりと力が入っちゃうんだよねぇ~てへへ~♪」
理緒の苦言に対し、桜が苦笑いを浮かべながら舌を小さくペロッと出して両手をパチンと合わせて謝罪する。
「そう言えば、あいつにもよく......」
『だぁぁあもうっ!いつもいっつも口酸っぱく言っているだろうがぁぁぁああっ!手加減をしろ!手・加・減・をっ!!俺の全身という全身の骨を全て複雑骨折にするつもりか、おのれはぁぁああっ!!!』
「...ってな感じで、理緒みたくに注意と文句と愚痴をこぼされていたっけ♪」
桜はあいつと呼んだ人物とのやり取りを思い出し、それを懐かしむ。
「......ん?またあいつさんが出てきましたね?ねぇ、桜お姉ちゃん。そのあいつって人物、さっき桜お姉ちゃんの話に出ていた人とおんなじ人だよね?桜お姉ちゃんのその口調の雰囲気から察するに、男性みたいだけども?」
でも珍しいよね、桜お姉ちゃんが男性に対してそんなにも気さくな感じの態度を見せるなんて?
何故なら桜お姉ちゃん。
自分にいい寄ってくる男性達を、まるでゴミでも見るかの様な目線で見ながら馬声と蔑んだ態度でいつも撃退していたからなぁ~。
なのに、そんな桜お姉ちゃんが......
......ん?
「――――ハッ!?」
......っていう事は、もしかして桜お姉ちゃんっ!?!?
「......あ、あの~桜お姉ちゃん?さ、桜お姉ちゃんのその態度と口調を垣間見るにさ、もしかしてひょっとして、そのあいつって人の事......す、す、好き......なの??」
理緒が何かに勘づいた表情を見せた後、おそるおそるとその勘づいた疑問を桜に投げると、
「ふににぃ~まぁねぇ~~♪」
あいつという人物が好きなのかと問われた桜が、その瞬間に顔をふにゃふにゃとさせると、理緒の言葉をニヤケ顔で肯定する。
「なぁっ!?なぁああっ!?え?ええ!?えええ!?!?マ、マ、ママ、マジ......なのっ!?ほ、ほ、ほ、本当に本当なの!?桜お姉ちゃんっ!?!?」
そんな桜の恍惚な表情でのデレデレっぶりを見て、理緒は思いっきり両の瞳を大きく見開いて喫驚してしまう。