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054・GTP


「ええぇい!ちょこまか、ちょこまかと動くんじゃねぇぇぇえええっ!」


俺がかつての悲しくもほろ苦い思い出に浸っていると、小鉄が俺を掴まえて携帯電話を奪い取るべく、しつこく右に左にと手を伸ばしてくる。


「いや~これでもゆっくり動いているんですけどねぇ。まぁいい、じゃあリクエストにお答えして止まってあげるよ。ほれ、これでどうだおっさん♪」


俺は右に左にと動いていた身体をピタリと止める。


「クソガキがぁぁぁあ!どこまで俺をコケにするつもりだぁぁぁああっ!!」


俺の挑発行為に小鉄が顔を激怒で真っ赤にすると、拳を大きく引いて力任せに俺に向かって振りかぶってくる。


「......やれやれ。動いても怒る、動かなくても怒るって...ちぃ~とばかし我が儘が過ぎるんじゃねぇの......おっさんっ!」


「な!?は、速い!う、動きが全く見えな――――グハ!?」


俺は動きを止めると同時に小鉄の頭上に踵を思いっきり落とし、変態イケメン同様に気絶させる。


「ふう、これでよしっと。さて...そこのキミ、大丈夫かい?」


大柄のおっさんを撃退した俺は、無用の倉庫から硬度の高いロープを取り出し、イケメンと小鉄をグルグル巻きにして捕縛をした後、女子生徒のいる方に静かに歩いて行く。


「は、はい。ありがとうございます。おかげで助かりました!」


「いえいえ。で、そいつらどうする?」


俺は女子生徒からの感謝の言葉を受け取ると、ロープで縛りあげたイケメンと小鉄を指差す。


「そ、そうですね。やった事が事なので開放とはいきませんから、取り敢えずは『GTP』に通報し、この連中を連行させます!」


「ん?GTP??え、えっと、そのGTPって...何?」


「ええ!し、知らないんですか!?冒険者やギルドに関わる人物がスキルを悪用して犯罪人となった連中を捕獲する、ギルド専用特殊パトロール強化部隊...通称『GTP』。各ギルドから選考された人達で結成された組織の事ですよっ!」


「へぇ、そんな部隊があるんだ?」


「はい。冒険者や一部のギルド員は一般人と違ってダンジョン等でレベルを上げて身体能力をぐんと上昇させます。そんな連中を普通の法で捕縛するのはかなり困難...というか、ほぼ無理です。であれば、そんな連中を捕縛するべく組織が必要となり、そして結成されたのがGTPなのです!」


俺がハテナ顔で首を傾げてると、女子生徒が『GTP』とはなんぞやを説明していく。


「......なるほどねぇ」


そういや、説明会のお姉さんも言っていたっけ?


一般人と冒険者とでじゃ、子供と大人の喧嘩レベルだって。


軍隊や近代兵器に楽勝で勝てちゃう連中だもんな、上位ランクの冒険者って。


「......そんな連中を掴まえられる奴が誰もいないとなると、世界中が混乱して無法地帯と化しちゃうよな......」


俺がGTPの存在に理解と納得をしていると、


「...はい。はい。分かりました。...十分後にですね?はい、ではここでお待ちしています!」


被害に合った女子生徒がGTPに電話を掛けて通報していた。


「今から捕縛隊を引き連れ、十分から二十分後くらいにこの場所に来てくれるそうです!」


「へぇ~思っていたより迅速な対応だね?」


思っていたよりもGTPってちゃんとした真面目な組織なんだな。


GTPの本拠地がどこにあるかは知らないけど、その時間内にここに来るなんてさ。


「......でもマズいな」


そいつらと接触したら、この状況の説明や俺の説明とかで色々面倒な事に巻き込まれてしまう予感がする。


っていうか、確定だろう。


......よ、よし逃げるか。


「そ、それじゃ、キミ。お、俺は用事があるのでここら辺で失礼させてもらうとするね!」


俺は面倒ごとは絶対にイヤなので、急ぎここから離れる事にする。


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― 新着の感想 ―
[一言] オリハルコンの希少性とか必要性とかが謎。 そういうのをわざわざ使って放置するのはギルドに目をつけられるための伏線なのかなとかとか。
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