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051・久しぶりの学校



―――冒険ギルドに冒険者の登録をしに行った翌朝。



俺は学校に行く為の準備を終えて一階に降りると、母さんの用意してくれていた朝御飯を食べ、そして食べ終わると行ってきますの挨拶と共に家を出て行く。


因みに成美は部活の朝練があるらしく、先に家を出ている。


「それにしても学校か.........」


いやホント、久しぶりだな。


「しかし......」


あっちの世界で数年過ごした事で、俺の実際年齢は二十歳を超えている。


なので、何か今さら学生服を着るのが正直いってメチャクチャ恥ずかしい事この上ない。


俺は着ている学生服を腕、足、身体、背中と順番に見渡しながら顔を真っ赤に染めてしまう。


「まあいい。その内に慣れてくるだろうさ。さて学校に行―――」


「―――ですから、あなたとは付き合わないって昨日言いましたよねっ!」


俺が学生服の恥ずかしさを諦め、改めて学校に行こうとした瞬間、少し離れた通路から怒りを含んだ女性の大きな声が聞こえてきた。


「な、なんだ、今の声は?」


俺は何事とばかりにその声の聞こえてきた通路に早足で近づいて行くと、建物の影からソロリと聞き耳を立てる。


すると、


「またまた~そんな事を言っちゃって~。本当はさ、僕と付き合いんだろ?昨日みんなが周りにいたから緊張で断っただけなんだろ?ふふ、分かってる。僕にはちゃんと分かっているから!もうそんな嘘はつかなくてもいいんだよ♪」


鼻につく声が俺の耳に聞こえてきたので、その声の主を確かめるべく俺は建物の影からチラリと覗き込むと、そこには優男の風貌を醸すイケメン男子生徒が目の前にいる可愛らしい女子生徒をナンパしていた。


そしてニヤついた笑顔でその女子生徒の頬を撫でようと手を持っていく。


が、


「触らないで下さい!私は緊張もしていませんし、嘘もついてはいません!」


女子生徒不愉快そうな表情をして、イケメンの手を思いっきりパシンッと叩き払う。


「じ、じゃあ、なんで断るんだよ!僕の様なイケメンで金持ちで文武両道な完璧男に告白をされているってのにさっ!」


「それですよ、それっ!自惚れが強いんですよ、あなたは!ハッキリいって私、斜に構えたり、自尊心の強い人って大嫌いなんですよ!で、用はそれだけですか?ならもう済んだようですし、私は失礼させていただきますね!」


男子生徒の顔をまるでゴミでも見るかの様に睨んだ後、女子生徒が踵を返してその場を去って行く。


「くそ、なんだその態度はぁぁあっ!折角...折角、このエリートである僕が告白してやったっていうのにぃぃぃい....おい、小鉄っ!」


「はは!」


苛立ちを見せるイケメン男子生徒が低い声で手をバッと上に上げると、小鉄と呼ばれた大柄な男がイケメン男子生徒の後ろにある壁の間からヌーッと出来てきた。


「ふふふ。多少強引になるけど、これも僕らの愛には必要な悪だ。きっとキミも僕の魅力に気づけば、この行為を許してくれるだろうさ。さぁ~捕縛しろ、小鉄っ!」


イケメン男子生徒がそう言い訳をしつつ、この場を去ろうとする女子生徒を掴まえろと小鉄と呼ばれた大柄な男に号令を出す。


「ちょっ!な、なんですか、あなたは!?」


「げへへへへ。悪りなぁ、お嬢さん。うちのボスがあんたを逃がすなとのご命令でしてねぇ~っ!」


女子生徒の前にり込んできた小鉄が威嚇しつつ、じわりじわり接近していく。


「こ、来ないで下さい!そ、それ以上近づいたら大声を出しますよっ!」


「出したいなら、出すといいさ!だけどここいら一帯は通行人があまり通らないから、例え大声を出したとて誰の耳にもキミの声が届く事はないと思うけどねぇ~くくく♪」


「......やはり私の思った通りの性格のようですよ、あなた!私の大嫌いな人種ですっ!」


「別にいいさ~♪例え大嫌いでも俺に何度か抱かれれば、その気持ちも考えも直ぐに愛情へと変わってくれるだろうしねぇっ!あははっはははは!」


女子生徒の言葉に躊躇も動じる事も全くないイケメン男子生徒は、イケメンな風貌からは想像できないような汚ならしい高笑いをケラケラと荒らげる。


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― 新着の感想 ―
[一言] これで物語が動くのかな
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