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036・力加減を間違えた!?


おお...おおおっ!?


な、な、成美さん!


こいつのファンなのに、俺の事を応援してくれるんですかぁぁあっ!?


「キャアホイッ!お兄ちゃん、仰天感動感激だぜぇぇぇええいっ!!」


よっしゃあぁぁぁあっ!!


負ける結果を変えるつもりはないけど、だがその前に成美にお兄ちゃんの格好良いとこをひとつくらいは見せ付けて置かねばなっ!!


成美の応援にて、俺は完全にやる気を取り戻した。


「へぇ~意外だなぁ~。俺以外を応援している女性がいるなんて?」


「くくく...俺を応援して当たり前だっての!何故ならば、成美は俺のマイエンジェルなのだから......なぁぁぁあっ!とりゃぁぁあああぁぁあっ!!」


馬鹿な事を宣う佐々木に対して人差し指をビシッと突きつけ窘めた後、手に持つ木剣をギュッと力強く握り締めて、大地を踏み抜く勢いで思いっきり蹴りあげると、佐々木に向かって猛スピードで突撃して行く。


「おお!中々に素早い突撃じゃねぇかよ、坊主っ!くぅ~やるねぇ~っ♪だがしかし!その程度の攻撃なんぞ、食らいはし――――」


「―――遅いっ!」


「――――へ!?」


俺の繰り出す攻撃を回避しようと佐々木が身体をくねらせて左へ避けようとするが、しかし俺はその動きにいち早く反応し、その避けた方向に素早く回り込み、そして回避で隙だらけになっている佐々木の横っ腹に目掛けて剣を大きく振りかぶった。


「ええぇぇえっ!?なな、な、何で左にぃぃいぃ―――――ぐあはっ!!?」


俺の攻撃が見事佐々木の横っ腹に命中すると、佐々木は悶絶苦悶した声を口から洩らし、そしてその後白目を剥いてガクッと身を崩して気絶した。


「―――はう!?し、しまったぁぁぁぁあっ!?成美の応援のせいで、つい力加減を間違えちゃったぁぁぁぁああっ!?」


白目を剥き出し気絶してしまった佐々木を見て、俺はめちゃくちゃ焦り動揺してしまう。


「どど、ど、どうしよう、こ、これぇぇぇええっ!?」


そりゃ力加減をちょこ~~っと、間違えはしたけどさ!で、でもA級冒険者がそんなあっさりと気絶するんじゃねぇよぉぉぉぉおおっ!!


「ま、まぁ...良い方に考えるなら、この展開はさっき望んだ成美に良い格好を見せつけるナイスな展開ではあるか?」


いやいやいやっ!


ナイスじゃない!これは多分やっちゃ駄目な展開っ!!


だってこの流れで佐々木に勝ってしまったら、絶対目立ってまうのは明白だものっ!


確実の確定だものっ!


「何せ、新人冒険者がA級冒険者を一撃でノックダウンだからなぁ......」


......く!


こ、こうなれば、しかたがない。


成美からの賛辞のお言葉や、おめでとうハグは正直めっちゃ欲しい!


だがしかし、


今はまだ迂闊な悪目立ちはしたくないのだよ。


......という訳で、


「成美からのお褒めのお言葉やハグは諦め、敗北(こっち)を最優先事項とする!」


俺はそう判断するや否や、収納スキル...『無限の倉庫』から、オリハルコンで出来たワイヤーチェーンを素早く取り出し、それを佐々木の木剣を持っている腕にクルクルと括り付けると、佐々木の木剣が俺に当たる様に仕向ける。


そして、


「......今だぁぁあっ!!」


俺の身体に佐々木の木剣がコツンと当たったその瞬間、俺は身体をくの字にクイッと曲げ、後方へ思いっきり跳躍する。


「よし、後はこの勢いで壁にぶつかれば.........おっと、いかんっ!」


こいつを忘れてたっ!


「負ける前に佐々木の気絶の回復をしておかなきゃ......っ!」


俺はやり残しを思い出すと、無限の倉庫から【万能薬】をスッと取り出し、それを佐々木の口の中にポイッと放り込む。


「うっしゃ。これで準備万端!後は壁にドンとぶつかるだけ―――うぷ!?」


全ての算段を終えた俺は、計画通りに試合会場の壁に身体を叩き付けた後、震える仕草をしながらゆっくりと起き上がる。


そして、


「さ、さすがは...佐々木さん...です....ね。お、俺の負け......で...す......」


俺はたどたどしい声で負けアピールをすると、その場にがくりと腰を落とす。


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