157・クラス表を見てなかった!
「あはは、いや~参った参った。見事にバッサリとフラれてしまったな♪」
「おのれ!響堂の奴めぇっ!会長に対してあのような不遜な態度を......絶対に許せませんっ!」
苦笑をこぼす胡桃沢会長の横で、道下が響堂の態度が気に入らないと怒り心頭の表情を見せる。
「大体あの男、C級で威張っていたようけど、胡桃沢会長はそれを越える実力を持っていらっしゃるのだぞっ!」
そして同じく胡桃沢会長の横にいた平坂もまた、響堂達の態度が気に入らないと道下同様に愚痴をこぼす。
「平坂の言う通りだ!だというのにあの井戸の蛙めっ!相手の力量も測れずにスカした態度を会長に―――」
「―――道下そこまでだ!以前言ったよな?私はランクの高い低いで人を値踏みする行為は嫌いだと?」
胡桃沢生徒会長首を左右に振り、道下の愚痴をそこまでだと鋭い睨みで止める。
「うぐ!そ、それは確かに聞きました!けど......でしたら何故、会長はあんなにも必死になってあいつを勧誘しようとしたのですか?あいつって沢会長が言うランクで人を値踏みするタイプだと思うんですが?」
「そうですよ、胡桃沢会長!自分もあいつは思いっきり人を見下タイプだと思いますっ!」
道下と平坂が胡桃沢会長に疑問を投げる。
「あはは、そうだな。正直私もそう思う」
そんな道下と平坂の疑問に、胡桃沢会長が軽く笑いを浮かべながら二人の意見に同意する。
「で、でしたら何故ですか!?」
「ふむ。実はだな、生徒達からの要望が多かったんだよ!」
更に追及する道下に、何故響堂を勧誘した理由を述べる。
「せ、生徒達の要望......ですか?」
「ああ。多くの生徒達から響堂の奴を交流試合の代表選手に是非出してくれという要望がな!」
「そ、そういえば、伊藤や空上がそんな事を言っていたような......?」
道下が生徒会の仲間達の会話を思い出す。
「全く、一体どこで情報がもれたのやら......一応あいつがこの学校に入学する事は秘密だったんだがな。まあそんな訳もあって、生徒達の要望を生徒会の会長としては無下には出来ないだろう?響堂の奴は相当の女好きという情報を伊藤から聞いていたのでな。ならば私の色気で誘惑すれば、響堂の奴を上手く勧誘する事が出来るやもと思ったんだが......」
「「い、色気で誘惑っっ!!?」」
「まあ見ての通り、結果は大失敗してしまったがね♪」
胡桃沢が頬を掻いて苦手いをこぼす。
「あ、あの嘆願って......ゆ、誘惑だったんですか会長っ!?」
「さ、流石にあれを誘惑って言うのは無理がありますよ、胡桃沢会長!?」
道下と平坂が嘘でしょという表情で、胡桃沢会長の言葉に動揺と戸惑いを見せる。
「むむ!な、何もそこまで否定しなくとも良いだろうが!そんな驚く程、私には色気がないとでも言いたいのか!?わ、私だって泣く時は思いっきり泣くぞっ!」
そんな道下と平坂の驚愕する姿を見て、胡桃沢会長が少し怒る様な表情で拗ねてしまう。
「はう!?すす、すいませんっ!会長っ!!」
「も、申し訳ございません、胡桃沢会長!驚き過ぎましたっ!」
拗ねる胡桃沢会長の姿を見て、道下と平坂が慌てざまで頭を深く下げて謝罪の言葉を口にする。
「......まあ、色気で誘惑っていうのは冗談なんだがな!」
「「じょ、冗談!?」」
「さてと。響堂の勧誘に失敗した事は後で生徒達に謝罪するとして、交流試合に出場する生徒を改めて探さねばいけないな......はあ、やれやれ。期限までに見つかると良いのだが......」
胡桃沢会長はそう言うと、軽い嘆息を吐く。
「だ、大丈夫ですよ会長!交流試合までには、まだまだ月日もあります!なのであんな奴よりも最も凄い奴をじっくりと探し出しましょう!」
「そ、そうですよ、胡桃沢会長!それにもしかしたら、この学校には響堂以上の有望な強者がいるかもしれませんしねっ!」
「......あいつ以上の強者か。あはは、そうだな!もしかしたら今年入った新入生の中に、響堂よりもとてつもない逸材が潜んでいるやもしれんな!響堂を選手にと羨望した生徒達には、その逸材に期待してもらうとするか♪」
平坂と道下の言葉に対し、胡桃沢会長が屈託のない笑顔で微笑む。
そしてコホンと軽く咳払いをした後、
「生徒諸君!お騒がせして大変申し訳なかったな!」
周囲にいる生徒達に、真面目な表情で頭を深く下げる。
「では平坂に道下!体育館の中に戻るぞ!」
「「はい、胡桃沢会長!」」
胡桃沢会長の合図と共に、二人の部下と胡桃沢会長は体育館の中へと消えて行った。
「あ、あれが生徒会長の胡桃沢芽依先輩か......」
「噂では聞いていたけどさ、胡桃沢生徒会長の存在感、めっちゃ半端なかったな!」
「響堂の野郎も中々の存在感だったけどよ、しかし胡桃沢会長はそれに負けじと存在感が凄かったぜっ!」
「うんうん。マンガやアニメから飛び出てきた様な人物だったよね、胡桃沢先輩ってさ!」
「俺もそう思った。凛々しいお姿にきらびやかにキラキラと輝く黒いストレートヘア。まさにTHE・生徒会長って感じだったもんな、胡桃沢会長!」
「それだけじゃないぜ!あの生徒会のメンバー二人も生徒会長度を加速させていたな!」
「ああ。さっき出ていた、マンガやアニメに出てくるリーダーの左右に構える部下って感じだったもんな、あの二人!」
「しかし響堂といい、あの生徒会長達といい。これからも色々と騒動が多い学校だな、ここって?」
「まあ確かに」
「でも俺は。ああいった連中がいた方が退屈はしないだろうし、いいと思うけどね!」
「はは、言えてるかも?」
「そうだな。退屈な学校生活を送るよりはマシか♪」
男子生徒達が響堂や胡桃沢会長の事で、わいわいガヤガヤと楽しく談笑をしていると、
ピン、ポン、パン、ポォ~~~ン。
『三十分後の八時より入学式が始まります。新入生の皆様は体育館に急いで移動して下さい!繰り返します...三十分後の八時より――――』
学校中に入学式への案内アナウンスが流れる。
「ハッ!?そ、そういえば俺、まだ自分のクラスがどこだか見てなかったっ!?」
響堂達のやり取りに気を取られ過ぎて、まだクラス表を見ていなかった事にサクヤが気付く。
「な、なぁキミ。新入生のクラス表が貼ってある掲示板って、どこにあるか知ってるかな?」
「ん?クラス表が貼ってある掲示板か?ああ。それだったら、昇降口付近に貼ってあるぞ!」
「昇降口付近だね!ありがとう、名も知らぬ男子生徒よ!」
クラス表の貼ってある掲示板の場所を教えてくれた、目の前の男子生徒に感謝すると、急ぎ足で昇降口へと駆けて行く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おお!あったあった。あれがそうだな!」
クラス表の貼ってある掲示板を発見した俺は、急いで左から順番に自分の名前を探していく。
Aクラス...........................ない。
次、
Bクラス...........................お!亜依子と心愛の名前があるな?
でも俺の名前はない。
次、
Cクラス...........................あっ!?
あったぁぁあぁああっ!
「よし、まだ時間はあるな。急いでCクラスに猛ダッシュだ!」
Cクラスに自分の名前を発見すると、サクヤは急ぎ足で移動する。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「こ、ここが俺のクラスか......」
1-Cと書かれているプレートを発見すると、俺は静かにドアをガララと開けて教室の中へと入って行く。
すると、
「遅かったね、光野君。もしかして自分の教室が分からずに迷ってたのかな?」
見知った女子生徒が教室の中にいて、そして俺にニコリと微笑んで声を掛けてきた。




