152・松島と恵美 そしてライバル
「いやぁ~本当に久しぶりだね、松島!」
響堂は被っていた兜をスッと脱ぎ、松島のいる場所へと近づいて行く。
「いや、キミと最後にあったのは一ヶ月前だから、そこまで久しぶりという訳じゃないと思うけど?」
「あれ?そうだっけ?女性以外の記憶を僕の頭脳はあまり興味と関心がないからねぇ~あははは♪」
「ふう、やれやれ。いつ会ってもキミは相変わらず軽い性格だね......」
危険地帯ダンジョンの中でケラケラと笑っている目の前の響堂を見て、こいつ何度会っても全く変わらずのチャラチャラ野郎だなと、真面目な性格の松島は少し呆れてしまう。
だけどこんな感じでも僕ら世代の男性冒険者の中では一番の強さを誇るんだよな。
「響堂の奴。ホント嫉妬しちゃうよ.....」
根っからの努力タイプの松島は、天才タイプの響堂に対して嫉妬心から出る深い溜め息を静かにこぼす。
「....まぁいいさ。だったら響堂以上に極限まで努力し、頑張ればいいだけしね!」
松島はそう意気込み、落ち込んだ気分を振り払う。
そして、
「あ、でもそちらの三人組の女性達とは初対面だったよね?もしかしてその三人はキミのパーティ、『栄光の虹橋』のメンバーなのかな?」
松島はいつも通りの爽やかスマイルな表情を浮かべ、一緒にいる三人の女性の事を響堂に訊ねる。
「ああ、そうだよ。この三人は僕の『栄光の虹橋』のパーティメンバーで、一番大事な仲間達さ!右から、あかり、穂花、里弥だ!ほらみんな。松島に挨拶を!」
「ち~っす!雄馬のライバルさん!」
「うふふ。貴方が松島さんですね。雄馬さんからは兼ね兼ねお聞きしておりますわ♪」
「ふ~~ん、お前がユーマのライバルの松島将か...噂以上にイケメンじゃん。まぁでも、うちのユーマには劣るけどねぇ~クシシ♪」
響堂は自慢気に自分のパーティメンバーを松島に紹介すると、コギャルっぽい風貌のあかり、お嬢様の様な佇まいの穂花、そしてツインテールの小生意気そうな里弥が松島に挨拶してくる。
そんな響堂の仲間達に、
「こちらこそよろしくね。あかりさん、穂花さん、里弥さん♪」
松島はさっきよりも更に上の爽やかスマイルで、こちらこそよろしくと三人に返事を返す。
「ふふ、見た感じ。パーティメンバーの皆さんとはとても仲が良いみたいだね!」
「あはは。分かるかい♪この三人は僕にとって最高の仲間達さっ!」
松島の観察力に、響堂がその通りという顔で三人を両手で抱き寄せる。
「そう言うキミの方こそ、そちらの美しい女性は一体誰なんだい?」
響堂は恵美に目線を移す。
「わ、私は松島君の恋人で、う、海川恵美って言います!」
声を掛けてくた響堂に、恵美が慌てて自分の自己紹介をする。
「ほほう。恋人をパーティメンバーにしているんだ?ふふふ。中々やるじゃないか、松島。こんな美しい女性を恋人にするなんて。流石は僕のライバルだよ♪」
響堂が髪をさらっと掻き上げニヤリと微笑み、松島に揶揄いの混ざった称賛の言葉を送る。
「ふふ、何を言う。そういうキミこそ、そこの可憐で美人さん達の誰かがキミの恋人なんだろう?ああ、それとも三人ともキミの恋人なのかな?」
松島も少し揶揄いの混ざった言葉で響堂にそう問うと、
「ふふふ、そうだね。こいつらとは仲間以上の関係で相違はないかな♪」
松島の揶揄い口調に響堂が爽やか笑顔でそう言うと、仲間の三人を更にグッと強く抱き寄せる。
「さて...ライバルとはまだまだ語り合っていたい所だが、僕も忙しい身でね。悪いけどこの辺で失礼させてもらうよ。それでは行こうか、あかり、穂花、里弥!」
「じゃあねぇ~響堂のライバル君♪」
「ではまたどこかでお会いしましょう、松島さん♪」
「ふん、ボクのユーマはあんたなんかに負けないんだからねっ!」
響堂とその仲間がそれぞれ松島に挨拶を交わすと、ダンジョン奥への通路に歩き去って行った。
「ふふ。響堂君もR二十ランキング上位を目指してレベル上げを頑張っているようだな。これは僕もうかうかしてはいられないな!それじゃ、めぐ。僕達も頑張ろ...........ん?どうしたんだい、めぐ?ボーッとしちゃって?」
「うえっ!ううん。な、何でもないよ、何でもっ!ちょっと考えごとをしちゃってただけだから、気にしないで♪」
松島の言葉に恵美がハッと我に返る。
「危険だから、こんな所でボーッと考えごとをしちゃ駄目だよ!」
「うん分かった。今後からは気を付けるね!」
松島の注意に恵美は謝る。
「よし。それじゃもうちょっと戦闘を頑張って、それからギルドに戻ろうか、めぐ!」
「うん!」
恵美が松島の腕にギュッと抱き付くと、ダンジョンの奥に向かって歩き出す。
「ふうん。あれが将君のライバル、響堂雄馬君かぁ......」
将君から聞いた話だと、将君と同じC級冒険者らしいけど。
「......私の揺るぎなき明るい未来と栄光の為には、響堂雄馬君とは仲良くなっておいた方が都合が良いかもしれないわね......」
それに将君に負けない同レベルのイケメンさんだし、仲良くよりも上の関係になっちゃうのも一興かな。
「......くふふ♪」
恵美は松島に聞こえない小さき声でそう呟くと、悪どい表情で口角を吊り上げ、そしてニヤリとほくそ笑むのだった。
時間がなく出来ていなかった誤字報告にあった文字修正をやっと終えました。誤字報告をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。




