140・仲間と再開?
――東城姉妹達のやり取りから数日後――
「......こ、この公園で良かったんだよな?」
サクヤはリンレスで優子と約束した、中学校に通う途中にある公園にて優子が来るのを待っていた。
「でもあの時はてんやわんやしていたので、キチンとお礼が出来なかったとかなんとかで直接会い改めてお礼が言いたいだなんて。律儀な性格なんだな、優子ちゃんって......」
お礼はあの時のお礼だけで本当に十分だからと、何度も断りを入れたのだが、しかし直接会い面と向かってお礼がしたいからと、優子ちゃんから熱心に頼みこまれてしまい、結局その熱意と勢いに負けてしまった俺は、優子ちゃんに直接会ってお礼を受ける事になった。
「女性を待たせる訳にはいかんと少し早めに家を出てきたせいで、予定の待ち合わせの時間までにはまだ結構な時間があるな?」
近くのコンビニで暇を潰すか?
「いや...コンビニに行っている間に優子ちゃんに来られでもしたら、俺が後から来たと勘違いされてしまうか?」
優子ちゃんなら前に来てましたと伝えれば、きっと信じてくれるんだろうけれども、
だがしかし、数パーセントでも誤解を生む可能性は慎んだ方が良いか。
時間厳守は陰キャラにとって必須スキル。
それを疑われたくはない。
「よし...時間まで気長に待つとするか」
どうするか悩んだ結果、コンビニで暇を潰さずにここで待つことにした。
―――それから優子ちゃんをのんびり待つこと数分後。
待ち合わせ予定時間よりも少し遅れた時間に優子ちゃんが公園に到着した。
「おお~い、優子ちゃ~ん!俺はここだよ~!ここ~~っ!」
公園にやって来た優子ちゃんに自分の存在を気付かせるべく、右手を上に大きくあげ、そしてその右手を大きく左右に降りながら優子ちゃんに声を掛ける。
「す、すいません、光野様。少し遅れてしまいましたわ!」
俺に気付いた優子ちゃんがニコリと微笑みを浮かべると、こちらに向かってトコトコと早足で駆けて来る。
「いいよ、いいよ別に。俺もさっき来たとこだし、全然気にしてなんて......いな...い......か.........ら」
.........んっ!?
.........んん!?!?
あ、あれ?
優子ちゃん......だよね??
優子ちゃん............にしては、ちょっとばかり雰囲気が違うというか、大人びているというか?
それに何だこの感覚?
俺、この子とどこかであったような気がするんだが?
......はて、どこでだろう??
どこであったんだ??
うぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~んんん??
俺は頭の中にある記憶の引き出しを次々と開けていく。
―――――ハッ!?!?
あ、ああ、あいつだぁぁぁぁぁああっ!?!?
服装や髪型があっちの世界と違い、そして顔立ちもかなり幼いから気付かなかったけど、
ま、間違いない。
こ、こいつ......
「ユ、ユカリじゃんかぁぁぁぁぁぁあッ!?!?!?」
―――ど!?
どういうことぉぉぉおおぉぉぉぉおお!?!?
こっちに向かってくる優子ちゃんと良く似た少女が、あっちの世界で仲間だった勇者のひとり...ユカリだと気付いた俺は、イヤイヤ嘘だろと目の前にいる少女を二度見三度見するが、しかしどこをどう見ても、目の前にいる少女は勇者仲間のユカリだった。
そんな俺の動揺を他所に、
「本当に申し訳ございません、光野様。思ったより道路が混んでおり時間に間に合わず遅れてしまいました!」
遅れて公園にやって来た優子ちゃん....じゃなく、ユカリが待ち合わせ時間に遅れてしまい申し訳ないと謝罪をいれてくる。
「おっと。申し遅れましたわね。わたくしは優子の姉で東城裕佳梨と申します。優子は家の事情でどうしても外せない用事が出来てしまい、急遽わたくしが家の代表としてここへ参ったという次第ですの」
ユカリは優子が来ない訳をサクヤに伝える。
「あ、ああ。ゆ、優子ちゃんのお姉さま...でしたか。姉妹だけあって目元なんか、ホントソックリですね.......あは、あはは......」
「うふふ、良く言われますわ♪」
......うぐ!
こ、この微笑み方といい、
物言いといい、
雰囲気といい、
やっぱり間違いない!
こ、こいつユカリだぁぁぁあ!?
し、しかし何でこいつがここに?
こいつの言葉通りを受け取ると、優子ちゃんの代わりにお礼と感謝をしにここへ来たのだろう。
......がしかし、
こいつは通常パターンやセオリーが全く通用しない腹黒やろうだ。
なので、こいつがここに来たのには絶っ対に裏がある。
それにもう一つ気になる事が。
こいつ、あっちの世界に行く前のユカリなのか?
はたまた帰って来た後のユカリなのか?
こいつポーカーフェイスや腹業がめちゃくちゃ得意だったせいもあり、見た目や態度じゃ正直ちっとも分からん。
「あ、あの...光野様。さ、先程からわたくしの顔をジロジロ見ておりますが、わたくしの顔に何かついています?」
ユカリはそう言うと、頬をほんのり赤く染めながら自分の顔をペタペタと触り恥ずかしがる。