133・戦闘開始
「良いのかキミ達?わたし遠慮ってもんが全くないから、マジで譲ってもらっちゃうけど?」
「も、勿論です!」
「どうぞどうぞ、お構い無く!」
「わたし達、戦乙女の戦いを参考にしたいですし!」
前に並んでいた人達は戸惑っている表情や緊張した表情、そして尊敬した表情で、戦乙女達に列を譲る。
「そっか!なら遠慮なく列の順、番譲って貰うね!みんなサンキュー!」
順番を譲ってくれた列に並んでいたみんなのご行為に対し、火奈がニコッと笑顔でお礼を述べて前の移動して行く。
「ね、ねぇねぇ風菜ちゃん。こ、この雰囲気...もしかしてだけど、ボク達もプレイする感じになってない?」
水那が風菜の肩を指でトントンと小さく叩くと、耳元でそう呟いた。
「......どう見ても聞いても、ウチらもって雰囲気だね。っていうか、翌々考えてみたらゲームをプレイすのは火奈っちだけだったんだし、ウチらは別に並ばなくても良かったよね?」
風菜はそれに今更気付く。
「......はは。でもこの雰囲気と空気感。これはもうボク達は戦いませんけどって言い出せる空気ではないよね......」
「たはは......だね」
水那と風菜がお互いに苦笑をこぼしつつ、ひそひそとそんな会話のやり取りをする。
「で、どうするよ火奈っち?みんなウチらが一緒にプレイするって思ってるみたいだけども?」
「ボクらと一緒にプレイする?それとも別個でプレイする?」
「う~ん、そうだね......」
水那にどうすると問われ、火奈は首を傾げて考える。
「......折角三人でここに訳だし、それにみんなの期待を無下にも出来ないし。うっし、ここは三人一緒にプレイしちゃおうか♪」
そしてしばらく考えた後、火奈は水那達にそう答える。
「だね。それにここでボクらがやりませんってなると、みんな納得しないだろうしねぇ♪」
「うんうん。ファンのご期待に背くのはウチら戦乙女としても遺憾し難いもんね♪」
みんなの期待を含む目線や声援に答えるべく、風菜水那もやる気になると、火奈が早速と戦闘アタックバトルにお金を投入する。
「プレイヤーは三人。難易度はS。武器は......っと!」
火奈がプレイ方法が表示されているタッチパネル液晶にプレイヤー人数や難易度、火奈達が使用する武器を次々と設定していく。
全ての入力をし終えると、グラウンドに入る為の門が大きくバンッと開く。
「よし行くよ、風菜!水那!」
「おっけ♪」
「あいあい♪」
火奈が待機していた風菜と水那と共に、グラウンドの中に入場していく。
そしてグラウンドの中にある、さっきタッチパネル液晶で入力した自分の武器を各々が手に持つ。
『プレイヤーの準備は良いですか?三十秒後にプレイを開始します。まだでしたら急いで準備をして下さい!』
「みんな自分の武器は手に持った?」
「「待ったよ~!」」
「今回の戦闘スタイルは...う~~んそうだねぇ、見せ場を作りたいので最初はパターンCでいくけど良いかな?」
「パターンCだね、了解!」
「うぐ。パターンCか...ちょっと苦手だけどオッケー!」
...三
...二
...一
『戦闘開始します!』
アナウンスと共に、戦乙女とAI人形が戦闘体制に入る。
「おお!初めてこのゲームをプレイするけど、あの対戦相手のお人形さんから発される気力凄いねぇ~~!?」
「うん同感。ウチちょっと舐めてたよ!」
AI人形から発される気力に、水那と風菜がビックリした表情をこぼす。
「そりゃそうだよ。あのAI人形、A級やS級錬金術の技術全てを込めて作られた代物だからね。更に今までプレイした連中の戦闘パターンを取り込んでドンドン学習していくらしいよ!」
「が、学習!?」
「ス、スゲェ!まさに人の域を越えた代物じゃんか!」
火奈から目の前にいるAI人形の性能を聞き、風菜と水那が更にビックリした表情をこぼす。
「さ、長話しはここまでにして......やるよ!」
「了解!ではではまず先手はウチから取らせてもらうとするかねっと!!」
風菜は武器をスッと前に構え大地を大きく蹴り上げると、AI人形目掛けて突撃して行く。
『ハァァァアッ!三段突きぃぃいッ!!』
風菜はスキル...三段突きを発動させる。
そしてAI人形の作る隙ある部分を重点的に三段突きで攻撃していく。