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126・まったり寛ぐチャラ大学生達


「そ、それでブラッドコボルトはどこに出現したんだい?」


「出現場所ですか?あ、あっちの方角です!」


佐紀は冒険者の問いに対し、ブラッドコボルトの出現したエリアの方角に指を差す。


「......コボルトエリアか。だとすると予想外、想定外の出現とかではなく、希に沸く同種のユニークの可能性が大か?」


冒険者はそう言うと、顔色をしかめる。


「ユニーク...ですか?」


「ユニークって、あれだよね?魔物が生息するエリア内にいる種族、これと全く異なった種族が極希に出現する事のある?」


成美は愛読雑誌、ファンファンにユニーク関連の事が記載されていた事を思い出す。


「このユニークの厄介な所はそのエリア内に生息する魔物のレベルの差が約三倍近くあるんだったっけ?」


「さ、三倍!?」


「ああ。だからユニークと出会ってしまったら余程の事がない限り逃げ仰せないんだよ。確実にパーティの現レベルを越えている場合が殆どだからね!」


冒険者がその時に味わう絶望感を想像したのか、表情を青く変える。


「お、お兄ちゃん、そんなのによく勝てたね......」


成美は冒険者に聞こえないくらいのか細い声でそう呟く。


「もう本当に最高です!朔夜お兄さんっ!!」


優子は自分をそんな脅威から救い出してくれたサクヤに感謝とばかりのキラキラ笑顔をこぼしながら、サクヤの首に両手を回してギュッと強く抱き締める。


「ま、またこいつはぁあぁああっ!?えええぇぇいっ!お兄ちゃんに抱き付くんじゃなぁぁぁああいぃぃぃいいっ!!」


成美は苛立った叫声を上げると、サクヤに抱き付きイチャイチャしている優子を引き剥がそうとする。


「おっと!ユニークが出たとなれば、ここでのんびりと会話をしている場合ではないな。急いでギルドに報告をしなければっ!」


冒険者はそう言い終わると、サクヤ達との会話を切り上げ、そして血相を変えた顔で踵を返してダンジョン出入り口に早足で戻って行く。


「あ、そうそう。ギルドに戻ったらもう一度さっきの状況説明をギルドにしてくれ!それから、ブラックコボルトのいるエリアには決して近付くんじゃないぞ!いいねっ!」


冒険者がサクヤ達にそう注意した後、再び踵を返してギルドへと駆けて行った。






―――――その頃、冒険ギルドでは。






「ふう。いや~マジで危なかったなぁ~♪」


「まったくだぜ!危うく未来のS冒険者たる俺達が無様に死んでしまう所だったぜっ!」


「助かってホンット良かったわ!もしもあそこで俺達が死んでしまっていたらよ~、この国や冒険ギルドの大きな損失だったよな?」


「アハハハ!マジそれなっ!!」


優子達を囮にして逃げて来たチャラ大学生の二人が、全力疾走で逃げ走った事で疲れきった身体を休憩させるべく、ギルドの広間にあるソファーで寛いでいた。


「で、この後どうするよ?逃げたはいいが、自分の子供が死んだとなれば、きっとあいつらの親達は黙っていないと思うが?」


「おいおい何言ってんだ。勘違いするな、あいつらは予期せぬ展開で死んだんだ。だから俺達のせいじゃねぇよ。そうだろ?」


「い、いやしかしだな。そんな言い訳、東城家の人間どもに通じると思うか?」


チャラ大学生その1が動揺した顔でそう言うと、


「うぐ。そ、それは...」


チャラ大学生その2も、流石に不味いかもしれんという表情に変わる。


「い、いや、大丈夫だって!さっきも言ったが冒険者には予期せぬ危険ごとは付き物なんだ。特に闘いや武道を軸として大きくなった東城家なんかは、そこら辺の事情は重々分かっているだろうさっ!」


「だ、だといいんだが......」


チャラ大学生その1に懐柔されても、チャラ大学生その2がまだ納得が出来ないと顔をしかめていると、


「―――ねぇ、キミ達!」


後ろから誰かがチャラ大学生達に声を掛けてくる。


「あぁん?俺達は今大事な話をしている最中なんだっ!どこの誰かは知らんが邪魔だからあっちに行きやが...れ.........ゲェェエッ!!?あ、ああ、あんたはっ!?」


「う、嘘!?あ、あなたは、ササ、サ、サクラさん!?冒険ギルドに登録後、僅か半年足らずでS級冒険者へと一気に駆け上がった、あの伝説の冒険者、華宮桜(はなみやさくら)さん!?」


突如、声を掛けて来た人物がS級冒険者のサクラだった事に気付いたチャラ大学生達は、目を大きく見開いた驚愕した表情で動揺してしまう。


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