表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/142

123・ハイテクかよ!?


「あ!それは心配ご無用だよ、綾香。冒険ギルドに誰がどの魔物を討伐したかの報告義務はないらしいから。お兄ちゃんが冒険ギルドから貰ったルールブックにはそう記載されていたからね!」


ルールブックって望月さんからギルドカードと一緒に貰った、あの分厚くて読む気が失せるやつか!


「あ、そうだ。お兄ちゃんがブラックコボルトを討伐しているというのがもし本当だったらギルドカードにその事が記録されている筈だから......確認して見る?」


「――え?ギルドカードに魔物討伐の記録がされているの!?」


「うんルールブックにはそう書いてあったよ。それじゃお兄ちゃん、今から討伐した記録を確かめる為の説明を教えてあげるから、取り敢えずギルドカードを取り出して裏側を見てよ!」


「わ、分かった......カードの裏だな?」


俺はギルドカードをポケットから取り出すと、カードをクルッと裏に返す。


「そこに中央部分に青い長四角があるでしょう?そこを指でタッチしてみて!」


「青い長四角......あ。こ、こいつかな?」


俺は成美に言われた通り青い長四角を軽く指で触れると、目の前にステータスらしきウインドウが目の前に現れた。


「こ、これはステータスウインドウ.....とはちょっと違うな?ランクとか、残金とかって記述がされているけど、ステータスらしき欄はないし......」


「それはギルドに関する事だけだよ。それで次は残金と書かれている上の欄の【討伐】って文字をタッチしてよ!」


「討伐、討伐......ああ、これだな!」


沢山ある文字の中で【討伐】と書かれた欄を見つけると、成美に言われた様にその文字をトンとタッチする。


すると新たなウインドウが目の前に現れ、


そこには、



――――――――――


【一階層】


スライム×2。

ブラックコボルト×1。


――――――――――



と、表示されていた。



「うわ、何だこれ!?」


ハイテクかよ!?


俺はあっちの世界の冒険ギルドカードにはなかった性能に驚く。


「ひや!う、うそ!?本当にブラックコボルトが討伐欄に載っている!?」


「え!?うわ、本当に載ってた!?」


「じゃ、マジで討伐しちゃったの!?」


ギルドカードから表れたフォログラに記載されている、ブラックコボルトの名前を目に映した成美と佐紀と綾香が目を見開きビックリしてしまう。


「......なぁ成美。こいつを...ギルドカードを冒険ギルドの連中に提出した時、俺がブラックコボルトを退治したってバレちまうんじゃないのか?」


俺がそんな素朴なる疑問を成美に投げると、


「ギルドカード機能は本人にしか操作出来ないから安心して」


「ほ、本当か?」


「うん。まぁ例外はあるみたいだけどね。本人の確認とか、クエスト承認とかを行う時とかさ。あ、でも探索先でイギュラーが発生した場合、報告義務はあるみたいだよ。勿論未だ討伐されず徘徊中なのか、討伐されたの報告もね。だからこの階層にブラックコボルトが出現した、そして討伐されたっていう報告はしなきゃいけないよ」


成美がギルドカードと報告義務の有無を説明してくれる。


「そ、そっか。カードの確認が出来ないんだったらいいんだ。けどよ本当に誰が討伐したかっていう報告は黙っていても問題はないのか?」


あっちの世界じゃそれをやって、後からギルマスにメッチャ怒られたんですけど。


「うん。ルールブックには問題はないって書いてあったよ。因みに提出しないでいい理由は、ギルド側の言い分を聞くにいちいちあの魔物を退治したこの魔物を退治したって報告をさせるのは結構な時間が掛かって円滑じゃないからって事らしいよ。それにどんな魔物を討伐したかは魔石やドロップアイテムの提出時に大体分かるってのも理由らしいね。この件に関しては冒頭者専門雑誌のファンファンで、ギルドマスターがインタビューにそう答えている記載があるし!」


成美が何故冒険ギルドに誰が討伐したかの報告する義務がなのか、その理由と訳を更に詳しく説明してくれた。


「な、なるほど。円滑の為か......」


そういえばあっちの世界のギルドでは、確かに討伐報告やその証拠や部位の提出やそれを確認したり受理したりと、かなりの時間を消費されていたっけ?


「あ、そうそう。今の会話の流れ的にはあんま関係ない話なんだけど、クエストで魔物討伐の依頼を受けて魔物討伐を見事達成した場合、さっき教えた青い長四角部分がピカピカって光るらしいよ!」


ピ、ピカピカ光る!?


「おおお!マジでハイテク機能だな、お前っ!」


俺は手に持ったギルドカードを感心の眼差しで見る。


「そういう訳でギルドに誰が討伐したかっていう報告はいらないけれども、でもギルドマスターには特例の命令を冒険者に発する権利があるみたい。だからもしギルドマスターからギルドカードを提出しろと言われたらその時はあまり捏ねず、素直に諦めてギルドマスターにカードを渡した方がいいよ。下手したらさっき綾香が言っていたような罰則が発生する可能性があるかもしれないからね!」


......特例ねぇ。


そこら辺は事情ごとは、あっちの世界と恐らく一緒の理由だろうから渋々だが納得してカードは提出するつもりだ。


ん?待てよ。



冒険者をあまりやりたくない身としては罰則を食らった方がいいのでは?


い、いや。


もしそれをやったら成美から確実に嫌われそうだしな、やめとこ。


「ちょ、ちょっと待って下さい、朔夜お兄さん!も、もしかしてですが朔夜お兄さん、ブラックコボルトを退治した事をギルドに報告しないおつもりなんですか!?」


ブラックコボルトの討伐報告をしないというサクヤの言葉に、優子が嘘でしょという表情で驚きを露にしてしまう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
捏ねる……「ごねる」かと思えば、「こねる」が本来正しかっただったのですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ