表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/142

114・勝利宣言


「な、なるほど...男女に人気...ねぇ。だからちらほらとカップルどもがいやがったのか?」


俺はダンジョンの行列に並んでいる冒険者...何も考えていなさそうな陽キャラと、回りの迷惑も気にせずにイチャイチャしている冒険者のカップル共に目を向ける。


......よく見てみたらイチャイチャしているカップルの彼氏ども、どいつもこいつもみんなイケメンばかりじゃねえかよっ!


チッ!


クソがぃっ!!


冒険者もイケメンしかモテないのかよ!!


そういや成美の購読しているあの雑誌に載っていた連中も、揃いも揃って皆がみんなイケメンばっかだったな!


......くそ!


忌々しいぃぃぃいいっ!!


ふふ...ふふふ。


さて......モテない陰キャラの恨みを込めて、貴様ら全員まとめて無者の威圧にてお漏らしイケメンへと変えてくれよっかなぁ~~♪


俺は心から沸き上がってくる悔しさから拳をググッと力強く握り締めると、目の前のイケメン共に無者の威圧を発動させ、赤っ恥を掛かかせてやろうとしたその瞬間、


「こらこら、お兄ちゃん!悔しい気持ちはわかるけどさ、そんな怨み全開のお目々は止めなさいっ!」


「――あいだ!?」


呆れ顔をした成美が、俺の頭上にチョップをトンと落とす。


「...ったく。どうせこの間のチャラナンパ野郎にやった事をあの人達にやろうと悪巧みを企てていたでしょ?」


「――はぐ!?な、なな、何故それをぉぉぉおおっ!!?」


「......ハァ、やっぱりか。お兄ちゃんのイケメン嫌いは知っているけどさぁ、でもここでそんな大騒ぎを起こされたらダンジョン探索が中止になっちゃうでしょうがっ!」


「うぐ...」


成美のお怒りのジト目に、俺は眉をピクピクさせてたじろぐ。


「大体お兄ちゃんには素敵で可憐で超~可愛い私が一緒にいるではないか?寧ろお兄ちゃんの方こそが、あの連中から睨まれる立場だという自覚を持ちなさいな♪」


「え?あ、ああ。そ、そう言われれば、確かに......」


殺気が低いから全く気が付かなかったけど、


翌々見ると成美の言う様に、恨み辛みの込もった目線が俺に刺さっているな。


くふ、くふふふっ!!


そうだった...そうだったよっ!!


「俺は今、ひと際輝く容姿端麗たる成美様とデート中だったぁぁああっ!!」


くわあははははっ!!


悪いな、イケメン共っ!!


てめえらの彼女よりも俺のマイエンジェルの方が何倍も可愛いくてよっ!!


俺を嫉妬と怨差で睨んでくるイケメン共に向けて、勝利宣言をするかの如く

自慢気全開なドヤ顔でニヤリとほくそ笑む。


「さ、つまらない雑談はここまでにしておいて、ダンジョンに入る為の列に並びに行くぞ、お兄ちゃん!」


成美は笑顔で俺の腕にギュッと抱き付くと、列の最後尾に移動して行く。



―――それから数十分後。



「はい、では次の方。冒険カードとダンジョン入場許可カードをお見せ下さい!」


ダンジョンの出入り口でダンジョンへの入場を管理している係員の女性に自分の冒険者カードを見せ、成美も先程貰ったカードを各々見せる。


「.........はい。カードの確認出来ました。武器をお持ちですか?もしお持ちでないのあれば、ダンジョンの中に入って直ぐの所にあるコーナーにてレンタルをして下さいませ!ではどうぞお気を付けてダンジョン探索をお楽しみ下さいませ!」


ギルドの係員は俺達に一礼すると、ダンジョンへの入り口ゲートを開ける。


「おお!つ、ついに...ついに私はダンジョンに入れるのかぁっ!ハァ~!緊張してきたあぁ~~~っ!!」


成美は興奮気味な顔でドキドキ高鳴る胸を手で抑えつつ、少し早い足取りでゲートを通過し、ダンジョンの中へと入って行く。


「......こっちに帰って来て初めてのダンジョンか」


女神により召喚されたあの城の連中から追い出された後、


怒りの感情でフィールドの魔物どもと戦闘に明け暮れていた俺だったけど、でも初めてあっちの世界でダンジョンに潜った時は今の成美みたく、緊張と不安で胸がドキドキして、そして期待と希望で胸がワクワクしていたっけ。


俺は初めて入ったダンジョンへの気持ちをふと思い出し、それを懐かしむ。


「こらぁ~お兄ちゃ~ん!何をボケッとそこで突っ立ているのよ~~?お姉さんの仕事の邪魔になっちゃうでしょうがぁぁ~~!ほら、さっさとこっちに来なさぁぁ~~~いっ!」


「おっといかん!つい感傷に浸ってしまった。す、すいません、お姉さん!」


俺は成美から注意を受けて思考を現実に戻すと、苦笑いを浮かべている係員のお姉さんに向けて申し訳ないと謝罪した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ