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011・冒険者はわたしの憧れなんだぞっ!


「ふう~食った、食った~♪」


俺はご飯を食い終わると、ソファーにドスンと座り休憩する。


「あ!そうそう、ねぇお兄ちゃん。高校入学で思い出したんだけどさ、お兄ちゃんは冒険ギルドに冒険者の登録をしにいかないの?」


テレビを見ていた成美がこちらに顔をクルッと向けて、そんな事を聞いてくる。


「冒険ギルドに冒険者登録?ああ...はいはい、あれね!えっと確か......」



『来たれ!新しき未来を担う、冒険者諸君よっ!』



「......っていう、あれだよな?」


「うんうん!それだよ、それ!お兄ちゃん、先月で15歳になったじゃん!」


え......15歳?


ああ!そうだった、そうだったっ!


俺の年齢って、今は15歳に戻ってるんだったなっ!


「え、えっと...一応15歳にはなったけどさ、そ、それが冒険者と何か関係があるのか?」


「そりゃあ関係があるに決まっているじゃん!だって冒険者登録が出来る年齢は、その15歳からなんだからさ!」


「へ、へぇ~そうなんだ?」


改めて思考していくと、俺の記憶の中にそんな記憶が浮かんできた。


なるほど...バランスとやらで変わってしまった地球の記憶が、俺の頭の中にある俺の歴史とシンクロされているんだ?


バランスにて改竄された、俺の頭の中の地球の記憶が変わっている事にビックリしていると、


「......それでお兄ちゃん、行かないの?冒険ギルドに冒険者の登録をしにさ?」


成美が改めて俺に冒険者にならないのかと問うてくる。


そんな成美の問いに俺は、


「うん、いかない」


即座にノーと答えを返す。


「ええぇぇえ!?な、なな、何でさぁぁぁあっ!?」


俺の即答に、成美が目を大きく見開いてビックリしてしまう。


「いや、何でさとか言われても...成美も知ってんじゃん。俺が人の平均以下の力や体力しかないって事をさ?」


......まぁ、それもあっちの世界に召喚される前の話だけど。


「なのに、何故俺が冒険者(そんなもん)をやると思ったんだよ?」


「そんなもんって言うなしっ!!冒険者はわたしの憧れなんだぞぉぉおっ!!!」


冒険者を馬鹿にする俺の発言に、成美が頬を膨らませてプンプン怒ってくる。


「すいません、成美さま。少し言葉が過ぎました!」


成美に嫌われたくない俺は、速攻で平伏して許しを乞う。


「......そういえば、そうだったな。成美ってば、小さい頃から冒険者がホント、大好きっ子だったっけ?」


成美の奴、冒険者関連の番組が始まる度、いつもテレビにペタリと張り付く様にして見ていたもんな。


冒険者が出ているテレビ番組を、いつも食い気味で見ている成美の姿が脳裏に次々と浮かんできた。


......これも異世界に行く前には、無かった記憶なんだよな?


それがこんなにも鮮明に、その時の状況が思い浮かんでくる。


ふ、何か変な感じだな。


「くふふ~その通りの当たり前っ!わたし冒険者、だ~~い好きっすっ♪くくく...見よっ!この冒険者御用達の雑誌をぉぉぉおっ!」


成美はそう言うと同時に、テーブル上に置いていた冒険者を特集している雑誌をパッと手に持ち、それを自慢げな表情で俺に見せてくる。


「何これ?冒険者......ファンファン?」


「その雑誌は冒険者を詳しく特集している専門雑誌でね、わたしのバイブル的な存在なんだ♪肌身離さず持ち歩くレベルのねぇ~♪」


「ふぅ~ん、バイブル的な存在......ねぇ。ちょいと失敬......」


どれどれ?


成美の持っている雑誌を俺は拝借すると、ページをパラパラと捲って中身を確認していく。


「な、なんだよ、これぇえっ!?どこもかしこもイケメンばっかりじゃねえかぁぁぁあっ!?」


雑誌の表紙から中身まで載っている連中が全員イケメンだと気づいた俺は、その表情を嫌悪感全開へと変えていく。


「はは。そりゃそうだよ♪だってその雑誌、女性に人気のある男性冒険者を特集した雑誌だもん。あ、因みにこっちの雑誌が女性冒険者版ね♪」


成美は同じくテーブル上に置いていた女性版の雑誌をパッと手に持ち、それを俺に見せてくる。


「しっかしお兄ちゃん。相も変わらず、イケメン男子に対して露骨なまでの過剰反応をしてくるよね......まぁそれも仕方ないか。何せあのクソ浮気女の所業のせいで精神を深く抉られちゃったもんね。可哀想......ぐすん」


成美が目尻に涙を潤ませ、俺の顔を哀れみの溢れる表情で見てくる。


「う、うるせいっ!大方の男はな、イケメンって人種は大嫌いなものなのっ!そ、それにイケメン嫌いにあいつは全然関係な...い......」


......事もないか。


しかし俺がイケメンを毛嫌う原因は、それだけじゃない。


そう...俺がイケメンを毛嫌う最大の原因は、


『剣聖』の勇者......アキラ。


『暴魔』の勇者......サクラ。


『慈愛』の勇者......ユカリ。


この勇者仲間だった三人が、俺の前でイチャイチャしていたからに他ならないのさぁぁあっ!!


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― 新着の感想 ―
 しっかし、勇者四人パーティーかー。バランス良いんだか悪いんだか判断つきかねますね。
読み始めたばかりです。面白いです。まだ100話も先があるなんて幸せ。 気になる点、妹って前の世界には存在しないんじゃないかな?妹が居たらあんなにコミュ症にはならなかったと思うのです。 それでふと妹はア…
[気になる点] 色々とこちらの世界にも出現するだろうって過去話で言ってたけど、するっていうか、もうとっくに日常に溶け込んでるよねコレ
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