神は見ている
「神様って、本当にいるんでしょうかねぇ」
「お、おう…」
「あでも定義にもよるのかな…何か超自然的、強大な能力を持った存在てだけならいるのかもしれない…それが人間に味方してくれる存在かはともかく」
「…その心は?」
「人間を庇護してくれるタイプの神様がいるなら管理AIが存在する必要なくない?」
「あー…」
「管理AIも特に神様に関する思想教育とかはしてないし」
「その辺は地区というか、宗教管轄によるかな~。俺の出身地区は普通に十字教の教義にのっとった思想教育してるし」
「へー。いわゆるお国柄…旧国家区分での地域文化ってやつか。信教の自由はあるとはいえ、幼い頃から親しんだ方が受け入れやすいってところはあるよね。大人になってから開眼した宗教には変なのめり込み方をしやすいというか」
「偏見だと言いたいけど、必ずしも間違いとは言えないか…」
「偏見ですかね」
「偏見でしょう」
「そうかな…」
「そもそもあなた神を何だと思ってるんですか?」
「そうですね…昔の人間が世界を説明するために作った概念、ですかね」
「ツール、ときましたか」
「そこになんらかの意思が介在していようがいまいが、現実に起きた事象が変化するわけじゃないでしょう。意味合いと心象は変わるかもしれませんが。運が悪かった、では納得できない人のためのものでしょう」
「シビアですね。神が必要ないタイプだ」
「居た方が面白いとは思ってますよ」
「普通神に居てほしい人は面白みは求めないんすわ」
「それはそう」
「わかってもらえたようで」
「ちなみにあなたは神を何だと思ってるんです?」
「俺?俺は、…ん-…まあ、我思う故に我ありの境地というか」
「それは神を考える時に至る境地か?…いや、一応元ネタ的に神について哲学した時に出た言葉でしたっけ」
「まあそういう感じですね」
「…意外といえば意外かもしれないですね。あなたは割と信心深いタイプかと」
「いやあ、"信心深く"はないですよ多分。神は存在するものだとは思っていますけど」
「そうですか?」
「そうですよ」
「真面目な話、日本人のメンタリティじゃないと思うんですよね、あなた。どちらかというと西洋系っぽいというか。あっちだと科学より宗教を正しいとする思想もまだあったりするじゃないですか」
「あはは。まあ俺は移住勢ですし、あちらは一神教だったので、この国の多神教で面食らった部分はあるんですけど」
「あー、そういえばそういう視点もありましたね。一神教と多神教。数多の神のあることを受け容れるか、己の信じる神以外は紛い物や邪悪なものと忌避するか」
「言い方」
「だってそういう事でしょう」
「そうかもしれないですけど」
「うちの神様たちのこと邪悪だとか思ってたりするんです?」
「邪悪というか…どちらかというと、俺的には天使の類も神にカウントしているやつでは、という感じ?個人の感想です」
「ははは」
「いや真面目な話、この国の神ってあっちの神とまた別の存在的な所あるから…唯一神は全知全能だから…」
「全知全能とか無理でしょ。少なくとも人と同じ精神構造には絶対ならないでしょ」
「それはそれ、これはこれ」
「横に置かないでもろて」
「賞味な話、人間に神を理解するとか無理でしょ。できたら人間じゃないというか」
「それはそう」
「まあともかく、俺から見るとこの国の神と呼ばれるものって、あっちの唯一神とは根本的に別物なわけですよ。デグーとマンドリルぐらい違う」
「例えが分かりにくいんだよなあ…。まあどっちも哺乳類でしょ」
「雑ゥ…」
「次の短編、機械仕掛けの神様とか書いてみようかな…デウスエクスマキナじゃなくて、マシンゴッドの方」
「バッドエンドオチしそう…救いのある話にしてくださいよ。まあどうしてもそうならざるをえないってんなら仕方ないですけど」
「私はいつだって主人公が悔いなくエンドを迎えられるよう応援してますよ」
「悔いないエンドだからってハッピーエンドになるとは限らないんだよなあ~~~~」
「人はいずれ死ぬんですから、死まで書き切ったらハッピーエンドは難しいでしょう。ギリシャの神様も生まれないのが一番幸せって言ってるし」
「極論!…いやその論説は聞いたことありますけども。ハッピーエンド二次創作の準備しとくか…」
「そんな期待されてるなら余程悲惨なバッドエンドにするのも吝かではないですけど」
「ハッピーエンドがいいですぅ~~~~」
「草」
「冗談か本気かわからないんれすけろ…人は普通ハピエンを求めるものでしょ…」
「たまに食べるメリバは背徳の味わいなので」