第七話 龍 対 竜(?)
・・・そう、アルジェンが呟いた。・・・いやね・・・正直言って俺だって龍にケンカ売りたかったわけじゃないよ?ただ、仲間のことを、自分のことを馬鹿にされたからちょっとケンカを売ってみただけなんだ。と・は・い・え。
一度相手に向けて魔力を発したら決闘が始まるのがこの世界の暗黙のルールだ。・・・ただ、前途ある仲間たちをこんな所で殺すわけにはいかない!だから・・・。こいつらは俺が守る!!!・・・ただ、どうやって倒すかが問題だ。
・・・どうやって倒せばいい?少し、考えてみよう。今の俺の魔力では、残念ながらあの龍を倒すことはできないだろう。ただし、大きな・・・あの龍にとって無視できないような大きな傷は負わせることはできる。だが、それじゃあ足りない。それじゃあ・・・この龍を倒せない。せめて、せめて全力を出せれば・・・。そのためには・・・!!
「コマンド起動。召喚 竜!!召喚陣展開。種族 翼竜。召喚可能数増幅。召喚 翼竜×3!!」
そう俺が叫ぶと、目の前に赤い魔法陣が3つ展開された。
「こ、これは・・・。ワイバーンの召喚陣?しかも、3つ?どういうことですの?だれか説明してくださいまし!!!」
極限まで集中している俺は答えられなかった。それに、アルジェンも、フランシアもコマンドの原理は分からないし、まず、この詠唱は他の人には聞こえていない。つまり!!この世でコマンドを使えるのは実質俺だけなのだ!!(た、多分・・・)そして・・・。
「「「GYUUUUWAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」」」
ワイバーンが出てきた。しかも、ワイバーンの最上位種。ブラッディワイバーンだ。
「な!?ブラッディワイバーン!!??しかも三体!!??どうなってんっすか?お師匠さん!!?」
「イヤー。ちょっと魔力込めすぎちゃったかなあ?」
「「「GYUUUUWAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」」」
「いやいや!!ただ魔力込めすぎただけでいきなり3体出てくることなんてないですよ先生!!」
「う~ん?俺はお師匠さんならこれぐらいできると思うっすけどね。」
「にしては驚いていたようですが・・・。まあいいですわ。それより、どうやって三体も召喚した・・・いや、召喚することが出来たんですの?教えてくださいませんか?」
「え~?今ここで~?龍がいんのに~?まじで~?・・・あの~・・・その話っていましなきゃならない?できれば後がいいんだけど・・・ダメ?」
「いえ、そういうわけではないのですが。・・・その~・・・。どうやって呼び出したのかと、どうして三体呼び出したのか?を聞きたかっただけですので。」
「あっそう?ならいいよ。どうして三体呼び出したのかは、今教えてやるよ。その理由はなあ。・・・・・おまえら三人を逃がすためだ!!!!!」
「え?先生?何をしているんですか?」
「わわ!!!わ~~~~~!!!!!」
そう言って、アルジェンたちはワイバーンに咥えられて(アルジェンだけが咥えられて、他女性二人は普通に乗せられていった。)
「さて、弟子と得体の知れないオーガの美女は逃がせた。・・・と。さあ、ここからは俺の出番だ!!精一杯やるとしようかな!?」
「その必要はありません。」
「え?わあ!!!って、なんでこんなところにいるんだ?・・・謎のオーガ美女。こと、戦の鬼神 カレラさんよぉ?」
「まあ、覚えていてくれたのですね?ポテプさん!!」
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「あれ?あの人は?」
「え?あのオーガの人ですか?さっきワイバーンを降りて・・・っ!!??」
「はあ~。やっと気づいたかこのお師匠さんバカ。こんな高度から降りていく時点で普通の人じゃねえよ。いや、まあ、人ではないけどさ!!何ならオーガだけどさ!!でも、普通のオーガでもこんなとこから下りねえだろ?」
「そう言えば昔・・・。245年くらい前、鬼神と謳われたオーガの女性がいたそうですよ。」
「え?それってもしかして・・・。」
「いや、もしかしなくても・・・。」
「「あの人だ!!!???」」
実はラスアさんはポテプの・・・。