第四話 冒険はまだ始まらない
「よし。行くぞ。・・・ん~・・・。まずはギルドに行こうか。」
「えっ?どうしてですか?コラシオン王国に行かないんですか?」
「そうしたいのは山々なんだけど、コラシオン王国に行くにもギルドカードがあったほうがいいだろ?」
「そりゃまあ、確かに。でも、お師匠さんってギルドカード持ってるんっすか?」
「持ってねえからギルド行って登録しようと思って今言ったんだろうが!!」
「分かりました。ではギルドに行きましょう。アルジェンも。それでいいわね?」
「おう!!分かったぜ。そういうことなら、急がないとだな。・・・お師匠さんも、早く行くっすよ?。」
「わかったわかった。準備が整い次第出よう。ちょっと待ってろ。」
――数十分後
「準備、終わりましたか先生?終わったのなら、早くいきましょう。でないと、メイランが危ないですよ。」
フランシアはポテプから何の返事も得られなかったため、妖精王の湖の奥に入っていった。
・・・そこには、天井が色とりどりの鍾乳洞で覆われており、床には一面に世界中の花が咲き誇っている大洞窟があった。
「・・・・・キレイ・・・・・・。」
フランシアが思はずそう呟いてしまうほどきれいな景色だった。そしてそこには、その自然と一体化するように宙に浮かんでいるポテプがいた。
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「ふい~~~~。ん?どうしたんだフランシア?こんなとこるまで来て。なんかあったのか?もしかしてアルジェンが何かの罠にひっかっかったのか?はっはっはっはっは。ま、アルジェンもそこまで馬鹿じゃないか。で?何の用だ?」
「ここすっごい綺麗ですね。先生。で?何をしていたんですか?私もアルジェンも待ちくたびれましたよ。」
「え~~~っと、だな。ここを去る前にここを収めている妖精にお礼をしとこうと思ってな。」
「えっ?去るってどういうことですか?」
「実はな、ここと同じような、妖精が治めている場所は、ここ以外にもたくさんあるんだ。でも、そのほとんどが見つけられていない。何故だかわかるか?」
「え~~~っと・・・一度出たら二度と見つけられないからですか?」
「そうだ。よくわかったな。こういった、妖精が治めるている様な特別な場所は、一度出たら二度とたどり着くことは出来ないんだ。だから、去る前にお祈りをして、『今までありがとうございました。』ということをしっかりと言っておかなくちゃならないんだ。それに、10年以上ここに住んできたんだ。愛着だってあるさ。・・・っていうか、こんだけ長くいると、お祈りしてから出て行かないと妖精に引き留められてしまって、逆にそのまま2度と出てこられなくなるぞ。」
「なるほど。・・・そういった事情であるならば、もう少し出発を遅らせますか?」
「いや、いいよ。ちょうど今終わったから。」
まあ、本当はただ単に俺が戻ってきたいと思ったから祈ってたんだからね。え?フランシアに嘘を教えたって?何を言う!!自分で答えにたどり着くことも時には必要だろ?・・・・・噓です。すみませんでした。俺がフランシアにちょっといたずらしたかっただけなんです・・・。で、でも、祈っておけば戻って来れるってのは本当だぞ。
・・・話を戻そうか。
俺とフランシアとアルジェンは罠を一個ずつ解除しながら先に進む。そして一番近い都市、フィアラルーン王国の南部、アルファ街に着いた。その日のうちに宿をとり、就寝した。そして翌日・・・・。
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「先生、アルジェン?さっさと起きないと朝食が無くなりますよ?」
「ん?ん~~~~。」
「ふぁ~~あ。ほらお師匠さん。早く起きてください。ふぁ~~あ。眠いなこん畜生。」
「ふぁ~~。むにゃむにゃ。もう五分いや、三分寝かせてくれ。」
「そんなこと言ってる間に朝飯無くなるっすよ?お師匠さん。」
「え?マジかよ。はぁ~。しゃあねえ。おきるか。」
「先生?やけに機嫌が悪いですけど、どうしたんですか?」
「ん~~?ほら、森の中の安全なところに十年もいたから、寝起きが悪いんだ。」
「ふ~~ん。そうなんですか。まあいいですから食べません?無くなっちゃますよ?」
「そうですよお師匠さん。早く食べてくださいよ。」
「ハイハイ。そう言えば今何時だ?」
「え~っと、朝の7時半ぐらいっすかね。」
「ふ~~ん。」
そこから俺の声色が変わる。
連載なので次回もよろしくお願いします。