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29話:これから毎日牛をパリィしようぜ!

 今俺は、荒れ狂う牛と対面している。

 これはトイメンという麻雀用語としての対面、ではなく、目の前にしている、という意味での対面である。


 いやそんな話は良いんだ。


 目の前では絶賛俺に向かって、牛が荒れ狂いながら突進してくる。


 数は三匹。

 まるでボウリングの前3つのように並びながら突進してくるのは、とても圧力を感じる。

 異常に発達したその角は、目の前の牛が現実ではないことを示している。


 というか、牛の突進の様子がかなり怖いのだが。

 なんか、例えて言うなら親と親戚全員殺され、挙句の果てに隣のクラスのマドンナまで殺された勢いだ。


 すでに狂気じみた突進をする牛に、身構える。

 後少しで衝突のタイミングで、思いついた言葉を口から発する。


「Don't know for 仏」

「知らぬが仏?」

「今思いついたやつ!!!」

「ハハッ、受ける」

「いやつまらんけどっ?!」


 そんな独り言に反応してきた挙げ句、興味なさそうに俺の後ろでウィンドウを操作する女。

 それに対して自分でつまらないなんて話すのもおかしいと思いながらも、牛はこちらに向かって突進してくる。


 接敵。


 一番最初の牛の突進。

 ストロングポイントは、その発達した角の先。


 2つある場合はどちらかだけでも大丈夫なので、右の双剣で右の角を攻撃する。


「パリィ!」


 未だに使っている木製の双剣。

 明らかにならないはずの金属音が鳴り響き、牛は猛烈に突進していたはずなのに、後ろに吹き飛ぶ。


 次の牛……と思いながら、左の双剣を振るおうと力を込める。


 しかし、後方に吹き飛ばされた牛は、残り二匹の牛に衝突する。


 さすが巨体を持つ牛。

 密集して突進してきた牛たちは、先程も例えたボウリングのようにバタバタと押し倒される。


 そんなに吹き飛ばす力強かったのか、と思いながら、左手の双剣を下げる。


「終わり?」

「なわけ」

「なんでよ、点心さん」

「いやいや、モンスターって死んだらどうなるよ」

「え? 光って消え……」


 確かに。

 吹き飛ばされて押し倒しただけで、死んではいない。


 後ろにいる点心さん……長いポニテに黒い瞳。

 まさに日本のJKを主張するかの様なトレードマーク。

 装備はゴツゴツしたものではなく、軽装でしっかりと可愛らしさのある作りのもの。


 そんな彼女は、未だにウィンドウを操作しながら片手間に俺と話している。


「あ、そう言えば」

「なに?」

「知らぬが仏、グーグル翻訳でやったらI don't know but Buddha、だって」

「めっちゃどうでもよくないですか?!」


 目の前で牛が体勢を立て直している最中に、思わず点心さんの方を向いてしまった。


 あっ、気づけば牛さんがこちらに向かって来ている。

 今度はご丁寧に一頭分距離をはなして向かって来ている。

 恐らく次はさっきのようなボウリングはできないだろう。


「クソがぁ!」


 悪態を付きながらも、前に出てパリィを行う。


 前に出ないとクエストが失敗になるのだ。


 ちなみに、今の場所は村の前。

 点心さんは村の入口に設置されている木製のアーチに背中を預けて休んでいる。


 今のクエストは『盾の試練:拒みの試練』


「手伝ってぇ!」

「いやほしくないのー? スキル?」

「ほしいけどぉ!」

「ならガンバ~」


 とあるスキル獲得のために、俺はここでこれから毎日ではないけど牛をパリィする。

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