3.思い出
前回の続きです。
好きだった女の子に告白された俺は、好きな事に打ち込む姿を褒めてもらえた嬉しさから、殊更練習に打ち込んだ。その甲斐あって2年生の夏から、エースナンバーを任されるまでになった。
2年生の夏はベスト4。3年時には決勝戦まで勝ち進んだものの、同地区のライバル、天城隼人を打ち崩せずにあえなく敗退した。試合後の挨拶で天城は県内の強豪校に進学する予定と聞き、今度は甲子園をかけて戦おう、と握手を交わした。
しかし、今のままでは更に上に行くことは出来ない。そう感じた俺は、県内でも有数のスポーツ進学校を目指そうと決めた。この頃だろうか、はっきりと甲子園に行きたい、プロになりたい。そう思い始めたのは。そんな話を美香にした所、自分もそこを目指す、と言った。選手としてでなく、栄養の事や身体の勉強をして選手を支えたい、と。お互いの目標に進むべく、2人して苦手な勉強を教え合った甲斐があって、この学校に進む事がーーーー
「は…き。……るき。…晴樹ってば!」
「うおっ、どうしたんだよ急に。」
「さっきからずっと呼んでたでしょ!ほら、着いたわよ」
「え?あ、本当だ。さっき駅を出たばっかりだと思ったのに、もう着いたのか」
「さっきって……かれこれもう20分以上は経つわよ。そんなに長く何を考え込んでたの?」
「美香との出会いからこれまでの事を思い出して懐かしんでたよ。同じ高校にも来れて良かったなぁ、って」
「……ふーん、そうなんだ。あっ、入学式の前にクラスごとに集合だって。じゃあ、また後でね!」
そう言うと美香は自分のクラスの方へ走って行った。何か様子が変だったような気がするけど、照れてたのかな?まぁ、良いか。俺も自分のクラスに行くかな。




