1.初日
ちょっと短いかもしれません。人物や環境説明みたいな話です。
俺は高橋晴樹、15歳。この春から【青城高校】に通うことになる野球少年だ。成績は正直良くはないが、中学3年間真面目に通っていた事、所属していた野球部ではエースを務めていた事もあってなんとかスポーツ推薦で滑り込む事が出来た。
この高校は元々偏差値が高いのも有るが、何よりスポーツに関わる進路へのサポートが手厚い事もあり、かなり倍率の高い人気の高校であった。その為、成績が良くない俺がギリギリ滑り込めたのは運が良かったと言える。
入ろうと思っている野球部も最近メキメキと力をつけて来ており、そんな環境で自分を高められる事や新たな仲間との出会いに想いを馳せつつ、電車から見える景色を眺めていた。
電車を降りた後は、学校まで徒歩で向かう。周りには、同じ学校の生徒であろう面々が友人と、あるいは恋人と思われる組み合わせで歩いている。この中で何人かは同じクラスの仲間になるのかな、そんな事を考えていると……タタタッと誰かが駆けてくる音が聞こえ、背中に軽い衝撃。驚いて振り向くと…
「おはよっ、晴樹!今日からまた一緒だね!」
幼馴染み兼彼女の紺野美香が、可愛らしい制服姿で立っていた。
「おはよう、美香。また3年間よろしくな。制服、似合ってるぞ。」
「えへへ、ありがと。晴樹、今日は珍しく早いんだね。いつもはお寝坊さんなのに」
「あぁ、新しい生活が楽しみで早くに目が覚めちゃってな。歩きながら風景でも楽しもうかと思ったんだ」
「ふふ、相変わらず子どもっぽいんだから。」
そう言って美香は俺の横に並び、歩き始めた。