15.過去と今
サブタイのセンスと描写力を下さい(ヨクバリス)
『ねぇ、高橋君。この後少し時間貰えないかな?そろそろ仕事も終わる時間だから、少しお話ししたいんだけど………』
かれこれ数分程真っ赤になって悶えていた四条だったが、落ち着きを取り戻すとそう切り出した。特に用事がある訳ではないので了承すると、陰で小さくガッツポーズをして喜ぶ四条。そんなにストレートに喜ばれると恥ずかしいんだが……小さな声で『…よしっ』って呟いてるの聞こえてるし。
そんな事があり、俺は時間潰しの為に再度バッティングをしながら四条を待っている。ただ待たせるのは申し訳ないと数回分サービスをしてもらったので、お言葉に甘えている形だ。
「にしてもあの四条と………こんな所で再会するとは……なっ」
俺の記憶にある四条は、目が隠れるほどに伸びた黒髪のおどおどした女の子だった。いじめの理由や詳しい内容は把握していないが、補欠2人組が練習を抜け出して悪戯を仕掛けているのを俺がランニング帰りに発見したことから事実が発覚。怒った俺はその場で彼等を問い詰め、各所に報告した。それから間も無くいじめは終息したが、四条の親にも伝わった為に彼女は転校する事になってしまった。
「すぐに転校しちゃったからちょっと心配してたけど……変われたんだな。あんなに可愛くなってるとは思わなかったけど……」
綺麗に切り揃えられた艶のある長い黒髪と穏やかな瞳。いまや清純と言う表現が似合いそうな美少女に成長していて、とても驚いた。何が彼女をここまで…………ん?後ろに誰かが…って四条!?全く気づかなかった…もしかして聞かれてたか?
「高橋君が私の事可愛いって…… はぅぅ、照れちゃうよぉ…えへへ、今まで頑張ってきて良かったぁ……!」
バッチリ聞かれてたっぽい。しかも本人の前で褒めちぎってしまった。すっげー恥ずい。
「それに、私が変われたのは高橋君のおかげ、なんだよ?……って高橋君!後ろっ!」
「へっ?ギャーーッ!」バシィィン!
バッティング中なの忘れてた………!背中痛い……
考え事しつつ何かしてたら独り言を聞かれる、ありがちなヤツ。