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9.終わりと始まり

中盤にて、プロローグの時の回想と繋がります。


1年の夏季大会が終わった。青城高校は、県大会の決勝戦に進んだものの、3期連続で甲子園に出場している星道(せいどう)高校に2対1で敗れた。

今年の青城は、特にレベルが高いと評判だった。そんな先輩達でも甲子園の壁はこんなに高いんだ。そう思うと、少しショックを受ける。


「こんな凄え人達でも勝てないって、どんだけ強いんだよ、星道は………」


帰りのバスの中、ついそんな事を漏らしてしまう。すると、


「おいおい、何言ってんだよ晴樹。」


そう声をかけてきたのは3年生エースだった古谷(ふるや)先輩。150km近い速球と鋭く落ちる球が武器を駆使して7回まで無失点の好投だったが、球威が落ちる終盤に捕まってしまった。


「確かに俺達の世代はかなり期待されてたよ。それでも入学した頃は落ちこぼれ寄りの世代だったんだぜ?」


え?この先輩達が……落ちこぼれ?


「そうだ。でも、必死に練習を重ねてここまで来れた。お前なら、お前達の世代ならもっと上に行ける。お前は気付いてないかもしれないが、1年のお前が、俺とそう変わらない球投げるんだぞ?そりゃあ焦ったよ。そんなお前達が3年になったらどこまで行けるのか?楽しみにしてる。だから頑張れよ、晴樹!」


まだベンチ入りもしてない俺達の事を、そんな風に思ってくれてたのか……。引退する3年生がこんなに前向きなのに、まだ2年もある俺が落ち込んでるわけに行かないだろ!そうと決まれば、しばらく部活は休みだが個人的に猛特訓だ!


でも、明日くらいは美香と帰ったりしたいな。そしたらもっと練習頑張れる気がする。


――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――



と、思っていたのにバイトがあるという事でいきなり計画が狂ってしまったぞ。仕方ない。さっさと帰って体を休めよう………。



家に着いたが、夕方になるというのにまだ蒸し暑い。風呂は軽く済ませ、ベッドに寝転がって扇風機を付ける。


「これから練習していく中で、俺は何を磨いていけば良いんだろう。」


まず、今自分にある武器は何だ?直球とスライダー、それにチェンジアップ。逆に足りない物。スタミナは投手なら誰でも悩む部分だ、これは地道に鍛えるしかない。となれば、球数。緩急に加え、打たせて取る球があれば、9回を全力で投げ切ることも不可能じゃない。


「となれば、ツーシーム系か、シュート系のボールの習得が必要だな。早速、参考書でも買いに行くか!駅前の本屋なら夜まで営業してる筈だし」


俺はまた電車に乗り、隣町へと出かけた。


『ありがとうございましたーー!』


買い物を終えると、20時を回る頃だった。そう言えば、そろそろ美香のバイトが終わる時間じゃないか?


「せっかく近くまで来たんだし、迎えに行ってみるか。そんで、一緒に帰ろう」


大丈夫と言われていたんだからよせば良いのに、そんな事を考えてしまった。知らなければ、幸せだったかもしれないのに。



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