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月のきれいな夜に  作者: さやくん
8/11

8.月のない夜に

月のない夜、出会った少女は?

月のない真っ暗な夜の日でした。

 タオとショウくんは、バスケットボール部の試合で帰りが遅くなりました。駅を降りた後、いつもの森のある公園を歩いていました。すると、向こうから、ぼわんと白く光るものが近づいてきました。

「なんだろう、まさか幽霊じゃないよね」

 ショウくんが不安そうに言いました。

「いいや、違うと思うよ。ちゃんと足があるからね」

タオが、落ち着いた声で言いました。

よく見ると、白いワンピースを着た女の子でした。流れるように、スカートを揺らしています。そして、しなやかに跳ねるように歩いてくるのでした。

「ねえ君、こんなところで一人で大丈夫かい?」

 タオが話しかけます。すると、女の子は、ちょっとびっくりして言いました。

「ええ、暗い夜は、空気もひんやりしていて気持ちがいいのよ。あなたたちも、お散歩しているの?」

「いいや、ちょっと帰りが遅くなっただけだよ。今から家に帰るんだ」

 タオが答えると、女の子は少し微笑んで二人を見ています。女の子は、小柄で、顔も手足も、白く輝いていました。

「女の子ひとりで暗い森にいるなんて、あぶなくないのかな」

 ショウくんが、小さな声で呟きました。 

「あら、大丈夫よ。私のお家はすぐそばだもの。それに、暗い夜でないと、人が多くて出られないのよ。でも、あなたたちなら、大丈夫そうね」

 女の子が言いました。

そして、両手を胸の前に上げて手首をチョコンと折り曲げ、左に跳ねてピョン、右に跳ねてピョン、くるっと回って正面でピョン。

ピョンピョン、くるり、ピョン。ピョンピョン、くるり、ピョン…。何度も何度も繰り返します。月のない夜に、白く浮かぶ女の子の踊りが続きます。

「不思議な踊りだね」

 ショウくんがポツリと言いました。タオとショウくんの二人は、魅せられたように、女の子の踊りを見ています。

 どのくらいの時間がたったのでしょうか、気がつくと女の子の姿が消えていました。そして、いつの間にか小さな白い生き物がいてこちらを見ていました。

「今日は、ありがとう。楽しかったわ」

 そう言い残すと、しなやかに振り返り、闇の中に消えていきました。


 ショウくんとタオは、顔を見合わせた後、静かに家の方に向かって歩き出しました。


不思議な踊り、女の子は何者なのか。

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