0005:今後の方針
今回は短めです。
出てきた食事は革袋の中に会ったのと似た様な固いパンとシチューの様な物、それから酒と思しき物だった。
「えーっと」
「ん?どうした?」
「いえ、なんてお呼びすれば良いのかと」
「あぁ、俺はカールだ。カールでもおっちゃんでも好きに呼んでくれ……ハゲって言った客は叩き出すけどな」
「私はカイです。カールさん、俺酒飲めないんで代わりに水貰えませんか?」
「あぁん?まだ未成年だったか。そりゃ悪かったな」
そう言ってカールは奥から水を持ってくる。
「ありがとうございます」
「おうよ!って、何パンをそのまま齧ってんだよ……ちぎってシチューに付けないと食えねぇだろ?」
「え、あぁ、そうか」
「おめぇ、大丈夫かぁ?」
カイは言われたとおりパンを千切ってシチューへ浸す。
「(うまいな……けど牛乳じゃない?なんの乳かまでは分からないけどしつこくないとろみに、油の甘みというか旨味が出てていいな。別に油足してるのか?)」
「兄ちゃん、うまそうに食うなぁ」
「とっても美味しいですよ。特にパンにつけても負けないようにシチューの味が濃くなってるのが好きですね。あ、おかわり有りますか?」
「そうか!いやぁ、酒飲みはそのまま食って味が薄いって文句言うやつばっかりでよぉ、酔ってるからじゃねぇかと思ってたんだが、やっぱりそうだったんだな!おかわりは残念ながら有料だ」
「じゃあお願いします」
「青銅小2な」
「ありがとうございます」
革袋から青銅小を2枚取り出しスープを受け取る。
「明日のご飯も期待してますね!」
「ありがとよ!兄ちゃんみたいに美味そうに食ってくれるとこっちも作りがいがあるってもんだ」
座席はまだ空いているものの、チラホラとお客が増えてきた。
カイは食事が終わるとカールにお礼を言って自分の部屋へ戻る。
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「さて、今後はどうするか……所持金は475,300リーンか……50万リーンはじめに有ったんだな……50万といえば裕福な方の月収2ヶ月分くらいか」
日本のお金に比べかなり小さいコインを確認して革袋へしまいなおす。
「真っ先に解決しなきゃいけないのはやっぱりスキルの事だよな……アリーセに頼んでも良いんだけど……あの様子じゃ対価が俺の寿命でも使い続けるだろうし……やっぱり奴隷か……絶対裏切れないっていうのはかなり魅力的だな」
日本人は異世界へ行っても人間を者の様に扱う奴隷へは忌避感を示す場合が多いのだが、異世界転生モノを良く読んでいたカイからしてみると買う事自体には特に忌避感はない様だった。
「流石に口封じの為に殺すのは流石に気が引けるからその場合一生面倒を見ないといけないのか……値段はピンキリで五体満足でも庶民の月収くらいから居るらしい。
奴隷の予算を25万とすると……使えるお金の残りは225,300リーン。奴隷の宿泊費も入れると10日くらいで今持っているお金の底が尽きる計算になるな……あと他にはスキルは何が有ったか」
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名前 :カイ
種族 :人間族
性別 :男
年齢 :11歳
レベル:3
職業 :見習い冒険者(iランク)
スキル:魔導具作成
スキルメイカー
基本言語理解
アイテムボックス
簡易鑑定
加護 :イーリアの加護(小)
ギルド証発行履歴:
イーリア歴3562年 冒険者ギルド証発行 カント街
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「レベルが上ってるな。ここはカントって街なのか。魔道具作成は……材料がないな……流石にこれは材料があれば対価が要るとは思えないんだけど……基本言語理解はこの自動翻訳っぽい奴か。日本語喋ってるつもりなのに全然違う言語だ」
カイは一つ一つ確認していく。
「アイテムボックス?うぉ!?なんだコレ、アイテムボックスに入っているモノのリスト?といっても何も入ってないな……試しにこれ入れてみるか」
カイは革袋を1枚アイテムボックスに入れて取り出してを繰り返す。
「一応無くなったりはしないみたいだな……あとはどれくらい入るか試したいけど……今持ってる荷物は全部入るな。流石にベッドとかを拝借する気にはなれないなぁ……」
「簡易鑑定は辞書みたいな感じの知識が出てくるやつか……これ以上は検証のしようがないなぁ」
そろそろ日も落ちてきたので部屋の中が暗くなってくる。
電気はもちろん無いのでロウソクや魔道具を使うのだが、有料らしい。
大抵の人は日の出とともに起き日の入りとともに寝るか酒場などに入り浸るらしい。
「風呂は……無いんだったか。仕方がないから今日はそのまま寝るか」
カイはベッドに横になる。
「今後の予定としては奴隷を買ってスキルメイカーの詳細を調べる事と安定した収入を得ることか……あと出来れば宿じゃない拠点が欲しいな」
4階は酒場から離れているためかなり静かでカイの眠りが妨げられることはなかった。
明日も投稿します(予定)。