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0004:スキルメイカーの対価

本日2話目です。


家はレンガ造りか木造の家が主で道は踏み固められた土の様だ。

衛生面はきちんとしているのか道端に排泄物が放置されているようなことはなかった。

少し顔を上げると遠くに大きな壁が見える。


「(あれは魔物対策の防壁か)」


「別にそんな珍しいものないでしょ?何がそんなに興味深いの?」


「町並みがすごく珍しいような気がする。もしかしたら記憶を失う前はこの辺じゃない所に住んでたのかも」


「あっそ」


「アリーセはこの辺の出身なのか?」


「私はもっと田舎の方の出身よ……あんたと違ってギルドくらいあるけどね」


「え、あぁ、そうですか」


アリーセはズンズンと進んでいく。


「(やっぱり歓迎はされていないらしい)」


「あんた、どんな宿が良いとかあるの?」


「ご飯が美味しくて、夜が静かで、安全なところが良いです。お風呂があると嬉しいですね」


「はぁ?お風呂がついた宿なんて貴族様用位しか無いわよ。風呂が無くて良くても1泊小金貨は下らないわね。そんな超高級宿が良いなんてあんた実は貴族様か大商会の御曹司だったの?」


「えっと、流石に1泊10万はちょっと……あと、多分平民だと思う」


「大抵の宿は1階が酒場だから静かなのは諦めなさい。ある程度安全でご飯が美味しいとこなら私が今いる宿が良いわね……師弟の連携も取りやすいしそこにしなさい」


「はい」


収入の見込みがほぼ無いカイは大人しくアリーセに付いて行く事にした。


「(少なくともギルドを通して師弟関係になっているのだから詐欺られたりはしないはず……)」


「ここよ」


そこはどう見てもウェスタンドアの酒場だった。


「ここ酒場じゃ?」


「1階は酒場だっつったでしょ。2階から4階が宿になてんのよ。レーアいる?」


「はいにゃ~」


奥から人間に猫耳が生えた人が出てきた。


「(獣人ではなく、耳族猫科らしい。首輪が付いてるから奴隷かな?)」


「こいつ泊まりたいんだって」


「お客さんにゃ?1人だと今は2階と4階が空いてますにゃ。4階の方が高いんにゃけどどっちにするにゃ?」


「静かな方が良いので4階の方が良いんですけどいくらですか?」


「朝食夕食込みで9,500リーンにゃ」


「はい」


「まいどありにゃ!これが鍵にゃ!朝は5の刻から8の刻夜は19の刻から3の刻までにゃ!食べ無くても返金はないにゃ。女連れ込んじゃダメにゃよ?」


「あんたの部屋でちょと話すわよ」


「夜はだめにゃよー」


「しないわよ!」


カイはレーアの冗談に顔をしかめながら階段を上がっていく。


「ここね。早く開けなさいよ。ノロマ」


「そんな事言われる(いわ)れは無いんだが……」


「あんた私の弟子。私師匠。いい?」


「はぁ、はいはい」


 鍵を開けて部屋に入る。

中はタンスが1棹と机と椅子が1脚づつ。ベッドが1台。

シンプルで特に特筆することのない部屋だ。広さも必要最低限で正に寝るための部屋である。

アリーシアが椅子に座ったのでカイは入口付近で立って対応する。


「じゃぁ、火魔法がいきなり私に生えた理由(わけ)、きちんと話して貰おうか?」


「えっと、俺がスキルメイカーってスキルを使ったからだと……思う」


「何そのスキル?」


「よく分からないけど、名前的にスキルを作れるんだと思う……」


「思うって……じゃあ今私に水魔法を付けようとしたら付けれるって事?」


「条件が分からないから絶対とは言い切れないけど多分できるんじゃないかと……」


「やって」


「(あまりやりたくはないんだけど……一応今は味方みたいだし……)」


「できないの?」


「いや、やってみる。スキルメイカー!」


『作成するスキルを思い浮かべてください』


「スキルは水魔法。効果は魔法で火を出して攻撃等が可能。対象はアリーセ」


『スキルポイントが不足しています。発動に失敗しました』


「え?」


「どうしたのよ?」


「失敗した……」


「なんでよ?」


「なんかスキルポイント?というのが足りないらしい」


「なによそれ?ちゃんとしなさいよ」


「分からないんだよ……(例の常識スキルみたいなのにも引っかからないって事は常識じゃないのか……そもそもスキルを作るのに代償が無い訳が無かった……もしこれの代償が寿命とかだったら……)」


「顔青くしてどうしたのよ……出来ないなら良いわ。明日の朝7の刻に宿の前に来なさい。良いわね?」


「わ、わかった」


 カイが慌てて避けるとアリーセは期待はずれだったとでも言うように乱暴に扉を締めて出ていった。


「(これはスキルポイントだけを消費するのだろうか?それとスキルポイントを集める方法は……考えても分からない……分かるためにはそれが分かるようになるスキルを作らないといけないのか?誰につける?)」


 カイは身分証に穴が空くのではと言う程睨みつけて考えるが、答えが出る訳も無い。


「(くそ、一旦頭冷やすか……)」


カイが1階へ降りるとレーアではない人が受付に居た。


「飯にはまだちと早いぞ。協会の19の鐘が鳴ってからだ」


「あぁ、わかりました。お水もらえませんか?」


「水か、100リーンだ」


「(安全な水は水売りの魔法師から買ったり魔法具から出したりするから金がかかるのか、日本とはぜんぜん違うな)」


「あいよ」


コップとお金を交換でもらう。


「レーアさんは居ないんですね」


「レーアは俺ら夫婦が対応できない時対応させてんだ。奴隷なら衣食住の最低限だけ用意してやれば絶対に裏切ったり、金ちょろまかしたり出来ないからな」


「裏切られない……(そうか……奴隷は魔法やスキルで縛られているから絶対に裏切らないのか……)」


「そうだな、裏切れないってのが正しいか。なんだ、奴隷が欲しいのか?まぁ、冒険者だと分け前も要らんから使ってるやつは多いな。初期投資はちと嵩むが……」


「そ、そうですね……」


『リーン……ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン』


「っと、飯の時間だ。食ってくか?」


「いただきます」



明日も投稿します(予定)。

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