Chorus contest ‐1‐
◇ ◇ ◇ ◇
「今から合唱コンクールの運営係を募集します。やってくれる人はいますか?」
ーーーしーんーーー
安定のやつだ。これで手を挙げるなんてどんな勇気がいるか。やりたくても手を挙げられない子も絶対いるでしょ。
「えええっ、えー、じゃあ、やってもいいよって人〜」
ーーーしーんーーー
状況が変わってないよ、先生。
「えー、1回みんな伏せて!やってもいいよって人静かに手挙げて!!」
。。。。。
音がしない。誰も挙げていない。
「嘘でしょ…。。」
先生の口からポロッと溢れてしまった。
キーンコーンカーンコーン__。
「あぁ、終わっちゃった…。次までにちょっと考えてきてね!」
そう言うとファイルに何か書き始めた。
「毎回こうだよね〜。手挙げる人全然いない。」
「なら佑奈やる?」
「いやだよ!めんどくさそう!!」
「決まんなかったらこのまま時間過ぎくから授業潰れる〜〜」
友達と話せている。楽しく話せるのはいつぶりだろう、そう思えるくらい楽しかった。
「美玲ちゃーん、ちょっといいかな?」
先生から声をかけられた。
「あ、はーい」
「美玲運営係確定やん」
「どんまい」
2人は笑いながら私を見送った。
「あっ!きたきた」
「あのー、なんでしょう…」
大体は予想ついてますけどね。
「合唱コンクールの運営係やってくれないかな? 人が居なくて…。隣のクラスからも1人来るから大丈夫だよ!!」
まあそうでしょうね。予想通り。私がだまって俯いていると、
「だめかな…? 本当にお願い…!!」
これはもう断れないですね。後からの人間関係めんどくさいですからね。
「や、やりますよ……」
「えー!本当!? ありがとう!!」
そう言い残すと先生は職員室に戻って行った。私も佑奈と彩音のところに戻った。
「どうしよう。運営係になってしまった」
「あっははは、どんまい、ふっ」
佑奈は大爆笑。彩音は笑いそうで笑っていない。
「だって運営係だよ?めんどくさいに決まってる!あっはははは」
笑いのツボに入ってしまったらしく笑いが止まらない。
「私だってやりたくてやってるわけじゃないからね? これで成績上がるかも〜」
「上げらせないぞ〜」
「そんなん知らん、なんで美玲が…はははっ」
「なあー、さっきからお前らうるせーぞ」
「うわ、遥斗だ」
「まとめないでくれるかな、うるさいのは佑奈だけだから」
「ねえ、ちょっと…ひーっひひっっ」
笑い方がやばくなってきている。魔女のような不気味な笑いである。
「で、何があったの」
「ひーみーつー」
「んだよ。つまんねーなー」
知られたら笑われるに決まっている。私はこんなのするタイプではない。言われたからなくなくやるだけだ。
「佑奈〜、そろそろ笑いこらえた方がいいよ〜」
「ひーっ、ごめん!ぷっ!」
◇ ◇
「第一回、合唱コンクール運営係会議を始めます。始めに自己紹介をしましょう。1年生からどうぞ。」
1年から3年までの各クラス1人づつ運営係になった人が出席している。私の学年は4組まである。今は2組に所属している。
「よろしくお願いします。」
私が最後に挨拶を終えたら意外な声がした。
「2年3組の運営係になりました流川蓮弥です。迷惑をかけると思いますがおわるまでよろしくお願いします。」
「あれ、蓮弥だ、なんでここにいるの??」
「あー、ほんとだー」
笑いながら先輩にいじられている彼は蓮弥だった。
「しょうがないだろ、押し付けられたんだよ」
「はいはい、次いってください。」
先生に言われて蓮弥と先輩たちは静かになった。
自己紹介は3年生の最後まで回ると担当の先生の紹介があった。特に関わってこなかった先生だったので、あまり興味がなかった。
「ここまでで一回目の会議は終了です。気をつけて下校をしてください。」
「「「ありがとうございました」」」
「よ、よろしく…ね…」
初めて声をかけた。緊張がすごい。変なとこから汗が出て声が裏返りそうな、そんな感じである。
「おう!よろしく〜」
「美玲ちゃんも運営係なんだね!よろしくね!」
「蓮弥ぁぁぁぁあああ!男子1人だけかと思ったぜーー、良かったあああああ」
女子2人、男子2人で男女のバランスがちょうど良かった。
「あっ!2年だけのグループ作らない?」
「さんせー」
「いいんじゃねーの?」
「あ、うん」
「帰ったら私が作っておくから入ってね!また明日〜」
「ばいばーい」
◇ ◇
【2年運営係】に招待されました。
「仕事早いなぁ〜」
(みれい が参加しました。)
「よろしく〜」
「よろしくね!」
「よろし」
「く」
私が送信してから1分程で他の3人からの返信が返ってきた。新しい友達に 蓮弥 が追加されていた。