Something surprising
曲リクエストした男の子と被害受けた男の子は全くの別人です。これ以降たまーに出てくるかもですが話にめちゃくちゃ出てくるわけでもないので名前は付けてないです…。
「んぁーーー」
暇である。休み時間とはまた違う、座っているだけの暇な時間。特にやることもなくただひたすら座っている。話す友達がいないとすごく憂鬱な時間となってしまう。
「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
唐突に遥斗が歌い始める。
「ねね、俺の歌どう?」
「下手ではないと思う」
「おー、あざーすw」
「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
また歌い始める。下手ではないのは本当だし、どちらかと言われれば上手い。
曲が終わった。
「曲のリスエストない?」
訂正しよう、“1曲目”が終わった。
「なに知ってんの?」
「えーっと、いろいろ」
「あっじゃあ、あのアニメのアニソン!」
会話に入ってきた子は私たちの席の近くの男の子である。一応小学校から同じだけどまともに話すことは少なかった、そんな男の子だ。
「あー、おけ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
またこれも上手い。声に出して言うと絶対に調子乗るので決して言わないが上手い。
「ってか、この曲知ってたのね」
「まー、俺原作持ってるから」
本心は驚いていたが、
「あっ、そうですか」
素っ気なく返してした。何気に遥斗は学年の中心のグループの人達と仲がいい。もちろん、蓮弥とも仲がいい。このグループは基本的に怖い。謎の圧とノリがある。前に文句を言われた時は死ぬかと思ったくらい怖かった。
「冷たいなーw」
でも、何故だか遥斗は怖くなかった。はじめはちょっと怖かったけど、話すのが楽しかった。
「あー、ごめん」
とりあえず謝ることにした。優しくしてないと友達いなくなるから、そう思って。
「俺はね、このキャラがすき」
「そーなんだー」
「セリフまで覚えてるからね?聞いてて」
セリフを動き付きで再現してくれた。私は知ってて、アニメを見たけれど流石にセリフまで完璧に覚えれるほど見込んでいなかった。
「エー!スゴーイ!」
「だろ?俺の記憶力」
「アッ、ソウダネー」
その記憶力を勉強に回せばいいのになぁ、と思った。遥斗の成績は下の上か中の下くらいだろう、ちょっと頑張れば上げられるところだ。
「絶対思ってねーだろ」
「そーんなことなーいかーもしーれないかなー」
好きなことは覚えられるし、それだけで記憶力がいいと言われても…どうなのだろうか。まあ、本人が満足してればいいんじゃないのかな、とも思う。
この再現はこの時間だけでは収まらなかった。
「おりゃああああ」
巻き込んでいた、巻き込まれた、うるさかった。
「えっ、どうしたのかなぁー?遥斗くぅーん??」
被害をうけた男の子は唐突に小文字厨になった。もう頭の近くに文字が見えた。私は末期なのだろうか。そんなのお構いなしに、
「(どやあああ)」
また何か見えてしまったようだ。でもスルーしておこう、そう思ってスルーした。
「えっ、嘘?スルー?ひどいなぁー」
(いや、どう反応すればいいんだよ)
「えっ?」
「えっ」
「あー、まあ、うん」
これがあと何回繰り返されることやら。先が思いやられていた。私も好きな作品だし、これを機に覚えてみてもいいかな、と思った。だが、他にもみたいアニメがあるし、原作を買えるほどお金がなかった。
何故だろう…遥斗といると楽しくて、蓮弥のことを忘れられる…気がした…。