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聖女②

騎士たちを焼いた火炎魔法の始末をして、俺たちはクロス王国に向かっていた。


 俺がリィンたちに同行しているのはリィンから「我が国にお越しください。ぜひお礼をさせて頂きたいのです」と言われたからだ。

 安全なところまで護衛してやるとでも言ってついていくつもりだったが、向こうから言い出してくれるなら好都合だ。

 ちなみに女騎士(ノインと言うそうだ)は反対していたが、リィンに「リエル様は私たちの命の恩人ですよ。失礼な事を言ってはいけません!」一喝されていた。


 どうもこの姫さんは可愛い顔してなかなか気が強いぜ。

 

 「あの・・・さきほどの技というか魔法でしょうか?いったいどうやったのですか?」


 リィンが遠慮がちにきいてくる。


 「ああ。あのアーマードグリズリーを倒した方法か?あれはいわゆる『死の宣告』だ」


 俺の言葉にリィンの顔には疑問符が浮かんでいる。どうやら『死の宣告』は知っているようだな。だからこそ不思議に思うのだろう。

 ・・・仕方ない説明してやるか。


 「『死の宣告』は知っているだろう?」


 「ええ。私の所にも解呪を頼みにこられる方もいらしゃいますから・・・」


 さすがは聖女様だな。『死の宣告』の解呪もできるのか。


 「でも、『死の宣告』の発動には早くても数か月かかるのではないのですか?」


 リィンが言うように普通の『死の宣告』の場合、発動するまでの期間は術者の魔力量にもよるが『宣告』してから数か月はかかる。長ければ一年以上だ。

 この世界で最大の魔力を持つ大魔王様の力をもってしても宣告してから発動するまで一週間はかかるからな。

 

 もともと『死の宣告』は攻撃用として開発されておらず、発動までに長期間を設けることでそれだけ死の恐怖におびえさせる目的、ようは拷問用に作られたものだ。


 そんなわけで今ではたいていは発動する前に解呪される事が多いのだ。

 だから攻撃としては使われず、もっぱら嫌がらせとして使われる。

 だが俺の『死の宣告』は少し違う。


 「俺の使ったのは『死の宣告』の即時発動だ」


 「『死の宣告』の即時発動?!そんな事ができるんですか?」


 「まあ、かなり格下の相手にしか効かないけどな」


 これは嘘だ。そこそこ格下なら効果がある。まあ、ぶっちゃけタネも仕掛けもあるが。

 ただ、それなりの相手に効くような魔法だと思われると危険人物扱いされるだろう。

 と思ってこう言ったのだが、


 「アーマードグリズリーがかなりの格下なのですか?」


 女騎士ノインが驚いた様に言ってくる。


 あー、そういう風にとるか。そっちは考えてなかったな。さて・・・。


 「この魔法は精神に作用するものだからな。アーマードグリズリーは知能が低いから効きやすいのさ。人間相手だとほとんど効果はないけどな」


 と人間に対しては安全であることをアピールしておこう。これなら問題ないだろう。


 「そうですか。それにしてもリエル様はお若いのに凄いのですね」


 リィンが感心するように言ってくるがいったい俺は何歳に見えているんだ?

 俺は2000歳は越してるんだがなあ。

 まあ、俺は人間の見た目で言えば20歳くらいにみえるはずだから・・・。


 「こう見えても20歳だ。大人だぞ」


 20歳は確か人間で言えば十分大人だからな。これで問題ないだろう。


 「20歳ですか。年上だったんですね。私はてっきり同い年くらいだと思ってました」


 「リィンは何歳なんだ?」


 「私は16歳です。まだ子供ですね」


 うーん、16歳の人間の小娘に同い年だと思われるとは。

 そんなに童顔なのだろうか?

 そういえばジャンヌのやつにも顔が幼いと言われたこともあったな。

 ちょっとショックだな。


 「私は21歳だ。一番年上だから敬うように」


 いや、だから俺は2000歳超えてるんだが。

 変な対抗意識をだしてくるノインにツッコミたかったがやめておいた。

 俺はしばらく人間のふりをするつもりなのだから。

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