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魔法人形

 魔法人形の機能を一通り自慢し終わったダンタリオンがかなり満足そうだが、自分の意思で自慢したつもりだろうが実は俺が少しずつかけていた『自白の強制』による効果も大きいのだ。


 ふふふ。あの満足そうな顔。これで『自白の強制』をもう一段階進めることができるな。


 しかし、こいつは自分が精神魔法を得意としているくせに案外ガードが甘いな。

 まあ、このインケン野郎の性格から考えたら自分よりも弱い奴としか正面きって戦ってこなかったのだろうから対処の仕方がよくわからないのだろう。

 俺に対してもアンドロマリウスに相手をさせようとしていたくらいだからな。


 そしてそのアンドロマリウスがあてにできないとなるとこのおもちゃに頼っている。


 まったく、こんなのが魔将だと思うと同じ魔族として情けなくなるぜ。


 そんな気持ちも知らないためか、俺の表情をダンタリオンは勘違いしたようで、


「今さら後悔しても遅いぞ?余計なおしゃべりはここまでだ。行け、わがしもべよ!あの男を殺すのだ!」

 

 俺の方を指さして勝ち誇った笑いを浮かべてダンタリオンは魔法人形に命令を下す。


 ギギッっときしむような音を立ててダンタリオンの命令に魔法人形は動き始めるが、すぐに動きを止める。

 

 思った通りだな。俺は思わずにやけてしまう。


 「どうした!早くあの男を殺さないか!」


 動きを止めた魔法人形に向き直ってダンタリオンは再び命令するが今度はピクリとも動かない。


 そうだろうなあ。その命令は聞けないよな。


 「わからないのか!あの男だ!早く殺せ!」


 いや、そんな無理な事を言ってやるなよ。パワーを重視するあまりにそのおもちゃにまともな知能を与えなかったのはお前だろ?

 

 「ええーい!動かんか!早く動いてあいつを殺せ!」


 おっと、まずいな。


 俺はすごい勢いで突進してくる魔法人形にありったけの氷魔法を連打で叩きこむ!


 しかしそれは足止めにもならない。全身を包み込んでくる氷塊が避けようともせずに全てを吹き飛ばして何事もなかったかのように突っ込んでくる。


 げげっ、マジかよ?氷系の最強魔法だぞ?

 いくら氷系が効かないと言っても普通なら足止めくらいにはなるはずだがその様子は全くない。


 俺はとっさに『生贄』の魔法で身代わりを作って魔法人形の攻撃を辛くもかわすが、かすっただけの攻撃で俺の左腕は半分取れかかっていた。


 油断したつもりはなかったんだがな・・・。

 俺は左腕を治癒しながらあらためて魔法人形の桁外れな攻撃性能と防御力に目を見張る。


 ただ、バカなんだが。ダンタリオンと同じで。まあ、魔法人形は持ち主に似るって言うからな。


 いまも俺が左腕を治癒しているのをボーっと見ている。


 「どうした!なぜ、奴を殺さないのだ!」


 バカなダンタリオンはまた怒鳴りだしている。『憤怒』の効果で深く考えられないみたいだな。


 この魔法人形はもうご主人様の命令を果たした気になっている事に気づけないようだ。


 なぜ、こんな事になっているか解説すると、ダンタリオンの作ったこの魔法人形はパワーに能力を極端に偏らせたために単純な命令しかきけないので、その都度、適切な命令をしてやる必要があるからだ。


 最初の「あの男を殺すのだ!」という命令の時には、とっさに俺の姿が女に見えるように魔法をかけたらすぐにその目標を失って動かなくなっていた。


 その次の「あいつを殺せ!」では俺に向かって来たものの『生贄』の魔法で簡単に目標をすり替える事ができていた。


 四つある顔にわざわざ目だけ残した事でこの魔法人形は視覚を頼りに攻撃してくるのが丸わかりなので、視覚をごまかすようにしてやればこうやって対処できるわけだ。


 ただ、予想以上の戦闘能力があったために俺も手傷を負ってしまったのだが。


 このおもちゃ欲しいなあ。


 使う奴が使えばマジで魔将クラスでも圧倒できそうだ。


 できたら壊さないでおきたいが、難しいかな。


 そうこうしているうちにダンタリオンはようやく魔法人形に適切な命令を下している。


 「この場いる俺とお前以外の者の息の根を止めろ!」


 やれやれ、仕方ないか。とりあえずあれを試してみるか。

 俺はこの玉座の間に範囲指定して『認識操作』をかけたのだった。

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