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魔族たち

 結局、クロス城に潜入していた魔族たちはその八割がクロス王国に残ることになった。


 最初は「マジか?!いくらなんでも甘すぎるだろ。リィンは感傷にひたりすぎているな・・・」と思ったが、よくよく冷静になって考えてみれば感傷的どころかこの上なく合理的な判断だったことがわかってきた。


 まず魔族たちを全員排除(殺すことも含めて)した場合だ。

 

 この場合は潜入していた魔族たちはみなクロス王国においてある程度の地位にある者たちだったので全員がクロス城からいなくなったら混乱は避けられなかっただろう。


 実際、政治、経済、軍事と魔族たちが潜入していた分野は多岐にわたっていた。

 

 しかも、その分野で信頼されようとするためなのか働きぶりは人間以上で、なくてはならない存在になっていたのだ。


 人間は弱く、もろい生き物だ。


 寿命も魔族に比べてはるかに短いし、魔力も弱い。身体能力もどんなに優れていても上位魔族を超えることはまずない。


 だから、人間は魔族を必要以上に恐れて、排除しようとしてくる。


 それほどの力を持たないために、ひっそりと隠れて暮らしていた下級魔族が発見した人間たちから寄ってたかって攻められて殺されることは珍しくないのだ。


 人間は必要以上に魔族を恐れているのだ。


だから下級魔族は魔王軍の中にいるのが一番安全なのだ。下級とはいえ普通の人間よりもはるかに強いが数の力には勝てないのだ。


 行き場をなくした魔族はその安全が保障されるなら、人間の役に立つことも厭わないだろう。

 人間がそれを受け入れるなら、な。


 リィンはこうなることがわかっていてそうしたわけではないだろうが、結果的にクロス王国にとってよい選択になったようだった。


         

 

                 *


 「ここか・・・」


 俺は全ての決着をつけるためにダンタリオンの居城に来ていた。


 リィンやロバートはクロス城に残している。


 魔族の力を奪うクロス城で戦うならまだしも、あの二人のレベルでは上位魔族とやりあうのは無理だからだ。

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