戦い③
ロバートの聖剣がアンドロマリウスの右の掌に食い込んでいく。
このまま押し切れるか?
だが・・・。
ガキンッ!
鈍い金属音を立てて聖剣が真っ二つに折れてしまう。聖剣の力をもってしてもアンドロマリウスの肉体の強さには耐えられなかったようだ。
「少々驚いたが、ここまでだな」
アンドロマリウスは勝ち誇って勝利宣言をするが、それはまだまだ早いぜ。
「ロバート!!」
俺はすかさずロバートにスペアの聖剣を空間転移で渡す。
「なに?」
アンドロマリウスは再び現れた聖剣に警戒の色を浮かべるが、ロバートは俺との打ち合わせ通りに無理をしないでリィンの元へ退いていく。
俺たちは時間稼ぎをすれば確実に勝てるのだ。無茶な攻めをして死ぬことはない。
ただ、守りすぎてもその意図をアンドロマリウスに探られるので、適度に攻める。
これを繰り返すのみだ。
アンドロマリウスが動く。
足場を壊す。
動けないところを攻撃。
反撃しようとするとすかさず引く。
単純だがこれが効果的な時間稼ぎというものだ。
スペアの武器はいくらでもあるのだ。
何度でもやってやるぞ。その時がくるまでな。
やがてアンドロマリウスがしびれを切らしたのか、
「動かなくともこの場で始末してくれるわ!」
その場から動く事をあきらめたアンドロマリウスは火、風、氷、水、土、雷とあらゆる種類の魔法の上級魔法を連発してくるが全て俺の魔法で迎撃される。
ざんねーん。
そういうことをすれば時間稼ぎをしたい俺からしたら好都合なんだよ。
「アンドロマリウス、あんまり慌てるなよ。まともに戦ったらお前の方が強いかもしれないが魔法に関しては俺の方が上だろ。それくらいはわかっているだろ」
連発された一つ一つが人間の魔法使い(上級)では数十人がかりでも防げないほどの魔法だが、俺にとってはこの程度なら防ぐのはそう難しい事ではない。
「師匠ってマジで魔法の方が得意だったんだな・・・」
ロバートは呆然と感心している。
「いや、これは得意ってレベルじゃないですよ・・・」
リィンはロバートよりは魔法に詳しいのでそのすごさがよりわかっているようだ。
魔将レベルの魔族でしかも戦闘スタイルが魔法主体ならばこれくらいはできて当然なのだがな。
さあ、どうする?
これであきらめるようなやつだったらいいんだが、もう一波乱あるだろうな。
俺は最後の仕掛けをロバートとリィンに目で合図するのだった。