戦い②
俺の高笑いの中アンドロマリウスはガレキからでようともしないで呆然としている。
「トラップではないはずだ。だとしたら、なぜ・・・」
そうだよなあ。お前はトラップ感知の魔法をつかったんだもんな。
感知できていないはずないよなあ。
考えろ。考えろ。どうせ考えてもわからないからな。
「まさか、サリエルの『認識操作』が俺にまで作用しているのか?!そんなバカな・・・」
なるほど、幻覚を見せられてると思ってるのか。
だが、違うぞ。現実に床は崩れて天井も崩壊している。
その証拠リィンはその光景を見てちょと渋い顔をしているが、それは贅沢と言うものだ。
超上位魔族を相手にしているんだ。この程度の被害ですんでいるなら御の字だぞ。
それこそ城と城下町を丸ごと壊されても安いものだ。
超上位魔族とは人間にとってそれだけの化け物なのだ。
少し話がそれたな。
アンドロマリウス自身が言っていたように俺の『認識操作』はアンドロマリウスには通用しない。
効果がないものに『認識操作』をかけてもしょうがない。俺が『認識操作』をかけているのは『床』と『天井』だ。
アンドロマリウスが踏み出した部分の『床』と『天井』に数百万年の時が経ったように『認識操作』をかけているだけだ。
どんな頑丈な作りでも数百万年も経てば自然にボロボロになるのは当たり前だろう。
このように『認識操作』は生物以外にもかける事ができるのだ。
もっとも俺自身もこの事に気づいたのは聖なる力の仕掛けに『認識操作』をかけれるとジャンヌが言ったからだ。
つまり範囲指定すれば生物以外にも『認識操作』はかけられるという特性を使って俺はアンドロマリウスの動きに合わせて床が壊れるようにしているのだ。
俺のしていることのタネがわからないアンドロマリウスは慎重になってしまいその場から動こうとしない。
ここからは一手も間違えられないな。
「ロバート、攻めるぞ!」
「はい!、師匠!」
ロバートはいい返事と共にさっそく剣を抜いてオーラブレードを発動させる。
ちなみにオーラブレードを発動させているロバートが使っているのは以前のような稽古用の剣ではない。
俺が昔、人間から分捕った聖剣の一つで人間たちにとっては伝説級の代物だ。
神々しいまでの青白い光を纏っているこの剣を使用すればオーラブレードの威力も段違いになっているはずだ。
俺も自らの魔剣を抜く。
こちらも由緒正しい呪いの剣で人間には扱えないが魔族が使えばかなりの威力が期待できるのだ。
禍々しい黒い闇が刀身を包み込んでいるが、俺もオーラブレードを発動させる。
聖と魔。二つの力の最上級の武器で俺とロバートは同時にアンドロマリウスに斬りつける!
「ぐうううう」
アンドロマリウスは苦痛の声を上げながらもその二つの剣を素手で受け止めている。
今度はぐうの音が出たな。いや、そんな事をに感心している場合ではない。
この二つの剣を素手で受け止めるとはやはりこいつは化け物だ。
ただ右手の聖剣の方がダメージは大きいようだな。
聖と魔と二つの力を受け止めているのだ。それに対応する魔力を両手で分けているがこれが難しいのだ。
自然とより脅威の大きい方、魔の力を受け止める方に力を集中するあまりに聖の力をつけ止める方がおろそかになっているようだった。




