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ジャンヌの推理

 「どうやら思い当ることがあるみたいね」


 「ああ。一つだけある。だが、まさかあれがそう作用するとは・・・」


 俺が口ごもっているとジャンヌに「もったいぶってないで話なさいよ」と促されるが、正直バカにされないか心配だ。

 他に考えられないが、それでもそんな事が起こりうるのかと思うようなことだからだ。


 「俺はクロス城を含む城下町に『俺の事を魔族とは思えない』という『認識操作』を範囲指定でかけたんだ。

 そのせいでクロス城にある聖なる力もその『認識操作』の影響を受けて俺を魔族と認識できなかった。だから俺は聖なる力による弱体化を受けなかった、と思ったんだがさすがに荒唐無稽だな。いや、忘れてくれ。バカバカしい」


 俺は説明しながら否定する。

 いくらなんでも聖なる力に俺の『認識操作』が効くわけがないだろう。

 生き物ですらないのに認識も何もないはずだ。


 「なるほどね」

 

 あれ?ジャンヌはうんうんと頷いている。


 「なぞはだいたい解けたわ!たぶんそんな感じよ!」


 解けたっていうわりにはずいぶんフワフワした言い方をするんだな。

 そういうのは解けたって言うのか?


 俺の疑問をよそにジャンヌは自らの説を披露していく。


 「あの城の聖なる力はかなりのものだわ。何しろこのあたしにも有効なくらいだもの。だけどそれだけに聖なる力の発動をする事にかなりの力が割かれているはずよ。逆に言えばその他の事にはあまり力を使われていないのよ。例えば魔族と人間を判別することは単純な仕組みになっていると思うの。それこそあんたの『認識操作』に騙されるくらいにね」


 「判別する仕組みに俺の『認識操作』が効いたっていうのか?」


 まだ半信半疑の俺にジャンヌは続けて説明していく。


 「そう。普通ならそういう魔法的な『仕組み』に魔法をかけることなんてできないわ。人間や魔族、動物など生命あるものは当然魔法の対象に出来るし、土や石、木などの物質も条件が整えば魔法をかける事できるけど、目に見えなくてどこにあるかもわからない『仕組み』に魔法をかけるなんて普通できないわ。だから『仕組み』そのものの魔法耐性は低くても問題ないのよ。魔法をかける事ができないものの魔法耐性を高くする意味なんてないものね。

 だけど、あんたの範囲指定で聖なる力の場所そのものをまるっと包んでしまったことで魔法にかかってしまったのよ。あんたを魔族とは思えないような『認識操作』にね。普通は聖なる力のある場所を丸ごと包むようなアホな範囲指定はできないから想定外だったでしょうね」


 うーん、こじつけなような気もするが一応筋は通っているな。


 「ダンタリオン様も想定外だったでしょうね。自分の部下の下級魔族を潜り込ませて利用しようとしていた聖なる力の場にサリエル様が『認識操作』で悠々と入り込むとは思っていなかったでしょうね」


 リリスの言葉に俺も付け足す。 


 「しかも上位魔族を殺すための実験をしようとしていることまで俺に知られてるしな。あれは確実に魔王軍に対する裏切り行為だぞ」


 「なにそれ?ダンタリオンのやつそんな事をしようとしているの?」


 そうか、ジャンヌはまだ知らなかったのだな。


 「だとしたらまずいわね。あの城なら超上位魔族を聖なる力の影響の少ない下級魔族が倒すことが可能だわ。それこそお父様だってやられるでしょうね。むしろお父様こそ聖なる力の影響を受けすぎてそれだけでも死ぬかもしれないわ」


 「大魔王様が?!」


 「これはものの例えだけどそれぐらいの事はできるって事よ」


 あっさりと言うジャンヌの言葉に改めて俺は自分のまきこまれた事を大きさを感じるのだった。

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