表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/56

犯人

 「まず、一つ目の疑問について答えるわ。超上位魔族ならあの城でダメージを受けないか?これはどんな強力な魔族でもダメージを受けるのが答えよ!

 なにしろこのあたしでさえあの城に入ったらダメージを受けたんだからあんたに全く影響ないわけないでしょ」


 「ジャンヌでも影響があるのか、そりゃたいした聖なる力だ・・・。っていうかお前、クロス城に来たのか?」


 「ええ。三日前かしら。ちょっとあんたの間抜け面でも見ようと思って行ったんだけどひどい目にあったわ」


 三日前・・・?

 まさか、あの時クロス城にいる全員が力が抜けていくような感覚を味わったのは・・・。


 「もしかして、ジャンヌは例の扇を使ったのか?」


 「そうよ。だってこのあたしがダメージを受けたんだもの!無限奪魂扇を使って回復するに決まってるでしょ!」

 

 周りの生命力を吸ってジャンヌに還元するあの扇、無限奪魂扇っていうのか。

 うーん、物騒な名前だぜ。


 っていうかあの時俺たちが力が抜けていくような感覚を味わったのはジャンヌのせいだったのか。


  とりあえず一つの謎は解けたな。


 「クロス城集団脱力事件の犯人はジャンヌ!お前だ!」


 「そうよ。だから何?」


 うん、平然と答えやがるな。まあ、俺もこのセリフを言ってみたかっただけだから特に意味はないのだが。


 よし、話を続けよう。


 「ところでダメージを受けたって言ってたが大丈夫なのか?」


 「あれ?心配してくれるんだ?」


 ジャンヌはやけに嬉しそうだ。


 「そりゃあ、まあな」


 「大変だったんだから。ここを見て見なさいよ」


 ジャンヌがぐいっと顔を近づけてくるが、正直何にもなってないように見えるんだが。いつもの怖いくらいに綺麗な顔だ。

 俺は助けを求めるようにリリスの方を見るがリリスもよくわからないのか首を振っている。


 「わからないの?ダメねえ。ほら、ここ!ニキビができかけてるでしょ!」


 ずこー!


 ニキビかよ!しかもできかけって、できてもないのかよ!

 思わず俺とリリスがずっこけるのを見てジャンヌは心外だと言うように


 「あのねえ。あたしに傷をつけるって相当なものよ?ここ数百年は記憶にないんだから。たとえニキビでも大事件だわ」

 

 真面目な顔で主張している。


 「確かにお前らしくないな。ダメージを受けるなんて。あそこに聖なる力が働いているってわからなかったのか?」


 「それが、なかなか面倒な場所でね。あの城に侵入した初めのうちはなんともなかったんだけど、しばらくして急速に力が抜けてきたのよ。それであわてて無限奪魂扇であおぎながら帰ってきたってわけ」


 なるほど。すぐには反応しないである程度内部に入って時間がたってから反応するようだな。

 そうすることで城の奥まで誘導して魔族が簡単に逃げれないようにするってことかよ。なかなか手が込んだい聖なる力だな。


 「だからあんたがいくら鈍いって言ってもさすがに何十日も滞在してたら普通なら聖なる力が効いているはずなのよね」


 「鈍いって失礼なやつだな。俺のどこが鈍いって言うんだ!」


 「鈍いわよ?特に女関係」


 「なに?そんなことないよな!リリス!」


 あれ?リリス?なぜ視線を逸らす?


 「ほらごらん。そう言うことよ」


 勝ち誇ったように言うジャンヌに俺は言い返せない。


 「まあ、あんたが鈍いのはさすがに関係ないけどね。あたしの思うところ、あんたにあの城の聖なる力が効かないのはたぶんあんたの能力のせいね」


 「俺はそんな力をつかった覚えはないんだけどな」


 いくら俺でも聖なる力をどうこうできるわけがないと思うんだが。


 「ホントに覚えがない?あんたのアホみたいに範囲の広い能力って意外とミラクルを起こしやすいのよ?」


 「そんな事言われても・・・。あああああ、まさか・・・」


 俺はあることに思い当たるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ