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大僧正③

 俺はリリスからもらったクロス城に入り込んだ魔族の名前のリストをもって大僧正キョウドウに会いに来ていた。


 「このリストを見て欲しい」

 

 「これは・・・!」


 俺の出したリストを神妙な顔でキョウドウは見ている。

 やはり、このリストの名前に見覚えがあるようだな。


 「これは・・・!」

 

 「これは?」


 「・・・眼鏡がないと読めんな」


 じじい!

 早く言えよ!


 「我は汝に宣・・・」


 俺は思わず『死の宣告』を使いそうになるが深呼吸をして何とか抑える。

 どうも、このじじいを相手していたら『死の宣告』をすぐ使いそうになるぜ。

 

 仕方がないので俺がリストの名前を読み上げていくとキョウドウはその細い目をクワッと見開く。

 

 「思ったよりも早かったのう。この短期間でよくここまで調べたものじゃ。さすがはあのオッパイ姫が認めただけはあるのう」


 キョウドウは心底感心したように言うが最後の言葉であまり褒められたような気がしないな。


 「これがなんのリストかわかるんだな?」


 「この城に入り込んでいる魔族の名前じゃな」


 どや顔で言うキョウドウに少しムカつくが今はこいつの助けが必要だからな。我慢してやるか。


 このじじいが誰彼構わず「邪悪な魔気を感じる」と言っていたのはモウロクしていたわけではなく本当に邪悪な魔気を感じていたのだ。


 ただ、その数が多すぎたので誰も信じないでボケ老人扱いされていたのだろう。

 まさか、このスケベじじいが本当に邪悪な魔気を感じる能力をもっていたとはね。事実はわからんもんだな。


 「そうだ。このリストはこの城の人間に化けた魔族のリストだ」

 

 「じゃが、何人か抜けておるようじゃな」


 「ああ。だからじいさんの力を借りに来たのさ。このリストに載っていない魔族の事を教えて欲しいのだ」


 「それはいいが、わしも全てを把握しているわけでないぞ。実際には目で見ないと魔気の判別はできないからな。わしが最近会っていない者はわからんな」


 なるほど。さすがに実際に相手を見なければ魔族かどうかはわからないようだな。


 「じゃあ、この城の全員に会って確認をしてくれるか?」


 「バカな事をいうな。わしはもう100歳をこえているじじいじゃぞ。そんなしんどいことをしたら死んでしまうわい」


 魔族を判別し終わったら死んでも俺はこまらないんだがな。

 俺の心の声が顔に出ていたのか「絶対にやらんからな!」とキョウドウはしわがれた声で怒っている。

 

 「それじゃあ聞くが、他に魔族を見分けられる奴はいないのか?例えばリィンは聖女だからわからないのか?」


 「それは無理じゃな。これはわしの長年の経験によるものじゃからな。オッパイ姫では力はあっても経験がなさすぎるわい」


 そうか。リィンでも無理か。

 まあ、リィンがそれをできたら初めからこんな苦労はしていないんだがな。


 「じゃあ、魔族が判別できるのは爺さんだけって事だな」


 「じゃから言ったろう。わしにお前が出会ったのは幸運だったとな」


 しわだらけの顔をゆがめて俺が初めてキョウドウに会っときのセリフを言いながら笑うのだった。


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