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聖女と淫魔

 ん?なんだか部屋の外が騒がしくなったな。


 「おやめ下さい!勝手に入られては困ります!」


 「どきなさい!私はここに用があるのです!聖なる封印!」


 『わあああ』

 

 ドアがバタン!と音を立てて開け放たれてそこにリィンが顔を出す。 


 「あら、リエル様がいらしたのですね。それと見慣れないですが、とても美しい方がいますね」


 わざとらしく『とても美しい』を強調して言っているリィンの後ろには封印をかけられたロバートとその部下が微動だにせずに突っ立っている。


 聖なる封印と言えば殺傷能力こそないが、中級魔族くらいなら簡単に動きを止められるくらい強力な封印術で間違っても人間相手に使うようなものじゃないんだがな。

 そんなものを使ってくるなんて聖女様はかなり錯乱しているようだ。


 「みだらな魔気を感じたので来たのですが、何をしていたのですか?もちろんリエル様に限ってそのような事はないとは思うのですが私はこの城の王女としてこの城の風紀を守る必要があるのです!」


 彫像のように固まったロバートとその部下をバックにして微笑みながらきいてくるのが、ちょっと怖い。


 ちなみにリリスは淫魔だから確かに淫らな魔気を感じてもおかしくない。

 だが、誤解だぞ。

 こいつはついこの間(数百年前)までおねしょをしていたのだ。みだらには程遠い魔族だ。


 「こいつはリリスだ。俺の知り合いで今回この国に入り込んだ魔族の事を調べてもらっていたんだ」


 「リリスです。リエル様には以前お世話になったので少しでもお力にならたらと思い助力させて頂きました」


 リリスが丁寧に頭を下げる。

 すまんな、リリス。王女とはいえ人間なんぞに頭を下げさせる事になるとはな。


 「私はリィン。このクロス王国の王女です。リエル様とは大変親しくさせて頂いています」


 大変親しい?そうだったかなあ。

 それ以前にこいつこんなキャラだったか?

 もしかしてこいつも魔族が入れ替わっているのか?

 リリスの話ではかなりの魔族が入り込んでいるのだ。

 こいつも魔族になっていてもおかしくない。


 俺がそんな風にリィンを疑っていると、


 「そうですか。それでは私は失礼します」


 リリスはそそくさと出ていこうとする。


 「おい、そんな急がなくても・・・」


 俺がリリスを止めようとすると、


 (聖女がこんなに近くにいるとしんどいのです。リエル様は本当に何も感じないのですか)


 とリリスが念話を飛ばしてくる。


 (うむ、何も感じないぞ。っていうかやっぱり聖女なのか?)


 (バリバリ聖女ですよ!さっきも聖なる封印使ってたでしょ!)


 (そうか。だいぶおかしな行動をしていたから、てっきり魔族と入れ替わっていたのかと思ったが)


 (そのおかしな行動の理由がわかるようになればサリエル様も女心が多少は理解できるのでしょうね)

 

 リリスは大げさにため息をつきながら去っていくのだった。 

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