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リィンの本音

 キョウドウの元から戻った俺の報告を聞いているリィンはなぜか浮かない表情だった。


 「そうですか。大僧正様は魔族ではなかったのですね」


 「ああ。あれだけ神聖な物に囲まれて、神聖な物を身に着けていたら並みの魔族ならさすがに耐えられないだろう。あの平然とした様子を見る限りあいつは魔族ではないな」


 あのじじいのいた部屋はこれでもか!というくらいに神聖な道具が集められていたのだ。

 しかも、身に着けている物も神聖系のマジックアイテムばかりで魔族が身につけるには少々キツイだろう。


 「最近、大僧正様はお変わりになられました。他の者からも神聖な物を取り上げてご自分の元に置くようになったのです」


 わざわざ自分で集めたのか。ますます魔族の可能性は低いな。

 あそこは俺でもちょっとだけ居心地が悪かったのだ。

 中級魔族クラスだったらあんなところに一時間でもいたらかなり気分が悪くなることだろうし、あの場所に近づくのも嫌だろう。


 「しかし、危ないところだったのですよ。私が止めなかったらリエル殿はキョウドウ様に『死の宣告』を使うところだったのです」


 ノインがリィンに告げ口をすると、  

 

 「そうですか。ノインが止めたのですね」


 かなり残念そうに言うリィン。

 

 もしかしてなんかの間違いで俺があのじじいを殺すのを期待していたんじゃないのか?

 この聖女様は。


 俺の視線に気づいたのかリィンは慌てて手を振る。


 「よかったです。取り返しのつかないことにならなくて」

 

 白々しく付け加えてくる。


 怪しいな。俺はちょっとだけ認識操作を使って質問する。


 「本当にそうか?」


 「すみません。私の心の奥底には大僧正様がリエル様によって天寿を全うされる結果になってもよかったという気持ちが確かにありました」


 おいおい、俺をヒットマンにする気だったのか?

 俺の認識操作によってリィンは『真実を語らなければならない』ようになっているのでこれはリィンにとって真実の言葉だろう。


 「ですが、それはあくまで魔族であった場合です」


 ほう。本当にそうか?と俺が思っていると、


 「と思っていたのですがあのクソスケベ変態セクハラお触りじじいが殺されなかったと思ったらとても残念な気持ちになりました。やはり死んでほしかったのです。できれば思いっきり苦しみながら」


 うん、急に本音になりすぎて怖い。

 

 だから使いたくなかったんだよ。『真実』の認識操作は。

 

 その後も続くセクハラじじいへのリィンの憎しみあふれた言葉に『人間って怖いな』と改めて思うのだった。

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