表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/56

騎士団長ロバート②

  俺とロバートが稽古を始めるとノインの姿が見えなくなっていた。

 ははあ。リィンのやつを呼びに行ったな。

 まあ、いいか。

 さほど時間はかからないだろうからな。


             

                *

 

 ノインに連れられてリィンが稽古場に駆け込んでくる。


 「ロバート!おやめなさい!」


 稽古場にリィンの叱責が響き渡るが、


 「って、あれ・・・?」


 続けざまにリィンは間抜けな声を出す。

 どうやら目の前の光景が信じられないようだな。


 「うおおおおっ!師匠、もう一本お願いします!」


 ロバートの気合の入った掛け声に俺ももったいぶった顔をしてしてこたえてやる。

 

 「うむ、ロバートよ。その意気だ。かかってこい!」

 

 俺はロバートに稽古をつけていた。

 そう、文字通り稽古だ。


 ロバートがオーラブレ―ドで斬りつけてくるのを俺は半身でかわすと同時に足払いをしかけてロバートをすっ転がす。


 「ロバートよ。足元がお留守だぞ」


 「はい!師匠!もう一本お願いします!」


 うーん、なかなか頑張るやつだな。

 昔いた出来の悪い部下を思い出すぜ。

 弱いがなぜか憎めないやつだったな。

 バカで弱いがひたむき。嫌いではないぞ。


 「師匠!今の打ち込みはどうですか?」


 「全然ダメだ!このバカ弟子があああ!」


 「すみません!師匠!」


 うーん、ちょっと楽しくなってきたぞ。


 なぜ俺たちがこんな状況になっているかと言えば答えは単純だ。

 自信満々に打ちかかってきたロバートを俺がいとも簡単にメタメタに打ちのめしたからだ。


 最初は「なにかの間違いだ」とロバートはわめいていたが、俺に何度も叩きのめされるうちに心境の変化があったらしい。


 「これほどの腕前の剣士がこの世界にいたとは・・・。私を弟子にして頂きたい!」ときたものだ。

 

 一応言っておくが俺はこの件に関しては『認識操作』は一切使っていない。


 ・・・ホントだぞ?

 

 こいつが勝手に「弟子にしてくれ」と言ってきたのだ。


 いやー、正直に言うと一応俺も『俺に叩きのめされているうちに相手の強さに惹かれて屈服する』っていう認識操作を仕掛けようと思っていたのだが、こいつは勝手にこうなったのだ。

 

 愉快なやつだ。まあバカなだけなんだろうが。

 

 めげずに打ちかかってくるロバートを簡単にあしらいながら俺はある事を考えていた。

 

 オーラブレードを使えるとはいえこの程度の腕前でS級を名乗れるってどういうことだ?

 

 俺の元いた地域ではこの程度ならせいぜいB級だぞ?下手すりゃC級だ。この程度がS級になれるほどレベルが低い地域って事ならあのインケン野郎は相当楽してやがるって事になるぜ。


 以前、魔軍統括司令は俺の担当していた地域の侵攻スピードが他の魔族より遅いとバカにしていたが、そりゃそうだろう。


 S級の人間の強さが違い過ぎるのだ。


 ロバートくらいの強さの人間がS級を名乗れるほどレベルが低くければ、そりゃあダンタリオン程度でも苦労しないで制圧できるはずだぜ。


 そういう条件の違いも理解せずに俺がいかにも無能みたいに扱いやがって。


 俺は改めて魔軍統括司令とダンタリオンに対する怒りがふつふつとわいてくるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ