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騎士団長ロバート①

 俺がノインに案内されてクロス城内の稽古場に着くとロバートが待ち構えたように立っている。


 「よく逃げずにここに来たな!それだけは褒めてやろう!」


 なんかいきなり褒められたんだが。

 俺は何もしてないのに褒めるとはこいつ大丈夫かな?


 「しかし、逃げずにここに来たということはノインから私の事を聞いていないようだな!それではフェアではないから教えてやろう!私はもともとクロスの上級貴族だったが、そのぬるま湯の生活に飽き足らず冒険者として武者修行に出ていたのだ。

 そしてその際に素性を隠して功績をつんだ結果、S級冒者として認定されたのだ!言っておくがこれはそこらの貴族が道楽で功績を買ったものでないぞ。

 この私の実力でS級冒険者になったのだ!」


 「えーと、その事ならきいていたのだが・・・」


 上級貴族とかは聞いていないがS級だったというのはきいている。

 しかし、こいつは何が言いたいんだ?

 

 「えーい、まだわからんのか!私は剣術のみでS級になったのだぞ。魔法抜きでだ。つまり私は純粋に剣術のみのS級なのだ!」


 「それもきいていたが・・・」


 さっきから本当に何が言いたいんだ?


 「もういい!そこまでわかっていて私に戦いを挑むならば仕方あるまい。若者をいたぶるのは趣味ではないが少し痛い目に合ってもらおう。それも人生勉強だ」


 いや、戦いを挑んだのはお前だろ。と突っ込みたいがやめておく。話が長くなりそうだ。


 「ああ。わかった」


 俺が淡々と返事をするとロバートは「せっかく私が親切にこうまで言っているのに・・・」と口の中でブツブツ言っている。俺は耳が人間よりもはるかにいいからしっかり聞こえている。


 なるほど。つまり自分は強いから俺に降参しろと言いたいらしい。

 さっきは頭に血がのぼって俺に勝負を挑んだものの大人げないとでも思ったのだろう。

 

 案外いい奴だな。ピントはずれまくっているが。

 それにしてもどうしても俺をみんな年下扱いしてくるのはなんでだ?

 こいつどう見ても20代だろ?俺の方がかなり年上のはずなんだがな。


 「ところで剣はどうしたらいい?俺の剣はさっき言ったように捨ててきたのでないんだが」


 「それならばそこの剣で好きな物を選ぶといい。全て刃引きにしてあるから私もそこから選んでつかうつもりだ」


 刃引きの剣か。稽古用に使うために斬れないようにしてあるんだな。

 俺はロバートが指し示した剣掛けから一本のロングソードを選ぶ。

 確かに斬れないように刃がつぶしてある。


 「それでいいのか?では私はこれだ」


 そう言ってロバートも無造作に片刃の剣を選んでいる。 

 ここでこいつだけ真剣を使うとかいう展開もあるかなと思ったが、普通に刃引きの物を選んでいる。

 なんかこいつバカだけど普通に真面目な奴じゃないのか?

 俺がそんな事を考えているとロバートは早速剣を構えてくる。


 「それでは手合わせしていただこう!いざ勝負」


 「はいよ」


 俺もとりあえず剣を構える。ものすごく適当に。

 

 「どこまでも人をなめるくさるやつだ!大人を怒らせたらどうなるか教えてやる!」


 ロバートが気合を入れると剣に青白いオーラが纏われていく。


 おおっ。オーラブレードを使えるのか。だてにS級じゃないな。

 

 オーラブレードは自らの魔力を剣に纏わせて威力を増大させる技で、魔法の使えない剣士が好んで使う。

 もっとも、好んで使うと言っても魔力を剣に纏わせるのはなかなか難しいし、人間ではかなり高等な技になるだろう。

 ちなみにオーラブレードを使えばなまくら刀でも鋼鉄の鎧をバターのように切り裂くこともきるのだ・・・。


 ん?んん?オーラブレードを使うなら刃引きの剣の意味がなくねえ?

 刃引きの剣でもオーラブレードを使えば十分殺傷能力を得ることができる。人間相手なら。

 こいつ、もしかして初めからそのつもりで・・・。


 「どうした!この青白い剣が怖いのか!そうだろう!なぜか俺の剣は青白く光るのだ!その威力もすごいのだぞ!怖かったらさっさと降参しろ!」


 こいつ・・・オーラブレードって知らずに使ってるのか?

 とんでもない天然のバカだな。

 バカは確かに怖いな。まあ、別の意味だが。


 しかし、オーラブレードなんかで攻撃されたら俺でも当たったらちょっと痛いぞ?

 思いっきり斬りつけられたら擦り傷やあざくらいはできるかもしれないじゃないか。


 ・・・さすがに攻撃を食らうのはまずいかな?オーラブレードを食らってあざしかできなかったら人間離れしすぎているしな。

 まあ、最悪の場合は俺の能力でごまかせるからなんとかなるかな。

 

 俺はロバートと遊んでやるつもりになる。

 

 「降参はしない。かかってこい」


 「ふふふ。後悔するなよ?」


 こうして俺とロバートの()()は始まったのだった。

 

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