アナザーストーリー 鈴木由香
「ねぇ、由香」
仕事中、さとみは由香に話しかけた。
「ん?」
由香は作業を一旦止める。
「智美の事聞いた?」
「産休取らずに辞めるって話?」
「そう、なんかさ…。言ってもいい?」
「大体わかるけどどうぞ」
「私達、取り残されてない?」
さとみは疑問を呈す。
「先輩達いなくなってから四年近くずっと同じ事の繰り返しだもんね」
「…仕事もだけどさ」
由香は察するように
「彼氏?」
「そう」
「狙われてるな?って人いないの?」
「皆無」
さとみは思いっきり首を振った。
「難しい言葉使ったね」
「それだけ無いってこと」
「どういう人がいいの?」
「藤堂さんみたいな人」
「それは無理だよ」
「やっぱり?」
「あの人は何か違うよ」
「違うって?」
「私が失礼な事を言っても怒らないんだよ?ってか藤堂さんって怒るのかな」
「…見たことないね」
「でしょ?」
「はぁ……。どこかに私の王子様はいないの?」
「王子様って言ってる時点でいないと思うよ?」
「え?」
「私らアラサー迎えてますよ?」
「…言わないで」
「今日も昨日と同じ日を過ごすだけです!」
「嫌だよぉ」
「知ってる?さとみ」
「ん?」
「時間って容赦無いんだよ?」
「重々承知しております」
「今日も残業せずに帰るよ!!」
「オッケー!」
二人は定時に帰り、ネットで調べたスイーツや流行りものを食べることが趣味になっていた。
その日も定時に上がり、駅近くの本格的なハンバーガーが食べられる店に行って食事を済ませた。
翌日
社内はざわついていた。
「何かあったんですか?」
由香は同僚に聞いてみた。
「内示見てない?」
「…見てないです」
「今すぐ見てきなよ」
言われた由香は掲示板の前に向かった。
そこには数年前に亜沙美から聞いたことがある営業部合併の知らせと人員削減についての事が書いてあった。
「…何これ、今さら来るの?」
「由香、どうしたの?」
さとみが出勤してきた。
「これ…」
「…現実になっちゃったね」
「でもさぁ、これって」
「…うん、竹下藤堂コンビが残した可能性を無視した結果でしょ?」
結局、直人と亜沙美が残した将来性の高い企画等は全て行われることはなかった。
千聖が一生懸命周りや新しいチーフを説得するも却下され、新任である立場の弱さを実感し会社に絶望した千聖はとっくに会社を辞めていた。
「だよね、やっぱり」
「それしかないでしょ。今は現場経験無い人しかいないんだし」
「そこに気付けない部長もダメだよね」
「転換期かもね」
「なにが?」
「私らの」
「……そうかもね」
その翌日、由香は人事部に呼ばれていた。
呼ばれた内容は人員削減による退職勧告だった。
「私は今は辞める気はありませんよ?」
「それはこちらが決めることなので」
「全部録音してますからね?」
由香はボイスレコーダーをあえてテーブルに置いた。
「それはやめてください」
「何でですか?」
「……こちらも今回の決定に納得はしていないんです」
人事部の安田はこんなことはやりたくないという感情を表に出した。
「それでも従わなくてはならない、と」
「サラリーマンの弱いところですね」
「次の就職先の斡旋は?」
「申し訳ないですがありません」
「じゃあそれを作ってからまた話をしに来てください。今のままではお話になりません」
「……はい」
由香は自分のデスクに戻った。
「…大丈夫?」
さとみは由香が戻ると心配していた様子で話しかけた。
「大丈夫だよ。こっちからもふっかけたから」
「何て言ったの?」
「転職先斡旋しろって」
「…由香、藤堂さんは?」
「ダメでしょ。元々個人経営の所を引き継いだんだし。そんな余裕無いと思うよ?」
「そっか、そうだよね…」
「大丈夫だよ、戦い抜くつもりだから」
「…私にも話が来るかな?」
「……もしかしたらね」
「私も戦うよ」
「…でも戦う事が絶対に正しい事でもないかもね」
「どういうこと?」
「だってさ、そもそも竹下さんと藤堂さんの案をやってたら結果が違ってたかもしれないじゃない。それを残った食べかすどものつまらないプライドでやらなくてこうなってるんでしょ?この会社に未来は望めないかもね」
「…確かにね。あと過去最大に言葉が悪いね」
「関係無いよ。戦うんだから」
「うん、そうだね」
一ヶ月後
由香は一切の進展が無い話に辟易していた。
「辞めさせたいなら転職先を用意してこいよ。言葉が通じないか?」
「すみません、それはこちらの仕事ではないので」
「じゃあお前らの仕事って何なの?社員を不幸にする事?」
「…言葉がありません」
「はぁ…。はい、今日の話はこれで終わり。私は仕事に戻るから」
「あっ、ちょ、ちょっと!」
「話を進めたいなら転職先用意してからして来いよ。もしくは退職金上乗せしろ」
そう言い放った後に由香は面談室を出てデスクに戻った。
「ああは言ったけど、なんか疲れたな。こんな会社にしがみつく絶対的な理由も無いしなぁ」
由香は由香で新しい世界に飛び込む事も考え初めていた。
その時新卒で面接を受けたときの事を思い出した。
「鈴木さんはこの会社に入ったらどんな業務を希望しますか?」
「はい、私はお店でお客様とふれあいながら仕事をしたいと考えております。御社のお店には何度も行ったことがあるのですが店員さんとの会話や商品説明などとても好印象でいつも楽しく買い物をさせていただいております。わたくしも自分が感じたようにお客様に快くお買い物をしていただける店員として店舗で働きたいと考えております」
由香は思い出した、なぜこの会社の面接を受けたのか。
「そっか、そういえばそうだ…」
自分が希望していたのは店舗運営の仕事、パソコンや電卓を目の前に毎日過ごす仕事ではない。
「…うん、決まりだね。でも、今さら転職出来るかなぁ」
その時さとみが会計室から戻ってきた。
「どうしたの?」
「ん?いや、そういえば私がここに面接に来たとき、希望は店舗だったよなぁって思い出してさ」
「そういえば言ってたね。なのに簿記持ってるって理由だけでここに配属にされちゃったんだよね」
「そう、だからそれを思い出したから、ここにこだわる必要は無いのかなぁって」
「……うん」
「さとみ」
「ん?」
「あの頃の気持ち取り戻したいんだけどさ」
「新卒の頃の?」
「もっと前、大学にいた頃」
「うん、それで?」
「今日あのレストラン行かない?」
「ハンバーグの?」
「…ごめん、さとみはあのお店に行くのはつらい?」
「ううん、大丈夫だよ。つらく思ってたら藤堂さん達を祝福したりしてないよ」
「じゃあ一緒に行ってもらっていい?」
「もちろん」
「じゃあ今日も定時上がり頑張ろう!」
「おー!」
レストラン
二人は大学時代に皆とよく来ていた店に来ていた。さとみにとっても色々な想いがある店でもある。
「ここは変わらないね」
由香はさとみに優しく話し始める。
「うん、メニューも変わらないしなんかホッとするね」
店の前に出ている看板を見て二人はすぐに懐かしい気持ちになった。
「入ろう」
店に入った二人はすぐに一人の男性の姿を見つけた。
「え?まさか?」
「なんで?」
直人が一人でいつものハンバーグを食べ始めようとしているところだった。
二人はすぐにそのテーブルへ向かう。
直人も二人に気付き驚いた顔をしたあとに少し気まずい表情を浮かべた。
「藤堂さん、何してるんですか?」
由香は直人に許可を貰うわけでもなく、テーブルの席に座った。
「何で一人なんですか?」
さとみもそれに続く。
「いや、あの、そのぉ…。ここのハンバーグが食べたくなってね」
「ケンカしてますね?」
由香は鋭い目付きで問い詰める。
「…してないよ?」
「さっきから態度でわかりますけど……」
「いや、本当にしてないよ。怒られてるだけだから」
直人は亜沙美が買っておいたアイスを勝手に食べて怒られていた。しかしそれは由香とさとみには何となく言えなかった。
「…一方的に怒られただけなんですね」
「そう、で亜沙美は仕事終わったら一人でご飯食べに行っちゃったから、俺もここで食べることにしたんだよ」
「わざわざ?」
「逆に食事を楽しもうって思ってね」
さとみは心配するように
「え?あの…上手くいってます?」
「いってるよ、大丈夫。二ヶ月に一回ぐらいこういうことがあるだけ」
「…心配なんですけど」
「お、俺の事より二人はなんで?」
「私達は…」
由香とさとみは今までのいきさつを説明した。その間にちゃっかりとメニューも注文していた。
「なるほどね、新しいチーフはプライドの塊だったか…」
「多分そうだと思います。馬渕さんも辞めちゃいましたよ」
「…うん、多分俺が馬渕さんと同じ立場でも辞めるかな。やりがいが無いじゃん、そんなの」
「ですよね、やっぱり」
「馬渕さんには悪いことしたかな。もうちょっとどっちかが残ってたら…」
「そうかもしれないですけど、たらればを話したらキリが無いですよ?」
「…まぁそれはそうだけど。で、由香はどうするんだ?」
「それを決めるためにここに来たんですよ」
「…ん?」
「大学の頃によく来てたここで何か決心つくかなって」
「そっか、それで決心はついた?」
「…つかないですね。今も結局藤堂さんに愚痴ってるだけな気もしますし」
直人は真剣な表情に変わり
「決められないならうちに来ればいいよ。それからまたどこかに行くのもよし。うちにいるのもよし」
「…いいんですか?」
「うちもそろそろ二人だけじゃキツくなってきてね。亜沙美のご両親にも手伝いに入ってもらってるぐらい忙しくて、色々追い付かなくなってきてるんだ。むしろこっちは歓迎するよ。うちは会社にしたから社会保険とかもあるし」
「いえ、竹下さんの許可を得なくてもいいんですか?」
「あっ、そっち?……大丈夫でしょう」
「………」
「信じてないな?」
「今、怒られてるんですよね?」
「…そう」
「会社にしたんですよね?社長の竹下さんに聞く前に決めていいんですか?」
「うん、やっぱそう言うと思った。社長は俺ね。あとスルーしてたけど今は藤堂亜沙美ね」
「あっ、そっか。あと今はいいですよ、そういうの」
由香は怪訝な表情をして、手を横に振る。
「いや本当に俺が社長」
「社長が奥さんに怒られて一人で食事?」
「…はい」
「何したんですか?」
「……」
直人は目を瞑り、首を横に振っている。
「わ、わかりました。聞かないことにします」
女性関係か?と由香は思ったのでそれ以上は聞かないことにした。
「また浮気したんですか?」
しかしさとみが爆弾を投下する。
「してない!してないよ。あと、またって何?」
「総務の人から抱き付かれてデヘヘヘってなってたってやつ」
「半分正解で半分違うね。智美がそう言いふらしてた?」
「…どうだったっけ?」
「さぁ?…でもそういうことで良いんじゃない?」
「良くないね」
「過去の事だからいいじゃないですか。そういえば当然聞いてるんですよね?」
由香は容赦無く話を進めた。
「なにを?」
「智美が辞めるって」
「あぁ聞いてるよ。彼氏、可哀想に隣に住まわされてたんだってね」
「ハハハ、そうです。藤堂さんが住んでた部屋に引っ越しさせてました」
由香は思い出し笑いだした。さとみは笑いながらこっそりスマホを取り出した。
「クモの巣に引っ掛かった蝶みたいだな。その彼氏は。いや、もう旦那になるのか」
「そうですね。結局逃げられなかったんですね」
「ハハハハハ」
直人が笑っているとスマホにメッセが届いた。
「ん?その智美からだ。…おい、何話して…る?」
直人はすぐに周りを見る。まさか聞かれている?急に怖くなった。
そしてさとみは笑いを堪えている。
「…いないよな?偶然か?」
「どうかしたんですか?」
さとみが半笑いで話しかけた。
それで直人は全てわかった。
「…何でスマホを取り出したのかなぁって思ってたんだよな」
「何がですか?スケジュール確認しただけですけど?」
「今確認するスケジュールは無いだろう?」
「…ひどい。暇な女扱いして」
「騙されないよ」
「私はただリアルタイムで智美に連絡しただけなのに」
「ずーっとその事を問い詰めてるんだけどね!」
「えっ?まずかったですか?」
「まずくはないけどややこしくなるからダメ」
「まずくはないけど、ややこしい女だからダメっと」
さとみはメッセを送信した。
「…目の前で送ったな?しかも少しだけ脚色して」
直人のスマホが震える。
「…ほら来た!」
でもスマホを見ることは無かった。
「見ないんですか?奥さんからだったらどうするんですか?」
「その可能性もあるのか……」
渋々スマホを確認する。
そしてすぐにしまった。
「案の定だよ」
「奥さんに早く謝った方がいいですよ」
「話変えようとしてる?」
「元々怒られてる話じゃなかったでしたっけ?」
「…そうだったな」
直人は何となく納得していなかった。
「話を大幅に戻すけど、どうする?うちは大歓迎だけど」
直人は由香を見て話を再開した。
「…よろしくお願いします」
由香は頭を下げた。
「うん、わかった。じゃあ会社と決着が着いたら連絡してくれ」
「わかりました」
「さとみはどうする?」
「…え?私もいいんですか?」
「さとみも大歓迎。さとみが良いならだけど」
「はい、よろしくお願いします」
さとみも同じく頭を下げ、由香と共に笑い合った。
「さて、じゃあそうと決まればちゃんと話すためにお土産買って謝ってくるよ」
直人は席を立ち伝票を手にする。
「あっ待ってください。…財布財布」
由香とさとみは財布をカバンから取り出そうとした。
「いいよ、払っとくから」
「え?でも…」
「いいから」
「宝石買うお金は?」
「謝る度に宝石買ってたら俺もう生きてないよ!?」
「アハハハハ。…先輩、ご馳走さまです!」
「ご馳走さまです」
「はいよ、じゃあまた連絡ちょうだい」
直人は伝票を持っていない方の手を振り、笑顔でテーブルから去っていった。
席に残った由香も
「よし!じゃあ私もやることやらなきゃね!」
とても晴れやかな顔をしているのを見て、さとみも嬉しくなり
「やっぱり藤堂さんみたいな男性を探そう!」
と意気込んだ。
「…いないって」
「わからないじゃない」
「とりあえずさとみも藤堂さんとこに行くならまずはそっちからにしようよ」
「そうだね…」
翌日
由香は自分から人事部安田に内線をかけた。
書類から何から全てを持って来てほしいと伝えた。
会議室
「どうしたんですか?急に」
安田は不思議そうな顔で話し始めた。
「初心を思い出したことと付いていくべき人がいたって感じです」
「初心と言いますと?」
「私がこの会社に面接受けたときは店舗希望だったんですよね、それを忘れてました」
「…そうでしたか。付いていくべき人とは?」
「竹下藤堂コンビです。いや、今は藤堂夫妻ですかね」
「なるほど、あの二人の退職が今の状態になるきっかけでしたからね。新しいチーフが何たる無能か…」
「人事部がそんなこと言ってもいいんですか?」
「良いんですよ。私達が人事評価もしていますからね」
「そうでしたか。じゃあリストにも?」
「当然です」
「まぁ馬渕さんが辞めた時点で動かなかったそちらの責任もありますね」
「…言葉もありません」
「で?書類は」
「はい、こちらに」
「有給使いきってからで良いですよね?」
「はい、それはもう当然です」
「じゃあ明日から有給扱いにしておいてください。有給が無くなった日を退職日で」
「…良いんですか?もう少し在籍も可能ですが」
「逆に良いんですか?我ながら暴論だと思ってますが」
「こちらとしては構いませんよ」
「じゃあ早く藤堂さん達の所に行きたいのでそれでお願いします」
「わかりました。責任を持って処理します、書類は郵送で大丈夫なので」
「わかりました。あと…」
「はい」
「うちの保坂さとみからも退職願出ると思いますのでお願いしますね」
「……そうでしたか。お二人で藤堂さんの所へ?」
「はい!」
「わかりました。あれでしたら今ここに来ていただいても大丈夫ですよ。ちょっと私は書類を取ってきますので少々お待ちいただいて」
「わかりました。ではまたここで」
二人は会議室を出て、由香はさとみの元へ。
安田は人事部に戻っていった。
事情を聞いたさとみは
「うん、わかった!」
と笑顔で会議室に向かった。
由香は一旦デスクに残り整理を始めた。
その姿を見た同僚が
「鈴木さん、話受けたの?」
「はい、明日から有給なので今日が最後です。あっ、これ使います?付箋とかペンとか」
「う、うん。ありがとう…。にしては随分と晴れやかだね」
「藤堂さん達の所に行くので、やっぱり乗るなら優秀な船長がいる船ですよね」
「…あの二人、成功してるの?」
「二人では到底間に合わなくなってるって話してましたよ」
「そっか、…いやまぁ、そりゃそうか。あの二人がやってるんだもんな」
「はい、本当にあの二人に出会えて良かったですよ」
「…いいなぁ」
「へへへー」
由香はニヤニヤしながら私物をカバンに詰めていった。
安田がまた戻ってきたので由香は一緒に会議室に入っていった。
話す内容はほとんど同じ。
さとみも今日が最後の出勤になった。
三か月後
「お久し振りです。竹下さ…んじゃないんですよね。なんてお呼びすれば」
「亜沙美でいいわよ」
「それじゃ亜沙美さん、よろしくお願いします」
店が開店する前の時間に由香とさとみはひとまず挨拶に来ていた。
「由香には基本的に店番を頼みたいんだけど」
直人が以前に由香から聞いた話から決めていた事だった。
「いいんですか?」
「その代わり商品知識は叩き込まないとダメだから大変だよ?」
「頑張ります!」
「さとみは希望はある?」
「出来れば経理が良いです。それしか経験が無いので」
「それは逆にこっちが助かる。今まで集中して出来なかったから専門でやってくれるなら大助かり」
「はい!ではそれでお願いします」
「えっと、亜沙美さんが社長…?」
「まだ信じてないな?」
「いや、デスクの大きさ…」
直人より亜沙美の方がサイズの大きいデスクで仕事していた。
「これには深い理由があってだな?」
「ナオ、余計なことは言わないように。あと受注入ったからやってきて」
「はい、すぐに!」
直人はプリントアウトされた伝票を片手に店に向かった。
「……何も聞かないでおこう」
由香は呟いた。
「アハハ、深い理由なんて無いわよ。私の方が事務仕事が多いからってだけ。ナオは基本的に色んな所に出向いたり動くから」
亜沙美は笑いながら説明する。
「なぁんだ、そうだったんですね」
「だから二人が入ってくれるのは本当に助かるのよ。ナオったらあの時カッコつけちゃったけど本当に来てくれるかなぁって急に弱気になったりしちゃって」
「そうだったんですか?」
「うん、でも鈴木さんから連絡もらったらすぐに元気になっちゃって。来てくれるって!って大喜び」
「…亜沙美さん、私、一生懸命頑張りますから!」
直人の話を聞いた由香はより一層やる気が出た。
大学時代の先輩にここまで世話になるとは当時思ってもいなく少しだけこそばゆい気持ちと縁に感謝しないとと心に持ち、気持ちを新たに由香は再出発した。




