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フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
65/77

#65 ベタと学び

ホワイトデー


二人は昼間からお台場に来ていた。

「…ベタすぎない?」

自由の女神が目の前に見える展望スペースでベンチに座りながら亜沙美が呟いた。


「…じゃあユニコーンガンダム見る?」

「そういうことじゃない」

「場所?」

「そう」

「嫌だった?」

「嫌ではないよ。ベタだなぁって思っただけ」

「今日はベタデートでいくよ。このあと観覧車乗るから」

「ベタだなぁ」

亜沙美は笑った。



二人はその場を離れて駅の方に向かい、橋を渡った先にある大きな商業施設の中に入った。

フードコートで昼食を食べるために。

「…すっごい人の数」

「こんなに混んでるんだ…」

時間は十三時。少し時間をずらして行こうと話をしていて先ほどベンチに座っていた。


「これ、無理そうだね…」

「いや?いけるでしょ。探せば空いてる席あるよ」

「あるだろうけど」

「面倒くさいだけでしょ」

「…バレた?」

「ナオって混雑してるところ嫌いだよね」

「そうだね」

「ほら、あそこにいるファミリーみたいにこれからも来ることになるんだから慣れてね」

「…はい」


とりあえず二人は食べたいものを探した。

「あ、あのオムライスの洋食屋さんあるよ」

「…オムライスは今日はいいかな」

直人は頭の中に一瞬智美の顔が浮かんだ。

「…そう?じゃあ何にする?」

「んーと…。あのカレー食べたい」

「じゃあ私は親子丼にする。じゃあ次は席確保ね」

亜沙美はきょろきょろと見回し

「ほら!あそこ空いてる!」

と言ったあとすぐの歩きだした。

向かい合った席を二つ確保するために

「私こっち座って待ってるから、ナオはそっちにコート置いて」

「う、うん…」

言われるがままにコートを脱ぎ、席にかけた。

「はい、じゃあ行ってらっしゃい。親子丼はノーマルのでいいから」

「え?あっ、うん…」

自分が買いに行くの?と思ったが言葉には出来なかった。


直人は人の多さに戸惑いながら、たまに立ち止まりながらまず親子丼の店に行き注文をした。

出来たら音がなるというリモコンのようなものを受け取り、次はカレー屋で一番写真が大きかったメニューを注文した。こちらでも同じように音のなるものを受け取り席に戻った。


「おかえりー」

「…疲れた」

「何を言ってるの?これからまた取りに行くんでしょ?」

「…うん」

「私のは私が取りに行くから大丈夫よ。コート置いとけば大丈夫でしょ」

「まぁ、日本だしね」

その時直人が注文したカレーが出来上がったようで音が鳴った。

「じゃあ行ってくるよ」

「はーい」

直人は再度身体の向きを変えながら人とぶつからないように店のカウンターに行き、カレーを持って今度は更に気をつけて歩いた。

席に戻ると亜沙美はいなくコートだけが置いてあった。


「…取りに行ったのかな?」

「お連れさん取りに行きましたよ」

隣に座っていたファミリーの女性が話しかけてきた。

「あっ、そうなんですね。ありがとうございます」

「ご夫婦ですか?」

「…いえ、まだなんです。婚約はしてるんですけどまだ届は出してないので」

「あぁ!そうなんですね!おめでとうございます」

「ありがとうございます!」

「…結婚したらフードコートでの色々な事は旦那の仕事になりますよ」

男性が笑いながら話した。


「そうなんですか?」

「はい、子供が出来たら完全にそうなります」

「あっ、なるほど」

「まぁ、その方が安全というか何というかこっちから何買ってくる?って聞くようになります」

「勉強になります」

「あっ、彼女さん戻ってきたみたいですよ」

亜沙美が親子丼を持って戻ってきた。


「ん?お知り合い?」

「おかえり、今、人生の先輩に色々教わってた」

「いえいえ、先輩なんて」

男性は手をブンブン振ってからこさばゆそうな表情をした。


「戻ってきたら亜沙美がいなかったから取りに行きましたよって教えてくれたんだよ」

「あっ、そうだったんですね。ありがとうございます」

「いえいえ、こういうところは客同士で助け合わないと大変なことになりますからね」

「そうですよね、人が多いからトラブルもありそうですし」

「そうですねぇ、ちなみに荷物だけ置いていくのはやめておいた方がいいですよ。僕達はそれをどかされて座られてたことあるので」

「そんなことあったんですか!?」

「はい、荷物は床に捨ててありましたよ」

「それでどうしたんですか?」

「まぁ、揉めるのも面倒くさいし怒りたくもないのでそのまま荷物持って別の席を探しましたよ」

「嫌な人がいるんですねぇ」

「まぁ、そういうことなので気を付けた方がいいですよ。では私達はこれで」

「あっ、はい。ありがとうございました」

「ありがとうございました」

二人はファミリーと何回か会釈を交わし、ファミリーはどこかに向かっていった。


「…良い人達だったね。あんなこと教えてくれないよ、普通」

「そうだね、でもやっぱり変な人っていうか嫌な人っているんだね」

「そうだね、気を付けよう」

直人はとりあえず男性の言っていた旦那の仕事は言わないでおいた。


「すみません、ここ空いてますか?」

二人が食事をしていると若い男女が話しかけてきた。

「はい、空いてますよ」

「ありがとうございます」

「じゃあ私オムライスね」

「はいはい」

女性の食べたいものを聞いて男性が買いに行った。

直人はその会話を聞いてさっきの自分達だと思った。

あのファミリーの男性もこういう経験をして、あぁやって教えてくれたのかな?と思ったので、もし荷物だけ置いていなくなったら教え伝えようとそわそわした。


しかし音が鳴っても取りに行く様子も無く、不思議に思っていると二つ目が鳴り、男性が二つとも取りに行くようで席から離れていった。


直人は少し恥ずかしかった。疲れたとか言い亜沙美の料理は亜沙美に取りに行かせた。

隣に座った若い男性の方が男として数段上に感じた。


その思いを察してか別の意味か亜沙美は直人をジトッと見ていた。

「言おうとしてることはわかってるから、その話は後でね」

「わかってるなら良し」

席に残った若い女性は不思議そうな顔で二人を見たがすぐにスマホに視線を落とした。


食事を終えたあと直人はせめてここからはと

「持っていくよ」

と少し得意気な顔で言ってみた。


「…なんで帰るのに一旦私を置いていくのよ」

「そうでした」

「はい、行くよ!」

亜沙美はトレーごと食器を持ち立ち上がった。

直人はその後ろをついていった。


二人はフードコートを離れた。

「カッコ悪くてごめんなさい…」

「大丈夫。今のナオはわかりやすかったから」

亜沙美はクスクス笑っている。

「えぇー…」

「ファミリーと若いカップルから学んだんでしょ?次からはお願いね」

「…頑張ります」

亜沙美は直人に肩をドンッとぶつけてから笑った。


「ほら!行こ!」

亜沙美は直人の手を引きエスカレーターへ向かった。

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