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フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
61/77

#61 やることがいっぱいだ

二月二十三日 日曜日


竹下家 居間

直人は再度、亜沙美の実家に二人で来ていた。


「直人くん。亜沙美から話は聞いてるけど」

「はい、ぜひお店を継がせていただきたいと思いまして」

「……確認だけど強要されてないよね?」

「お父さん?何を言ってるの?」

「…いや、ね?」

「僕から亜沙美さんにお話をさせていただきました」

「…こちらとしては非常に助かるからいいんだけど、親御さんは何と言ってるの?」

「両親はお前が決めたことなら何も言うことは無いと言ってくれています」

「…わかった。じゃあ色々と決めなきゃいけないこともあるだろうから、また全部決まったら話をしよう」

「はい!」

「……本当に昔の俺を見てるみたいだ」


「え?」

「いや!こっちの話。直人くん、お昼は食べていくかい?うちが家族全員でよく行ってた店があるんだ。そこで食べてから帰るといいよ」

「あっ、はい!いただきます」

「ところで直人くんは酒はいける方かい?」


「…お父さん、先週は流したけどお酒飲みたいのよね?やめるって言ったのに?」

「い、いや?そんなことはないよ?ほら、商店街の重鎮達とは飲まないといけなかったりするじゃない」

「ふーん、まぁ直人は普通に飲めるぐらいだよ。適量をわかってる飲み方」

「そ、そうか。なら良かった。じゃあ店に行こうか」


直人は亜沙美の家族と中華料理屋にご飯を食べに行った。そこの店は商品を卸している店らしく店主と話をすることになった。


「いらっしゃい!おぉ!茂樹じゃねぇか。食べに来るのは久し振りだな!」

「大将、いつもの」

「わかんねぇよ!料理名言え!」

「だよねぇ」

「……そこのあんちゃんは?」

「亜沙美の婚約者」

「えぇ!亜沙美ちゃん結婚すんのかい!良かったじ ゃねぇか!!あんだけ結婚出来るか心配だって言ってたもんな」


「お父さん、何を話してた?内容によっては怒る」

「大将、余計なことは言わないように」

「…おぅ、悪かった」

「お父さん!!」


「それより大将!聞いてくれよ。直人くんって言うんだけど、うちの店継いでくれるんだよ!」

「ほぉ!そうかいそうかい!」

「ほら!直人くん。この店の調理器具を卸してるのはうちなんだよ」

「藤堂直人です。これからよろしくお願いします」

「…お、おぅ」

「な、何か…?」

店主の反応が薄く、直人は少し不安になった。


「いや、すまねぇ。そこのおっさんと物腰が似ててな」

「…大将もわかる?」

「昔のおめぇにそっくりじゃねぇか!」

「そうなんだよ、ビックリしたよ」

「直人くんか!よろしくな!」

「はい!よろしくお願いします!」


挨拶を交わした後でそれぞれ食べたいのを選び、店主が料理を運んで来た。

「ほいよ、お待ち!これ、おまけね!」

餃子を二皿置いた。


「いいのかい?」

「お祝いだ、お祝い!亜沙美ちゃんの結婚にお前の店の存続!俺が祝わないわけがねぇだろ!」

「ありがとう」

「良いってことよ。それよりこれからもよろしくな!」

「はい!」

直人は元気よく返事をした。


昼食を食べ終わり再度店主と挨拶をして店を出た。


「こうやってこの辺の人達と関わりがあって、色々と注文してくれるんだ。無茶ブリもあるけどね、ハハハ」

「…勉強していきます」

「ナオ、私もいるから大丈夫」


「亜沙美、あなたも店に入るの?」

裕子が話を始めた。


「うん、ナオだけ辞めて私が残るってのもおかしいじゃない。私達も夫婦でお店やっていくよ」

「そう。わかったわ。直人さんのご両親に会うときは本当に感謝しなくちゃね。あなた、土下座しなさい?」

「…多分その勢いで会うと思うよ」


「いやいや、やめてくださいよ!」

「直人くん、本当に感謝してるんだ。お店は君と亜沙美のやりたいようにやっていいから」

「やりたいように、ですか?」

「うん、そう。土台は作ることが出来てると思うから。そこからどういう店にしていくかは任せるよ。もちろん何年か経った後だけどね」


「大丈夫よ、ナオは店舗での実績が買われて今の仕事してるんだから」

「亜沙美が選んだ人だからそこは疑ってないよ」

「…頑張ります」

「それは亜沙美に言ってあげてほしい」

茂樹は優しい目をして直人から亜沙美に視線を移した。


直人は亜沙美を見て

「頑張ります」

「頑張ってください」

お互いに頭を下げた。


「さっ、二人とも今日はもう帰るんでしょ?」

「うん、ちょっと話もしたいし」

「それじゃここでいいわよ。荷物はうちに忘れてないわよね?」

「…はい、大丈夫です」

「じゃあまたね」

「直人さんのご両親と会える日が決まったら連絡ちょうだい」

「うん、わかった」


二人はそのまま駅に向かい変えることにした。



電車内

「ナオ、ちょっと得意の根回しをお願いしたいんだけど 」

「得意のってのが気になったけど、なに?」

「私達二人同時に辞めるのは人員的に厳しそうだから、誰か後任を探しておかない?」

「……あぁ、もう色々と教えているのでって?」

「うん、そう」

「それって会社が決めることじゃない?」

「推薦って形も有りだよ。その方が辞めやすいし。社内公募もあるじゃない」

「…あっ、一人いるな」

「誰?」

「バレンタインの応援で店に行ったでしょ?一人僕と同じように本社で働きたいから色々教えてほしいって言ってきた人がいた。連絡先も聞いてる」

「…都合良くいたね。その人がバイヤー希望ならいいんだけど」

「…とりあえず本社勤務になりたいみたいな感じだったから話をしてみてみるよ」

「なんて人?」

「馬渕千聖さんって人」

「え?女性?」

「うん」

「ほー、店で出会った女性の連絡先を知っていると?」

「うん。…あっ、そういうつもりでってわけじゃないよ!?」

「……」

亜沙美は冷たい目で見ている。


「あの、ごめんなさい…」

「ん?なんで謝るの?謝ることしたの?」

「してないよ」

「なら謝らなくていいじゃない」

「……怖い目をするから」

「何か言った?」

「何にも…」


「で?すぐに連絡は取れるの?」

「取れるけどその前に店長に話をして筋を通すよ。僕がいた店の店長が今そこで店長やってるから」

「あっ、そうだったんだ」

「うん、勝手に話進めて店の人員減らすのは店長からしたら迷惑な話だろうから」

「…だね。一人雇うのも大変だもんね」

「明日、会社から店に電話して、そのあと個人的に連絡するよ。店長なら僕が辞めるって事も言いふらさないだろうし。あと馬渕さんなら僕ら二人の推薦で社内公募に応募ってやり方もスムーズにいくかも」


「ナオは誰の推薦も無く来たんだっけ?」

「そうだよ」

「じゃあ推薦あったら決まりやすいかもね。私からも部長に話をしておかないとな」

「…それは僕と二人でしに行った方がいいんじゃない?」

「多分ね」

「…やることいっぱいだ」

「…だね。結婚って大変なんだね」

「一つ一つやっていくしかないね」

「うん。頑張ってね」

「なんで急に丸投げした?」

「ハハハ」



月曜日 直人は店長に電話をかけ、事情を説明した。

店長はすんなり話を受け入れ、千聖への話を自分からもしておくとまで言ってくれた。

どうやら店長は自分の所から人が巣立っていくのが好きらしく、そういう話なら大歓迎だという事だった。


直人は千聖にメッセを送ることにした。

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