表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェイクマイナス  作者: 海鮮メロン
59/77

#59 反対する理由が無い

直人の実家


「ただいま」


圭子がパタパタと玄関に来た。

「何だい!急に来て!…あら亜沙美さんも」

「突然申し訳ありません」

「いえいえ!いいのよ。さっ、上がって」

二人は居間に移動した。


「どうしたの、急に」

「話があって来たんだ」

「…別れるとか言わないよね?」

「違うよ!!」

「じゃあ何?」

「亜沙美の実家なんだけどさ…」

直人は全てを話した。今日亜沙美の実家に行ったこと、そして店の事。全部を話した後に自分の想いを伝えた。


「…良いんじゃないかい?」

「やっぱり?」

「予想してたんでしょ?どうせ」

「うん、うちなら大丈夫って」

「結婚ってのはお互いの人生を背負うものだよ。亜沙美さんが将来的に背負う可能性があるなら、あんたも背負うべきだ」

「…うん、そう思う」

「すみません、決してそれを狙って直人さんとお付き合いしたわけではないんです」

「…亜沙美さん、わかってますよ。私もそうでした」


「え?」

「私の実家もお店をやっていてね。お父さんに継がせようって話があったの」

「…同じ状況って事ですか?」

「そう、でも私が反対したの。多分亜沙美さんもそうだったと思う」


「…うん、そうだったよ」

直人は頷いた。


「それでお父さんはそのまま自分の仕事を続けることにしたわ。でもね、それが正解なのか何が良かったのか、今でもわからないのよ」

「正解……」

「直人が決めたことなら私は何も言わない、多分お父さんもね。だって私達が進まなかった道なんですもの。反対する理由が無いのよ」

「……ありがとうございます」

亜沙美は涙声で深く頭を下げた。


「でもいくつかお願いいいかしら?」

「は、はい!何でしょうか?」

「いつも笑顔で元気でいてね、ケンカしたらその日のうちに仲直り、孫も見てみたいわ。正月には顔を見せてね」

「……はい、はい!!」

亜沙美は涙が止まらなかった。きっとこの話は無くなるに違いない。そう思っていた。

けれど実際は違った。なんと心の広い家族なんだろう。直人と出会い愛しあえた奇跡に感謝以外の言葉が無かった。


「よし!じゃあ今からだったら三月いっぱいで退職かな?」

「直人!まだ亜沙美さんのご両親に話をしてないんじゃないかい?やっぱり継がせませんってなったらどうするんだい!」

「…そっか、その可能性も」

「無い無い無い無い!!無いよ!でもその前にやることがあるのはあるかも…」

「…あぁ、引き継ぎ?」

「じゃなくて!いや、それもだけど」


「直人、私達はまだ亜沙美さんのご両親にお会いしてないからね?」

「あっ…」

「全く…」


「じゃあ来週また会えるかな…亜沙美、どうだろう?」

「直人!焦るんじゃない!!なんで三月で辞める前提で話を進めようとするの!」

「…そっか、また突っ走っちゃった」

「亜沙美さん、こんな息子だけどよろしくお願いします」

「いえ!こちらこそよろしくお願いします」

亜沙美と圭子はお互いに頭を下げ、そのタイミングで父 博史が帰って来た。

「ただいま…、亜沙美さん!?」

「父さん、話があって…」

直人は再度説明した。


「良いんじゃないか?反対する理由も無いしな。今まで通りお前が決めたことには何も言わんよ。ただし迷ったり悩んだりしたら何でも話してこい」

「うん、ありがとう」

直人は笑ってお礼を言った。


「ほらね」

「ありがとうございます」

亜沙美はまた頭を下げたが

「…ほら、さっき言ったこと忘れた?」

圭子が苦言を呈す。


亜沙美はそれを思い出し頭を上げるときには笑顔になっていた。

「うん!亜沙美さんは笑顔が似合うね」

「直人さんにもずっと一緒にいてほしい、出来れば笑顔でって言われました」


「亜沙美?それは言ったらダメだよ?」

「へー、あんたそんなこと言ったのかい」

「ほら、こうなるから」

「あっ、ごめん」


「…プッ、アハハハハ」

圭子が笑いだすと全員笑いだした。



二人は帰るために電車に乗っていた。

「…今日はありがとう」

「ん?ううん、色々と決めることが出来て良かったよ」

「私から話はしておくね」

「うん、あとは……」

「結納とかうちはいいからね、顔合わせだけで」

「いや、そういうわけには…」

「私が良いって言ってるんだからいいの」

「…はい」

「日曜日が良いよね?」

「うん、そうだね。あとさ…」

「うん?」

「大事なことがね……」

「なに?」

「…今、言うことじゃないかな?」

「なによ?」

「いや、またそれはあとで」

「なにそれ…。あぁ!!」

亜沙美は気付いた。


「サイズ知ってるんだからあとはわかってるよね?」

「…はい」

「デザインはシンプルなのがいいなぁ」

「あのー…」

「ん?」

「これも一種のサプライズかなと思うんだけど…」

「なにが?」

「一緒に買いに行きませんか?指輪」

「えっ?」

「いや、ほら、僕が勝手に選んだのを。ってさ…、なんか…」

「…そう言われればそうかも。一生物だし」

「でしょ?今度お店に行こう」

「そうだね、じゃあ明日は?」

「明日!?」

「え?嫌なの?」

「嫌じゃないけど、仕事終わりの時間は?」

「ナオの進捗次第!」

「定時に帰れるように頑張ります…」

「うん!頑張って!!」


二人は指輪を買いに行くことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ